先日、親戚の通夜に参列した際、帰り際に一人の女性が話しかけてきた。 その女性は母方の近い親族で、私自身はほとんど交流のない人だった。 「○○くん(私)、ちょっと…
私の人生における責任を、いったい私以外の誰が取ってくれるというのか。 友人との予定でびっしりと埋め尽くされた予定帳を何度も見返す。 独りの時間が大切で、人と会う…
もしも会社に火をつけたなら、それはきっとニュースに取り上げられるだろう。 労働環境への視線が厳しい昨今、仕事に追い詰められ会社に火をつけた男のニュースは、男のつ…
頭が良くない私。 仕事ができない私。 運動ができない私。 友達が少ない私。 顔も体型も褒めがたい私。 好きな人に振り向いてもらえない私。 笑ってしまうくらい、い…
何がダメだったんだろうな。 きっと全部ダメだったんだろうな。 もちろん、私の好意の先に優しい未来が待っていることを期待したわけではない。わかっていたけど。やっぱ…
ゲイの友人が結婚した。 女の人と結婚した。 「近々電話できる日ある?」 明日の夜なら、と返しながらトーク履歴を見ると、最後のやり取りは1年近く前の通話履歴であった…
私は自分の話をするのが好きだ。 自分の話で笑ってもらうことが好きだ。 楽しかったこと、悲しかったこと、自分の中の喜怒哀楽を共有することが好きだ。 友人に話すのはも…
「うわ、めっちゃタイプなんだけど」 男は私を見るなり嬉しそうに言った。 合コンにいい思い出がない。 人生最高のコンディションを更新して臨んでも、いつも自分の身を自…
―この歳にもなって飲み会で酔い潰れて、この前公園で朝を迎えたんだよね。 ―うわ、最悪じゃん。でもわかるよ。年々お酒に弱くなってる気がする。 ―自分がアラサーって…
王子様は迎えに来ない。 なぜなら私はお姫様ではないのだから。 そんな当たり前のことに気付いたのは、齢27にしてのことであった。 「リアルしなきゃ恋人できないよ」 「自…
寛容な人になりたかった。 あらゆる物事を許し、受け入れ、祈ることができる人。 10の悪意に対して、それを10の善意、いや、100の善意で受け入れられる人。 目指すもの…
こんな生き方が理想で こんな恋愛をしたくて こんな人間になりたくて 理想を語るとあいつらは決まって「若いね、いいね」と笑った。 幼い子どもが野球選手やサッカー選手、…
私は別れた相手の不幸を願う。 泣くのも馬鹿馬鹿しくなるくらい この世のすべてが嫌になるくらい 誰よりも誰よりも不幸になってほしい。 そんな私にもたった一人、不幸を…
愛しいと思った。 浩輔を、龍太を、龍太の母親を、愛さずにはいられなかった。 そして、なぜか謝りたくなった。 真っ直ぐな浩輔に。 すべてを受け入れた龍太に。 欲しい…
頑張らなくていいよ。 無理しなくていいよ。 生きてるだけで偉いんだよ。 肯定してくれる世界の優しい言葉たち。 うるせぇよって思う。 黙ってろって思う。 本当にそれ…
「男」 誕生日プレゼントの要望を聞かれた私は、迷うことなくそう答えた。 本気で男が欲しかったわけではない。 このやり取りは私と友人の間で何年も続けられた儀式で、形…
ありわらの
2024年8月25日 19:00
先日、親戚の通夜に参列した際、帰り際に一人の女性が話しかけてきた。その女性は母方の近い親族で、私自身はほとんど交流のない人だった。「○○くん(私)、ちょっと相談したいことがあるんだけどいい?」親密ではない人間からのかしこまった話ほど怖いものはない。断りたかったが内容を聞く前に断れるはずもなく、軽く微笑みながら「どうしたんですか?」と返した。「ここだとどうしても話しにくいから、このあ
2024年6月30日 20:28
私の人生における責任を、いったい私以外の誰が取ってくれるというのか。友人との予定でびっしりと埋め尽くされた予定帳を何度も見返す。独りの時間が大切で、人と会う予定は1週間に1つまでと決めていた去年までの私が見たら卒倒してしまうだろう。フェス、飲み、美術館、ライブ、旅行、月に1つでも入っていれば大イベントだった予定が、休日だけではなく平日にも入っている。生き急ぐかのように詰め込まれた予定
2024年3月31日 18:56
もしも会社に火をつけたなら、それはきっとニュースに取り上げられるだろう。労働環境への視線が厳しい昨今、仕事に追い詰められ会社に火をつけた男のニュースは、男のつけた火よりもはるかに大きく燃え上がるかもしれない。「そこまで追い込んでしまうほどの激務だったのでしょうか?」マイクを向けられた上司は、嘘偽りなく事実だけを答えるはずだ。「いいえ、まったく。他の人と大差ない仕事量でした」最近、
2023年12月17日 19:24
頭が良くない私。仕事ができない私。運動ができない私。友達が少ない私。顔も体型も褒めがたい私。好きな人に振り向いてもらえない私。笑ってしまうくらい、いいところのない私。それでも、それでも、大切な私。手放しに自分を愛せたら、どれほどよかっただろう。誰からも愛されずとも、一人の人間であるという事実だけで自分を貴い存在だと思えたら、どれほどよかっただろう。私は自分を大
2023年10月22日 21:17
何がダメだったんだろうな。きっと全部ダメだったんだろうな。もちろん、私の好意の先に優しい未来が待っていることを期待したわけではない。わかっていたけど。やっぱり世の中そんなに甘くないね。付き合えたら、もし誰かと付き合えたら、しばらくは誰にも言わず自分の中だけで大切にしていたい。そんな願望のある私が筆をとっている時点で、この恋の結末は明らかなものとなってしまっている。ただ、こんなに
2023年9月24日 19:09
ゲイの友人が結婚した。女の人と結婚した。「近々電話できる日ある?」明日の夜なら、と返しながらトーク履歴を見ると、最後のやり取りは1年近く前の通話履歴であった。たしかこのときは私が酔って電話をかけたのだった。なぜ彼に電話をかけたのか、会話の内容さえ覚えていない。ただ、電話の切り際、いつも憎まれ口しか叩かない彼が「早くまた会いたい」と言ったのを鮮明に覚えている。「急になんだよ、明日
2023年8月27日 21:09
私は自分の話をするのが好きだ。自分の話で笑ってもらうことが好きだ。楽しかったこと、悲しかったこと、自分の中の喜怒哀楽を共有することが好きだ。友人に話すのはもちろん、noteやTwitterに書き、話を聞いてもらうためだけに売り専を買ったりもする。就職活動における面接なんて、ひたすら私に対しての質問をしてくれるものだから楽しくて仕方がなかった。それほどまでに、私は「自分を知ってほしい
2023年7月22日 21:06
「うわ、めっちゃタイプなんだけど」男は私を見るなり嬉しそうに言った。合コンにいい思い出がない。人生最高のコンディションを更新して臨んでも、いつも自分の身を自分で抱きしめて帰路につく。ニコニコと座っているだけでは見てももらえず、笑いを取りに行けば「次の合コンでも盛り上げてほしい」とお笑い要員になってしまう。Twitterやnoteに書いてはネタにして、自分の中で折り合いをつけてい
2023年6月9日 21:11
―この歳にもなって飲み会で酔い潰れて、この前公園で朝を迎えたんだよね。―うわ、最悪じゃん。でもわかるよ。年々お酒に弱くなってる気がする。―自分がアラサーって信じられない。大学の頃から本当に何も変わってない気持ちだし。―わかるわかる。大学の頃、バカみたいに遊んでたのが昨日のことのように思えるよな。―やばい。自分の想像してた大人と違いすぎる。―わかる。マジで過去の自分に申し訳ねぇ。わ
2023年5月29日 21:03
王子様は迎えに来ない。なぜなら私はお姫様ではないのだから。そんな当たり前のことに気付いたのは、齢27にしてのことであった。「リアルしなきゃ恋人できないよ」「自分から行動しなきゃ」友人から口うるさく言われてきたが、なぜか運命の人が勝手に現れるものだと思っていた。「勝手に」という表現だと語弊があるかもしれないが、何となく出会って、何となく結ばれて、何となく幸せになる、そんな未来が当た
2023年4月30日 21:43
寛容な人になりたかった。あらゆる物事を許し、受け入れ、祈ることができる人。10の悪意に対して、それを10の善意、いや、100の善意で受け入れられる人。目指すものではなく自然とそんな人間であることが理想ではあったが、少なくとも私がこの世に生まれ落ちたとき、悲しくもそのような性質を持ち合わせてはいなかった。持っていないからこそ憧れたし、意識をした。相手の心ない言動には何か背景がある
2023年3月28日 21:02
こんな生き方が理想でこんな恋愛をしたくてこんな人間になりたくて理想を語るとあいつらは決まって「若いね、いいね」と笑った。幼い子どもが野球選手やサッカー選手、ましてや仮面ライダーやウルトラマンになりたいと言ったわけではない。社会の一員となった青年がただただ理想の在り方を語っただけ。それなのにあいつら老害は、その理想を存在しえない夢物語かのように笑い、否定してきた。「考え方が若い
2023年2月26日 22:12
私は別れた相手の不幸を願う。泣くのも馬鹿馬鹿しくなるくらいこの世のすべてが嫌になるくらい誰よりも誰よりも不幸になってほしい。そんな私にもたった一人、不幸を願わない元恋人がいる。19歳のときに付き合った15歳上の相手だ。今思えば未成年と付き合う35歳にまともな人間がいる確率は限りなく0に近いのだが、背伸びをしたかった当時の私には関係のないことだった。彼の名前を、たかみち(仮名)とで
2023年2月18日 20:15
愛しいと思った。浩輔を、龍太を、龍太の母親を、愛さずにはいられなかった。そして、なぜか謝りたくなった。真っ直ぐな浩輔に。すべてを受け入れた龍太に。欲しい言葉をくれる龍太の母親に。「ありがとう」と「ごめんなさい」を繰り返してしまう、そんな映画だった。~映画あらすじ~14 歳で⺟を失い、⽥舎町でゲイである⾃分を隠して鬱屈とした思春期を過ごした浩輔。今は東京の出版社でファッショ
2023年1月22日 20:46
頑張らなくていいよ。無理しなくていいよ。生きてるだけで偉いんだよ。肯定してくれる世界の優しい言葉たち。うるせぇよって思う。黙ってろって思う。本当にそれだけでいいのなら、私たちはこんなにも悩まない。本当はわかってるんだ。それだけじゃいけないってことくらい。何のために働くのだろう。何のために生きているのだろう。自分という存在は一体何者で本当の幸せは何なのか。悲しくも
2022年12月26日 21:02
「男」誕生日プレゼントの要望を聞かれた私は、迷うことなくそう答えた。本気で男が欲しかったわけではない。このやり取りは私と友人の間で何年も続けられた儀式で、形骸化した挨拶のようなものだった。だから友人も慣れた様子で返事をした。「オッケー。かしこまり」今年は何になるのだろう。去年、「男」として用意されたのは数多くのアダルトグッズだった。少し頭のおかしい友人のことだ。レンタ