庭園ZINE

23歳と22歳の2人で書いています。今年中に「庭園ZINE」を出す予定です。

庭園ZINE

23歳と22歳の2人で書いています。今年中に「庭園ZINE」を出す予定です。

最近の記事

固定された記事

清澄庭園(紀行編)ーー借景はスカイツリー

広い池に弱い。庭一面に大きな池が広がる景色に弱いのだ。私たちは庭園鑑賞が好きで、これまでにもいくつかの庭園を巡ってきたのだが、広い池を持つ壮大な景色の庭園は無条件に「いい庭」としてきた。私たちが見てきた中でいうと京都の大沢池、修学院離宮が特によかった。水面に映るクロマツは、実像のクロマツよりもグッとくるものがある。東京で同じような感動を覚えたのが清澄庭園だ。園内に入るといきなり広大な池が広がっていて、やはりどの角度から見ても美しい。そんな清澄庭園はさらに私たちを魅了するおもし

スキ
84
    • 庭園借景図鑑

      はじめに借景とは、庭園の背後にある風景を庭園の要素として取り込む手法、あるいはその背景のことです。例えば、京都の天龍寺では嵐山が、正伝寺では比叡山が借景となっていて、庭園に奥行きを感じさせることに成功しています。京都は四方が美しい山に囲まれているため、山を借景にした庭園が多いのです。 しかし、全国の庭園を巡っていると借景は必ずしも山だけではないことに気がつきます。それは田んぼであったり、海であったり、五重塔などの建築物であったり。さらに、東京スカイツリー、東京ドーム、あべのハ

      スキ
      1
      • 庭園借景図鑑

        はじめに借景とは、庭園の背後にある風景を庭園の要素として取り込む手法、あるいはその背景のことです。例えば、京都の天龍寺では嵐山が、正伝寺では比叡山が借景となっていて、庭園に奥行きを感じさせることに成功しています。京都は四方が美しい山に囲まれているため、山を借景にした庭園が多いのです。 しかし、全国の庭園を巡っていると借景は必ずしも山だけではないことに気がつきます。それは田んぼであったり、海であったり、五重塔などの建築物であったり。さらに、東京スカイツリー、東京ドーム、あべのハ

        スキ
        1
        • 三溪園(紀行編)――ついに横浜に行ってきました!

          暑い日が続いている。「年々暑くなっている」とは毎年耳にするセリフで、信憑性にはいささか疑問があるものの、今年の夏こそは今までで一番暑い夏とみてまず間違いないだろう。この日もあいかわらず太陽が照りつけてはいたが、私たちは横浜にいた。目的はやはり庭園を鑑賞するためだ。横浜庭園の代表格、三溪園に行くのである。私たちのような無類の庭園好きにとって多少の暑さなんかは関係ない。暑さに負けるな!という強い意気込みで、私たちは待合(待合:茶庭において茶会に参加する人々が待ち合わせるところ。要

          スキ
          1
          • 六本木ヒルズの毛利庭園(知識編)

            毛利庭園は六本木ヒルズの付属庭園。よって森ビルが管理している。もとは毛利秀元(1579~1650)以来、長府藩の江戸屋敷だった。明治時代になって所有者がいろいろと変わって、1952年からニッカウヰスキー、1977 年からテレビ朝日が所有。2000年から六本木の再開発が始まって、2003年の六本木ヒルズのオープンとともに「毛利庭園」となった。森ビルの「森」と「毛利」の音が似ていたり、オープンの際に宇宙飛行士の「毛利衛」が庭園内の池にメダカを放流するイベントを行なったり、ダジャレ

            • 浜離宮(知識編)

               浜離宮は「離宮」(天皇の別荘)といいながら「大名庭園」である。この訳はすぐ近くにある旧芝離宮と同じなので、前回の投稿「旧芝離宮(知識編)」をご一読願いたい。  江戸の大名庭園は、水戸藩・徳川光圀の「六義園」、側用人・柳沢吉保の「後楽園」、小田原藩・大久保忠朝の「楽寿園」(現・旧芝離宮)などがあるが、今回の「浜離宮」はどんな大名の庭園か。大名のトップ・オブ・トップ、徳川将軍家である。浜離宮は徳川将軍家の別荘だったのだ。別荘になった経緯を説明すると、もともとは甲府藩主・徳川綱

              • 旧芝離宮(知識編)

                 旧芝離宮は、小石川後楽園・六義園と並ぶ江戸時代の大名庭園。しかし名前は天皇の別荘を意味する「離宮」。どういうことか。離宮の最も有名な例は京都の桂離宮と修学院離宮だろう。この2つは江戸時代に天皇の別荘として作られた庭園。一方で旧芝離宮は江戸時代に作られた大名の庭園を、明治時代になって宮内庁が購入して天皇の別荘となった。要は、桂離宮と修学院離宮が新築物件であるのに対し、旧芝離宮は中古物件というわけだ。そのうえ1924年からは東京市(現・東京都)の所有になっているので、実際に天皇

                • 小石川後楽園(知識編)

                  「後楽園球場」「後楽園ホール」は知っていても、その元ネタである「小石川後楽園」を知っている人は少ない。「後楽園球場」(現・東京ドーム)も「後楽園ホール」も、みな「小石川後楽園」の隣にあるから「後楽園」という名が付けられたのだ。  では「後楽園」とはどういう意味か。これは「先憂後楽」(人より先に心配し、人より後で楽しむ)という政治家・リーダーの心構えを表す中国由来の言葉からきている。  そんな小石川後楽園をつくったのは水戸藩の初代藩主・徳川頼房(1603~61、家康60歳の時

                  • 六義園(知識編)

                     六義園は江戸時代の柳沢吉保(1659~1714)という政治家が自ら設計した庭園。吉保は5代将軍・徳川綱吉(1646~1706、生類憐れみの令でお馴染みの)に寵愛され、その出世物語は講談『柳沢昇進録』として今も寄席に行けば聞くことができる。目まぐるしい勢いで出世するなかで貰った土地の1つがこの六義園だ。1702年に吉保自ら設計してオープンした。「六義」とは、紀貫之(?~946)が『古今和歌集』(905)の序文で記した和歌の分類方法(さらにその元ネタは中国の詩の分類方法)。吉保

                    スキ
                    9
                    • 小石川後楽園(紀行編)――旅行気分を味わいましょう

                      小石川後楽園は楽しい庭園だった。私たちは今回で2度目の訪問。前回も感じたことではあるが、やはり小石川後楽園ほど賑やかな庭園は他にないと思う。というのも借景。借景とは、庭園の外の山や海などの景色をあえて見せ、空間に広がりを感じさせる日本庭園の技法のことだが、ここ小石川後楽園の借景はまさかの東京ドームである。さらにその奥には東京ドームシティアトラクションズのジェットコースターが見える。ジェットコースターが見える庭園に、少なくとも私たちはこれまでに一度も訪れたことはない。そもそも日

                      スキ
                      1
                      • 旧芝離宮恩賜庭園(紀行編)――借景は建設中

                        庭園には様々なしかけがある。例えば、水の上を歩いているような気分が味わえる「沢飛石」があったり、舟や橋を使って池に浮かぶ島に辿り着くといった、冒険心をくすぐられる「中島」があったりする。これらはすべて来園者の心を惹きつけるために作られたものである。私たちは園内にあるこれらの要素のことを「アトラクション」と呼び楽しんでいるのだが、ここ旧芝離宮恩賜庭園は私たちのようなアトラクション目当ての来園者に優しい。なぜなら、エントランス前に園内の各アトラクションの看板がずらりと展示されてい

                        • 浜離宮恩賜庭園(紀行編)――海を題材にしたテーマパーク

                          日本庭園の様式 日本庭園の様式はややこしい。私たちはこれまでに数々の庭園にインパしてきたつもりだが(インパとはインパークの略で、主にディズニーオタクの間でランドとシーに入園することを言うのだが、私たちは庭園を訪ねることもインパと呼んでいる)、いまだに訪れた庭園に対して、「これは○○式庭園だ!」と自信を持って答えられないケースは多くある。そもそも様式というのは、具体的には「池泉回遊式」とか「枯山水」とか「浄土式」とかたくさんあるのだが――私たちも当初、これらの名前を聞いたこと

                          スキ
                          2
                          • 牧野記念庭園(紀行編)――来春朝ドラのモデルは生粋のエンターテイナー

                            2023年前期の朝ドラが日本の植物学の父・牧野富太郎をモデルにした『らんまん』に決定したことが発表された。主演は神木隆之介、ヒロインは浜辺美波。庭園好きでありながら植物好きでもある私たちがこのドラマを見ない理由はない。それに付随して牧野記念庭園は、私たちがドラマの放送前に必ず行っておかなければならない庭園なのであった。 1853年、アメリカの使節ペリーが日本に来航した。世に言う幕末時代の始まりである。そんな時代に牧野富太郎は土佐藩(現在の高知県)で産声を上げた。同郷の坂本龍

                            スキ
                            2
                            • ホテルニューオータニ庭園(紀行編)ーー滝の上下二刀流

                              大谷、と聞くと誰を思い浮かべるだろうか。今は何と言ってもメジャーリーグで活躍する野球選手、大谷翔平の名が挙がるのが当然であろう。投打二刀流は今年も健在、日々その驚異的な記録を塗り替え、我々日本人を興奮させている。しかし、それと同時に忘れてはいけない「オオタニサン」がいる。大谷米太郎だ。言うまでもなく、ここホテルニューオータニの創業者である。ホテルニューオータニは1964年、東京オリンピックが行われた際に、国の要請のもと創業した。もともとは伏見宮邸宅であって、戦後外国人の手に渡

                              スキ
                              2
                              • 島薗家住宅(紀行編)――アベンジャーズを見る前に

                                アベンジャーズ展 2022年4月16日から六本木の森アーツセンターギャラリーでアベンジャーズ展が開催されている。アベンジャーズとは言うまでもなく、マーベル・スタジオが製作する映画のスーパーヒーローたち(アイアンマン、ハルク、キャプテンアメリカなど)が集結したチームのことであり、マーベル映画をこよなく愛する私たちにとってこの展覧会は、必ず行かなければならないものなのであった。しかも、その時はちょうど最新作『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』の公開前かつDi

                                スキ
                                3
                                • 小石川植物園(紀行編)ーーイチョウの精子発見から美女と野獣まで

                                   小石川植物園といえばなんといってもやはりイチョウの精子発見の場所としておなじみだ。なにも知らない人からすると、「イチョウの精子発見」というそのインパクトのある言葉に強い興味をそそられる。しかし、これは決して安易な下ネタで来園者の気を引こうとしているわけではなく、日本の、いや世界の植物学の歴史を語る上では欠かせない偉大な研究成果そのものなのである。そもそも植物に精子があること自体に疑問を持つ人も多いだろう。だが、地球上に早期に出現したコケ植物、シダ植物にはべん毛を使い卵のもと

                                  スキ
                                  6