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コロナになりました

 コロナにかかってしまった。これまで頑張ってかわしている方だと思っていたが、このタイミングでの初コロナ。すでにコロナにかかった知人は、1日目、2日目で熱は下がるが、3日目以降、喉が切れたんじゃないかと思うくらい痛む、と言っていた。4日目の今。喉が切れたんじゃないかと思うくらい痛い。つばを飲み込むたびに、相当な覚悟をしなくてはいけない。1日に何度も、その覚悟をしていると、変に体力が吸い取られ、熱はないけれどなかなかしんどいというのが現在の状況である。

 そんな状態でも、家でゆっくり見られるテレビはないかと探していたところ、過去にKBS京都で放送されていた『京都画報』という番組を発見した。女優の常盤貴子が毎回様々なテーマで京都の伝統文化を発信する、という内容だ。エピソードが全部で9つあるのだが、クリックしたのはもちろん「エピソード2 庭園の愉しみ」である。

 番組内で案内を務めるのは、名門・植治の次期12代目小川勝章さん。植治の当主は代々、小川治兵衛を名乗り、中でも明治から昭和にかけて活躍した7代目は近代日本庭園の先駆者と呼ばれた名作庭家だ。私が持つ7代目・小川治兵衛のイメージはやはり、無鄰菴、平安神宮神苑など、京都の岡崎エリアで、琵琶湖疏水の水を利用して流れのある庭を作ったということ。この話になると毎度言っているが、岡崎エリアは、京都市動物園、京都市京セラ美術館、蹴上インクラインなど有名な観光名所がたくさんあり、それだけでつい満足してしまいがちなのだが、上記にあげた小川治兵衛作の庭園(並河靖之七宝記念館、ウェスティン都ホテル京都葵殿庭園も)にもぜひ多くの人が足を運んで欲しいと思っている。

 今回番組内で紹介されていたのも、小川治兵衛作の平安神宮神苑。作庭家目線での庭園の愉しみ方には、目から鱗が落ちる事柄が多くあり、非常におもしい内容だった。中でも印象的だったのは、庭園の中に、庭園を見るヒントが散りばめられているということ。西神苑の顔となる場所に、明らかに他の周りの石とは違い、「こちらへどうぞ」と手招きしているような石がある。実際にその石の上に立ち、庭園を見てみると、正面の松の木、三尊石という庭園の見どころがバチっと目に入ってくる。そこには決して「ここから見るといい感じですよ」というような文字による説明は一切ない。先人がこの石を通じて語りかけてくれたメッセージを、何年も先の我々が受け取る。庭園に実際に行ったからこそできる、こうした遠い昔の人たちとの対話は、庭園巡りの大きな楽しみのひとつだ。早くコロナを治して庭園巡りがしたいと思いました。さようなら。

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