【展覧会レポ】東京都写真美術館「今森光彦 にっぽんの里山」
【約2,400文字、写真約5枚】
東京都写真美術館(以下、TOP)で「今森光彦 にっぽんの里山」を鑑賞しました。その感想を書きます。
結論から言うと、大自然の美しい写真には嘆息するばかりでした!日本各地の「里山」の存在を再認識することができ、今後の旅先候補の参考にもなりました。特に、虫・花・風景などを撮影することが多い人にとって、おすすめの写真展です。
▶︎「今森光彦 にっぽんの里山」感想
要は「里山」を美しい写真で撮り続ける今森光彦の展覧会です。なお、展示室内はすべて撮影不可でした。
展示室は5つのセクション(春・夏・秋・冬・映像の部屋)で構成。季節で区切った空間のはじめには、今村光彦による詩が掲げられていました。アーティストの生の言葉(しかも本人の考えが凝縮された詩)を読むことで、作品の裏にある情緒も知ることができるため、良いアイデアだと思いました。
また、その詩には英語も併記されていて、アクセシビリティの面からも大変良いと思いました。それも含めて、TOPはほぼすべてのキャプションが英訳されているため、いつも感心します。
▼英語キャプションが不足していると感じた大倉集古館
会場には鮮やかで四季折々の里山写真が並びます。ただひたすら全てが美しいです。私が八百万の神に感謝する日本人だからか、このような写真を見ると、とても清らかな気持ちになりました。外国人の方は、これらを見てどのように感じるのか、聞いてみたいとも思いました。
どの写真も、色味がビビッドで、ピントがバシーン!と合っています。虫、動物、植物のマクロ写真も美しかったため、まるでCGのように見えました。一つひとつを何かのコンクールに出しても、何かしらの賞が取れそうです。私は特に、北海道のひまわり畑を撮影した写真が気に入りました。
展示室には、さまざまな県の写真があるため「この写真は何県のどこだ?」と見るのも楽しいです。自然を感じることが好きな私は「いつかこんなところに旅行に行きたいなぁ」と、旅先の参考にもしながら鑑賞していました😀
なお、今森光彦の父親は長野県出身、ご自身は滋賀県生まれだそうです。自然いっぱいの環境で育ったバックボーンがあった上での作品になっていることは納得感がありました(写真は独学だそう)。去年、私も諏訪湖(長野)に行ったことがあります。その時は大自然の素晴らしさに感心しました。
▼私が諏訪湖(長野)を訪れた際に感動を覚えたnote
現在、私が住んでいるところに自然は多くありません。休みの時は遠くに足を伸ばし、しっかり自然をチャージしないといけない、と感じました。
展覧会の最後に、今森光彦の語る動画(8分30秒)がありました。今森光彦曰く「里山とは人と生き物が暮らしている空間」を言うそうです。キーワードは「人・生き物」だと思いました。
今森光彦は、生き物に囲まれた環境で育ったため、生き物が大好き。写真を撮る際、生き物の立場で物を見るそうです。ただ「美しい」だけの風景は撮らない。風景の中に「命のつながり」を見たい、とのことでした。
田んぼ、雑木林は人が作りました。生き物は人がいないと生きられないし、その逆も然り。里山は過去の姿ではなく、未来に取り戻していく風景になればいいな、と今森光彦がコメントしていました。
なお、珍しい取り組みとして、この動画には別途「手話による展覧会解説動画」もありました。
このような対応は、2024年4月から施行されている「改正障害者差別解消法」に関心が高まっている結果かもしれません(TOPの事業主体は"東京都"のため、主体的に対応していると思います)。
私は最近、聴覚障害者である伊藤芳浩が記した『マイノリティ・マーケティング』を読みました。その影響で、今までは気付かなかった、手話対応などの取り組みにも目が行くようになりました。
ただし、この動画に英語字幕がないことが気になりました。実際に、外国人の方も私と同じ時間に動画を見ていました。手話の動画を別途制作するのではなく、日本語・英語の字幕を挿入すれば良いのでは?と思いました。
「詩も含めて、すべてのキャプションに英訳があって、さすがTOP👏」と思っていたため、最後の片手落ちは少し残念でした。
会場の来場者はほぼ私だけ、貸切状態でした。同日に訪れた3階のコレクション展は賑わっていたため、少し不思議でした…🤔
▼同日に鑑賞したTOPの展覧会
▶︎まとめ
いかがだったでしょうか?大自然を写す美しい写真の数々は目を奪われるばかり。「里山」の存在についても改めて意識が向かったと同時に、普段の撮影の勉強にもなりました。動植物や風景写真を撮ることが多い人には特におすすめの展覧会です。
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