【展覧会レポ】東京都写真美術館「光と動きの100かいだてのいえー19世紀の映像装置とメディアアートをつなぐ」
【約2,700文字、写真約35枚】
東京都写真美術館(以下、TOP)で開催中の「いわいとしお×東京都写真美術館 光と動きの100かいだてのいえ―19世紀の映像装置とメディアアートをつなぐ」を鑑賞しました。その感想を書きます。
結論から言うと、一般的な写真展とは一線を画し、手と目を使って子供も楽しめる展覧会でした(もちろん大人も!)。有名な絵本作家である岩井俊雄も協業していることに加え、触れる作品が多いためです。子供にとって東京都写真美術館は身近な存在ではないため、このような取り組みは定期的に実施していただけるとありがたいです。
▶︎「光と動きの100かいだてのいえー19世紀の映像装置とメディアアートをつなぐ」感想
「写真」の始まり(1826年)は、フランスのニエプス兄弟によるカメラ・オブスクラの発明と言われています。TOPでは、写真作品だけでなく、カメラが発明される前の装置も多く収蔵しています。
▼TOPに収蔵する「覗き見る」装置を紹介した展覧会
今回の展覧会の前半パートでは、静止画が動く仕組みを触れる装置とともに紹介、後半パートでは、いわいとしお(以下、岩井俊雄)によるアナログとデジタルを用いた作品が展示されています。
有名な絵本作家の岩井俊雄が協業していることで、TOPでは珍しい親子連れが多く来場していました(私は子供と来なかったことを後悔😨)。
入り口正面に、展覧会のタイトルにある「100かいだてのいえ」をモチーフにした作品がありました。しかし、私は岩井俊雄を存じ上げなかったためスルー😅。なお、私の子供は「100かいだてのいえ」をよく知っていて、持ち帰ったパンフレットに興味津々でした(保育園で絵本を読んでいるらしい)。
今回の展覧会は、1)触れる展示物が多い、2)現代アートのような楽しい作品が多かったため、TOPにしては画期的で珍しい構成でした。近年のTOPは「写真ってそもそもどういう歴史があるの?どういう構造をしているの?」的なテーマを、様々な角度から試行錯誤している気がします。
それこそ、TOPの写真美術館の基本的性格に「写真芸術・文化を普及するために、人々が気軽にすぐれた写真作品を鑑賞し、学ぶ」「映像メディアの発達の歴史を学ぶとともに多様な表現の可能性を探ります」とあるように、「写真美術館」として必要な展覧会だと思いました。
「写真」を見て「ふむふむ…」と鑑賞するだけではなく、「写真という概念」も含めたものから閃きや新しい考えを得られるのは、TOPならではの強みだと思います。
✔️前半パート
前半パートでは、TOPの収蔵品を中心に、特に重要と思われる発見や映像装置、その歴史を紐解いていきます。
ここは触れる装置がたくさん!私の子供は「触れるものがないと美術館に行かない!」と言うくらいなので、この展示に子供は大喜びでしょう。理科の実験のようで楽しいです。
実業家のリーランド・スタンフォード(1824-1893)は「馬が走る時、脚が4本とも地面を離れる時間はあるか?」友人と賭ました。その証明のため、写真家のエドワード・マイブリッジは写真技術に改良を重ね、その瞬間の撮影に成功しました。
これらの写真により一瞬の動きを分析できたことで、科学、芸術などに大きな影響を与えたと言われています。
✔️後半パート
1962年生まれ(鉄腕アトムの放送開始)の岩井俊雄は、幼少期からアニメや特撮番組に夢中になり、パラパラマンガや電気工作などに親しみました。中学生の頃は漫画家やアニメーターに憧れ、高校で美術に開眼。筑波大学芸術専門学群に入学し、独自のメディアアートの道を開拓したそうです。
後半パートでは、ほぼすべての作品が目の錯覚を利用する作品のため、画像でこの展覧会の良さは伝えられません…(苦笑。是非、現地に足を運んで、目と手を使って楽しんでください😀
▶︎まとめ
面白さが伝わりましたでしょうか?「写真展」という枠をぶち破り、東京都写真美術館の良さを活かしつつ、知的好奇心を満たすような目と手を使って楽しめる展覧会でした。お子さんがいらっしゃる方は、是非、一緒に訪問することをおすすめします!良さを記録に残すのが難しい展覧会は久しぶりでした…(苦笑。
▼同日に鑑賞したTOPの展覧会
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