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エッセイはとつぜんに

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つれづれなるままに、ひぐらし、ではないが、ときたまPCにむかひて。役には立ちませんが、何の変哲もない日常を楽しめるようにはなるかもね。
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2018年7月の記事一覧

次の元号を生きるあなたへ

次の元号を生きるあなたへ

お母さんは、わりとぎりぎり昭和生まれです。

大学4年生になったとき、その年の入学生には平成生まれのひともいて、なんともいえない衝撃を受けたことを覚えています。同世代のはずなのに、何かがそこでぱっきりと分かれてしまったかのような感覚をもちました。

西暦で見れば地続きで、何かが変わっているわけでもないのに、変ですよね。ただ、血液型占いなどカテゴライズが好きな日本人にとって、元号はそんなふうに、アイ

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無花果タルトとカフェラテの休日

無花果タルトとカフェラテの休日

一眼レフを持ってこなかったことを、ちょっと悔やんだ。

だって今日、こんなすてきなカフェに出会えるなんて聞いてない。

そんな気持ちを胸のうちに押し込めて、涼しい顔をよそおって、なるべく優雅なふりをしていちじくのタルトを口に運んだ。

* * *

「今日か明日、ちょっと休んだら? なんか最近、すごく疲れてる」

自分よりよっぽど忙しい夫に、そんなことを言わせてしまった先週末。いや、でも確かに最近

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【note商店街】気まぐれ写真ギャラリーぽこねん #004「暑中おみまい申し上げます」展

【note商店街】気まぐれ写真ギャラリーぽこねん #004「暑中おみまい申し上げます」展

コロン、コロロン。

バンブー製のドアベルの音が、いつにもまして耳に心地よい。

そういえば店主、このドアベルはどこか南国のみやげ物だと言っていたっけ。どうりで暑い季節が似合うわけだ。

客「こんにちはー」

店「あ、いらっしゃいませ」

客「あー! 中は涼しいですね。外はもう暑くて暑くて、溶けそうですよ」

店「いやほんと、今年はかないませんね」

客「ほんとぼく、夏ってキライなんですよ。汗かく

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自転車撤去されてしまいモンモンとしたので改善策をブレストしてみたよ

自転車撤去されてしまいモンモンとしたので改善策をブレストしてみたよ

最近、福岡市内のあるコワーキングスペースで作業することが多い。

朝、保育園まで電動自転車で子を送り、その足でそのままコワーキングスペースへと向かう。

到着するのは午前9時前。コワーキングスペースの入っているビルには専用の駐輪場がないので、周辺に設置されている「天神路上駐輪場」の中から空きを見つけて、駐輪する。1日100円。

目的地に最寄りの駐輪スペースに空きがあればラッキー!という感じで、空

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カフェと海と南国気分(たまには、夫婦で)

カフェと海と南国気分(たまには、夫婦で)

ひさびさに夫とふたりで過ごせる日を捻出して、海へ行った。

私が海へ行きたいと言ったのだ。

先月のわたしの誕生日には娘がまさかの入院となり、自分たちも体調を崩してなかなか大変な日々であった。ようやく日常を取り戻したいま、遅めのバースデー企画で希望を叶えてもらうことになった。

福岡市内の家から、車で1時間ほど。糸島へ向かう。

道中、ランチに行くお店を検索する。

普段ならば和食大好き、海辺なら

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ここにいるよって言ってみる

ここにいるよって言ってみる

昨夜、ふと思いついてこんな記事を書いた。

わたしはいま福岡に住んでいるのだが、実はこれまで福岡についての記事をnoteで書いたことはない。むしろ、どこに住んでいるか特定できないように「地方都市」という書き方をしたりして、意識的にぼやっとさせていた。

だけど最近、いろんなことがあって、いろんなことがどうでもよくなってきた。ああ、はしょりすぎたのでもう少しだけ補足すると、娘の病気にまつわるいろいろ

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「どうだった?」の回答にあらわれる男女差(なのか教えて)

「どうだった?」の回答にあらわれる男女差(なのか教えて)

たとえば初めての美容院へ行き、家族から「お店、どうだったー?」と聞かれたら、あなたはなんと答えるだろうか。

これについて、我が家では夫婦で確実に回答がわかれる。なので今日はそのようすをここに書いてみる。

もしできたら、これが男女差なのか、男女関係なく単に個人の性格の差なのか検証してみたい(興味本位だ)。

だからもし、あなたの貴重な1分を提供いただけるのなら、以下のnoteを読んで、「わたしの

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書き手が出過ぎるインタビュー記事もあっていいんじゃないか

書き手が出過ぎるインタビュー記事もあっていいんじゃないか

noteはわたしにとって、“好きなように書く”を実現させてくれる場所だ。

だから例えば、通常のお仕事ライティングではやってみたくてもビビってできないことを、ここでは存分に試してみたい、という思いがある。

そのひとつが、「書き手が出過ぎるインタビュー記事」。

一般的に、(無名の)書き手が出過ぎるインタビュー記事というのはあまり好まれない。

考えてみればそれもそうだ。インタビューは原則として「

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商売上手な美容師さん

商売上手な美容師さん

日々消費者としてふつうに生活をしていると、ときたま「くはぁ、この商売上手ぅ!」とむしろ気持ちよく敗北するような快感に遭遇する。

先日、近所の美容院がリニューアルしてはじめて髪を切りに行った。

店に入って第一印象、ああ変わったな、と感じる。

内装はそれほど大きく変わったわけではないのだが、スタッフが総入れ替えになり、醸す雰囲気がガラリと変わったのだ。

ひとことで言うなら、以前よりも、若い。

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猛暑日はことばで遊んで涼をとる

猛暑日はことばで遊んで涼をとる

私「あーー、あづい」

夫「暑いねぇ」

私「うん、暑いよ。はぁ……、暑い」

車を降りて、炎天下を店の入口まで歩くわずか数分のあいだ、もう何度も「暑い」を繰り返している。

暑いと言ったところで涼しくなるわけでもない。そんなことを自分でも十分わかっているのに口から自動的に出てきてしまうほど、暑い。

* * *

「だめだ、不毛だとわかっているのにもう『暑い』しか出てこない」

私がそう言うと、

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恋草

恋草

クリスマスに始まった恋は、翌年のクリスマス前に終わってしまった。

そうなることを知ってか知らずか、予定に入れていた海外一人旅。

その夜、わたしはタイで小さな国内便に乗り込んだ。

隣は、自分と同じくらいのタイの女の子。

聞けば、遠距離恋愛中の彼氏に会いにいくという。普段は外国にいる彼が、タイへ来るのだそうだ。

ふと彼女の手荷物に、あるものを見つけた。

――花束。

少しでも身軽にしたい空

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自然界の配色の美しさよ

自然界の配色の美しさよ

娘がかぼちゃを好きすぎて、ここのところよくかぼちゃを煮る。

その日もいつものようにかぼちゃを切っていたのだが、ふと、台所の蛍光灯の下で切られたかぼちゃを改めて見て、その配色の美しさに目を奪われた。

森を思わせる深い緑の皮に、鮮やかな黄色の中身。

包丁を片手に、「ほう……」と手を止めてかぼちゃの一片を舐めるように見回しているあたり、いろんな意味で危ないひとである。

* * *

でもなんだか

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そうだ、焼肉食べよう

そうだ、焼肉食べよう

なんだか疲れてしまったので、今日はゆるっとしたことが書きたい気分だ。

くわしくはまた今度書けたらと思うが、昨日は娘のこども病院通院日でいろいろとあり、すこし行き場のない気持ちを抱えていた。

頭のなかでは冷静に理解して、あとは落ち着いて行動していくのみ、と思う自分もいるのだが、実際はいますぐには気持ちが追いついていかなくてぐるぐるする、そんな感じ。

その日は朝起きて娘の弁当を用意し、1時間の道

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ことばとせかい

ことばとせかい

1歳の娘はまだ、はっきりと意味のある語をしゃべらない。

「あば、あば、あば」「でゃーでゃーでぃ!」「あびゅでゅー!」などと、宇宙語のおしゃべりをしている。

はやく何を考えているのか聞きたいな、意志の疎通ができたらいいな。そう思うから、娘が話し出すのはとても待ち遠しい。

けれど一方で、いま毎日耳にしているこの宇宙語が聞けなくなってしまうのかと思うと、それはそれでとてもさみしい。

* * *

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