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チベット・インド旅行記

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『世界の秘境チベットに向かって埼玉県からヒッチハイク!?』数々の出会いやアクシデントを越えて、果たしてまえだゆうきはチベットまで辿り着くことは出来るのか!? 10代ならではのみず… もっと読む
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チベット・インド旅行記【最終回】

チベット・インド旅行記【最終回】

チベット・インド旅行記 #48 ,エピローグ長く、長く続いた旅も、季節がやがて移り変わるように、静かに終わりを迎える時がくる。

日本に帰ると決めてからの日々はあっという間だった。

街のチケット屋で飛行機のチケットを買い。
ラジパレスのクリスに、作った坐蒲(ざふ)を寄付し、家の掃除を済ませ、明け渡しを行う。

何ヶ月かぶりに荷物をまとめ、パンパンになったリュックサックを背負うとずっしりと重みが両肩

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そうだな…帰ろうか。お前の帰るべき場所に

そうだな…帰ろうか。お前の帰るべき場所に

チベット・インド旅行記 #47 ,リシュケシュ⑤【前回までのあらすじ】まえだゆうきはインドの山奥で、遂に座禅のクラスを始める事になった。

【座禅の作法】

みなさんこんにちは。
それでは、これから座禅のクラスを始めていきたいと思います。

まずは、皆さんが座る坐蒲(ざふ、座禅用のクッション)を選んで下さい。
選び終わったら、自分が座る場所にそっと坐蒲を置き一礼します。

一礼が終わったらくるりと体

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インドに来て4ヶ月。素直なインド人を生まれて初めて見た瞬間である。

インドに来て4ヶ月。素直なインド人を生まれて初めて見た瞬間である。

チベット・インド旅行記 #46 ,リシュケシュ④【前回までのあらすじ】まえだゆうきはロシア人師匠のサーシャと、インドの山奥で、ツーリスト向けの禅のクラスを始める事になった。

昔々、インドのお釈迦さまのもとに一人の修行僧がやって来て尋ねた。

「お釈迦さま、心の中の雑念がどうしても止まなくて苦しいのです。
 どうすればこの心を静める事が出来るのでしょうか」。

お釈迦さまは修行僧の話を聞くと、川のた

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インドで日本猿(マッカッカー)と闘った話

インドで日本猿(マッカッカー)と闘った話

チベット・インド旅行記 #45 ,リシュケシュ③【前回までのあらすじ】まえだゆうきはロシア人師匠のサーシャと、禅の修行の為、インドの山奥に一軒家を借りたのであった。

リシュケシュの街から徒歩20分ほどの山の麓に、街を見下ろすように建つ一軒の家がある。

私にとっての秘密基地。サーシャにとっての禅の道場。
名付けて「ZEN DO(禅道)アシュラム」である。
 

敷地には広々とした芝生の庭が広がり、

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何気ない毎日のルーティーン。それもまた、旅の一つの醍醐味なのである。

何気ない毎日のルーティーン。それもまた、旅の一つの醍醐味なのである。

チベット・インド旅行記 #44 ,リシュケシュ②【前回までのあらすじ】ロシア人師匠のサーシャと禅の修行を始めた、まえだゆうきは、ヨガの聖地リシュケシュで本格的に修行を始めたのであった。

1つの街に2週間以上滞在すると、自然とお気に入りの店や、行きつけのレストランなどが出来てくる。
何気ない毎日のルーティーン。それもまた、旅の一つの醍醐味なのである。

リシュケシュ一の吊り橋、ラクシュマンジューラの

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私は旅に出た事でほんの少しだけ、自由になったのかもしれない。そんな事をふと、思った。

私は旅に出た事でほんの少しだけ、自由になったのかもしれない。そんな事をふと、思った。

チベット・インド旅行記 #43 ,リシュケシュ①【前回までのあらすじ】ロシア人師匠のサーシャと禅の修行を始めた、まえだゆうき。一向はヨガの聖地リシュケシュへとやってきた。

【リシュケシュ】インド東北部、ヒマラヤ山脈の近くに位置するヨガの聖地。インド国内はもちろん、海外からも巡礼や修行の為に大勢の人が訪れる。

世界的ロックバンドのビートルズも修行と作曲の為にリシュケシュに滞在し、髪の毛ぼうぼう髭ぼ

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現代に残る河童伝説、バンブーババとの出会い

現代に残る河童伝説、バンブーババとの出会い

チベット・インド旅行記 #42 ,マナリ【前回までのあらすじ】ブッダガヤを旅立ったまえだゆうきとサーシャは、インド北部マナリへと辿り着いた。

マナリの村に到着したのはまだ夜も明けやらぬ早朝の5時。

バスのタラップから降り立つと、ざらめのような寝雪が靴底でざくっと音を立てた。
標高2050m、山間の集落はまだ眠りの中。
粉雪の舞う坂道を、サーシャと二人登っていく。

 
山の斜面の少し開けた所に

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何も求めず、囚われず生きていく。それは一体、どういう事なんだろう。

何も求めず、囚われず生きていく。それは一体、どういう事なんだろう。

チベット・インド旅行記 #41 ,ブッダガヤ④【前回までのあらすじ】まえだゆうきは、インドのブッダガヤで出会ったロシア人のサーシャと、修行の旅に出る事にした。

2004年大晦日。
ブッダガヤの日本寺は、年越し蕎麦が振る舞われるという噂を聞きつけてやって来た大勢の人達で賑わっていた。 

境内では炊き出し用の鍋が設置され、発泡スチロールの器に蕎麦が配られ、除夜の鐘がゴーン、ゴーンと鳴り響く。 
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もしかしたら、いつの日か禅の極意を掴む日が来るかもしれませんね。

もしかしたら、いつの日か禅の極意を掴む日が来るかもしれませんね。

チベット・インド旅行記 #40 ,ブッダガヤ③【前回までのあらすじ】まえだゆうきは、インドのブッダガヤで10日間の瞑想コースを受けたのであった。

旅は風を切りながらどこまでも転がり続けていく。ブッダガヤ郊外のゲストハウス、ババアシュラムには、ヴィパッサナー明けのメンバー達が集まり、今日もわいわい楽しくやっている。

中でも特に仲良しだったのが、私と、ロシア人のサーシャと、日本人のマモさん。

マモ

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何気なく暮らすこの星も、よく見てみれば不思議が溢れている。【インドヴィパッサナーメディテーション】

何気なく暮らすこの星も、よく見てみれば不思議が溢れている。【インドヴィパッサナーメディテーション】

チベット・インド旅行記 #39 ,ブッダガヤ②【前回までのあらすじ】ブッダガヤへと辿り着いたまえだゆうきは、10日間の瞑想コースを受けることになったのであった。

【ブッダガヤ・ヴィパッサナー瞑想センターの決まり】

 ■ 10日間の瞑想コース中は誰とも話をしてはいけない。
 ■ 10日間の瞑想コース中は誰とも目を合わせてはいけない。
 

【ブッダガヤ・ヴィパッサナー瞑想センターの戒律】

 ■

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この世界は美しい。心からそう思う。

この世界は美しい。心からそう思う。

チベット・インド旅行記 #38 ,ブッダガヤ①【前回までのあらすじ】まえだゆうきはバラナシの街を離れ、南へと向かうのであった。

乾いた大地の上を、列車はゴトゴトと音を立てながらゆっくりと走っていく。

向かいの座席に座るレイは高校時代の同級生で、日に焼けた小麦色の肌に長く伸ばした茶髪のおさげがよく似合う、よく笑う活発な女の子だ。

インドへは、夏の間山小屋でバイトをして貯めたお金を使って、思い切っ

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今日も、明日も、明後日も、ガンジス河は何も言わずに流れていく。

今日も、明日も、明後日も、ガンジス河は何も言わずに流れていく。

チベット・インド旅行記 #37 ,バラナシ④あれからどれくらい経ったのだろうか。

毎日つけていた日記もつけるのをやめてしまった。
今日が何日なのか、何曜日なのかさえも分からない。

やる事もない。
やりたい事もない。
ただ、目を覚ましたら、あとはそこにいるだけ。

ゲストハウスを出たら河に向かう。

通り雨が抜けた後の濡れた地面。
粘土質の赤土が、てかてかと光っている。
裸足の男たちが、水たまりを

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サイババに会いに行こう

サイババに会いに行こう

チベット・インド旅行記 #36 ,バラナシ③【前回までのあらすじ】インド、バラナシに熱気に当てられて、まえだゆうきの心は次第に弱っていくのであった。

体が重い。
頭の奥の方で、ずしんずしんと鈍い痛みが響いている。

天井を見上げると、壊れかけのファンがカタカタと風に吹かれて回っている。
薄暗い部屋に、格子窓から光が差し込む。

今日もバラナシの街は暑くなりそうだ。
じわじわと汗が噴き出してくる。

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オーマイゴッド、なんて事だ…。お前の前世は修行僧。しかも私を遥かに上回るチャクラを身体に宿した高僧だったようだ。

オーマイゴッド、なんて事だ…。お前の前世は修行僧。しかも私を遥かに上回るチャクラを身体に宿した高僧だったようだ。

チベット・インド旅行記(最終章) #35 ,バラナシ【前回までのあらすじ】インド、バラナシにて、まえだゆうきの心は次第に弱っていた。

グリコのおまけに付いて来そうな1㎝正方形の小さなタリスマン(お守り)を手に持って、ババ(ヒンディー語で父の意味)がブツブツとマントラを唱えている。

ガジュマルの木のようにどっしりと茂った髭と白髪、おそらく何十年と散髪をしていないのだろう。

ババはインド人男性が好

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