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あおひげと、 ケイタイ、
マユは、深夜のベッドルームで夫の携帯を手に持ち、身体を振るわせていた。彼女の顔は、画面の青白い光に照らされて闇に浮かび上がっていた。
* * * * *
「あの青髯?」
「そう、昔話の青髯の話、知ってるでしょ。それをね、現代風に書き直したショートストーリー。英語も難しくなかった。面白かったよ。」
同じ学部のマユとユカは、週一で英語の短編を読み、討論する読書会をしていた。友達同士のこ
母をテーマに2つのストーリーを書きました
今年も、母の日が終わり、私は少しホッとしています。
母の日の前は、毎年、心がざわざわとするのです。親孝行しなくては、母に優しくしなければ、というプレッシャーがあります。お花を買って、スウィーツを贈って、一緒に楽しくおしゃべりして、なんてできる方、羨ましいです。
私を生み育ててくれた母には、言葉にならないほど感謝の気持ちがあります。彼女の愛情を疑ったことはないのです。彼女が何よりも子どもと家族を
風に舞う鳥と、カーネーション。
僕の母は、風に舞う鳥のようだと思った。
良く晴れた日曜日。その日は母の日だった。
お小遣いで買った一輪のカーネーションと母が好きだと言っていたナッツの入ったチョコレートの小さな箱を手に、ご機嫌で家に帰った。
それなのに台所にも居間にも、母はいなくて、僕は、2階の寝室やトイレや風呂場を覗いて回った。母がいつも身につけていたエプロンはダイニングテーブルの椅子にかけられていた。買い物に行く時にもつ
ほのぼの夫と、日々の出来事
出会うまでのバックグラウンドも、興味の対象も、重なるところがない夫と私。重ならないのが、平和な家庭維持の秘訣なのかもしれません。それでも、紆余曲折の結婚生活。「さまざまな危機をどうにか二人で乗り越えてきたなぁ」と感慨深く思うのは夫も同じでしょう。夫との平和な日々を日記に記します。
喧嘩の回避術。
20代最後の大失恋を経験したのち、傷も癒えぬボロボロの状態で、夫と出会いました。勢いだったのか、も
ここにいられないから。春の海辺で。
めずらしく9時前に帰って来た夫と、ユミカは、夕食の食卓に向かい合った。
「今日のイサキ、美味しいね。どこで買ったの?」
「んっ? いつもの魚マサさん。おじさんが、今日はイサキだっていうから。初がつおも美味しそうだったからねぇ、迷ったんだけど。」
「もう5月だから。イサキの美味しい季節だね。初かつおはまたのお楽しみにしよう。」
夫はニコニコしながら、イサキの塩焼きを大根おろしと一緒に食べてい