記事一覧
清澄庭園(紀行編)ーー借景はスカイツリー
広い池に弱い。庭一面に大きな池が広がる景色に弱いのだ。私たちは庭園鑑賞が好きで、これまでにもいくつかの庭園を巡ってきたのだが、広い池を持つ壮大な景色の庭園は無条件に「いい庭」としてきた。私たちが見てきた中でいうと京都の大沢池、修学院離宮が特によかった。水面に映るクロマツは、実像のクロマツよりもグッとくるものがある。東京で同じような感動を覚えたのが清澄庭園だ。園内に入るといきなり広大な池が広がってい
もっとみる三溪園(紀行編)――ついに横浜に行ってきました!
暑い日が続いている。「年々暑くなっている」とは毎年耳にするセリフで、信憑性にはいささか疑問があるものの、今年の夏こそは今までで一番暑い夏とみてまず間違いないだろう。この日もあいかわらず太陽が照りつけてはいたが、私たちは横浜にいた。目的はやはり庭園を鑑賞するためだ。横浜庭園の代表格、三溪園に行くのである。私たちのような無類の庭園好きにとって多少の暑さなんかは関係ない。暑さに負けるな!という強い意気込
もっとみる小石川後楽園(紀行編)――旅行気分を味わいましょう
小石川後楽園は楽しい庭園だった。私たちは今回で2度目の訪問。前回も感じたことではあるが、やはり小石川後楽園ほど賑やかな庭園は他にないと思う。というのも借景。借景とは、庭園の外の山や海などの景色をあえて見せ、空間に広がりを感じさせる日本庭園の技法のことだが、ここ小石川後楽園の借景はまさかの東京ドームである。さらにその奥には東京ドームシティアトラクションズのジェットコースターが見える。ジェットコースタ
もっとみる旧芝離宮恩賜庭園(紀行編)――借景は建設中
庭園には様々なしかけがある。例えば、水の上を歩いているような気分が味わえる「沢飛石」があったり、舟や橋を使って池に浮かぶ島に辿り着くといった、冒険心をくすぐられる「中島」があったりする。これらはすべて来園者の心を惹きつけるために作られたものである。私たちは園内にあるこれらの要素のことを「アトラクション」と呼び楽しんでいるのだが、ここ旧芝離宮恩賜庭園は私たちのようなアトラクション目当ての来園者に優し
もっとみる浜離宮恩賜庭園(紀行編)――海を題材にしたテーマパーク
日本庭園の様式
日本庭園の様式はややこしい。私たちはこれまでに数々の庭園にインパしてきたつもりだが(インパとはインパークの略で、主にディズニーオタクの間でランドとシーに入園することを言うのだが、私たちは庭園を訪ねることもインパと呼んでいる)、いまだに訪れた庭園に対して、「これは○○式庭園だ!」と自信を持って答えられないケースは多くある。そもそも様式というのは、具体的には「池泉回遊式」とか「枯山水