意識的に自分の殻を壊す 私の習慣 その4.1 受験に集中した高校時代の自分を壊ずし知的自由を取戻した日々 当たり前過ぎて意識しなくなっていること
大学の教養課程は楽しい、況(いわ)んや専門課程をや。というお話。
小学生時代、スタートが2年遅れた分を取り戻せず、その2年遅れを最後まで背負って希望の大学に入学しました。そして、弱冠20歳にて4度目の
意識的に自分の殻を壊す
です。正に習慣化が定着してきた時期でした。
入試という他人の決めた知の体系から解き放って自分の知的欲求を基にした学究生活を取り戻す。それを真剣に追求しました。
自分の知的欲求を基にした学究生活の中の前広な教養分野についてまではこちらをお楽しみ下さい。
専門分野。特に当時半導体デバイスとそれを活用したコンピューター分野の発展は目覚ましいものが有りました。
小学生時代から中学生時代、ラジオからオーディオパワーアンプ(ヘッドホンアンプ付き)までを自作しました。ですから個別半導体としてのトランジスタは身近でした。独学で誠文堂新光社の子供の科学、初歩のラジオ、無線と実験と専門書を読み漁り独学でアナログのテスターだけで作りきりました。レコードプレーヤーとプリアンプを揃えてレコードを買うという経済力は無かったので、当時流行していたエアチェックと呼ばれるFM放送をカセットテープに編集録音して楽しむことをしていました。
自室にもFMチューナーが欲しくなりましたが、流石にアナログテスターでは自作不可能で市販品を買いましたが。
余談ですが、そのチューナーはお小遣いや昼食代を節約して貯金し、ソニーの最高級機を買いました。
そして大学時代。OPアンプ(オペアンプ)というひとかたまりの回路を集積した電子部品が簡単に入手できるようになりました。これを使ってレコードプレーヤーとプリアンプを揃えてレコードを買うという経済力を獲得しプリアンプは、独学で回路技術を学びOPアンプを活用して自作しました。
また1年間ですが電子工学も大学で系統的に学んでいたことも大いに役立ちました。
この様な知的興味の赴くままの行動が出来る様になっていたので、最先端の半導体デバイスとそれを活用したコンピューター分野関連の専門科目の講義は楽しくて仕方ありませんでした。
また、半導体デバイスの基礎としての表面物理学というのもハマりました。入学直後の全研究室訪問でこの研究室に入りたいと思った研究分野です。最先端の理学と工学全部盛りの理想的な研究領域。
例えばスタンフォード大学から帰国された教授の講義は最先端の内容でした。後にその教授の研究室に所属できるのですが…
当然 学会誌、例えばPhysical Review誌に論文が掲載されている程度で、まともな教科書も存在せず、教科書を読めば分かるという世界ではありませんでした。
そのPhysical Review誌でも掲載には掲載するレベルにあるか否かを判断するレフリーの審査の時間が掛かり情報が古い。しかし、Physical Review Lettesという速報に近い論文誌からの情報がホットで面白かった…
研究者の生々しい最先端の研究活動を教授が紡(つむ)いで行くという、正に大学ならでは世界。これも楽しくて仕方ありませんでした。
対照的なのは金属工学。流石に歴史ある領域なのでそれなりに教科書は揃って居ました。電子工学や素粒子物理学は兎も角物事シンプルにして考えるという世界。チリ1つ無いクリーンルームや不純物を徹底的に除去した単結晶シリコン、超高真空など。
金属工学は、例えば鉄鋼では石炭をコークスにして火力を上げて、温度を上げた空気を酸素を含んだ気体、熱風として使い1500℃以上の高温を実現。野積の鉄鉱石、石灰を大きな高炉という炉に入れて酸化した鉄を還元して鉄を取り出すというダイナミックさ。
取り出した鉄(銑鉄(せんてつ))を転炉という別の炉に入れて色々な金属を混ぜたり、酸素を吹きかけて炭素量を取り除いたりして細かく作り分け多品種大量生産する。
それを冷やしてブロックにして、熱いままローラーで引き伸ばしたり、水を掛けて冷やしながら引き伸ばしたりして鋼板を作るなど。メッキや塗料を塗る時はハエや蚊が入らない様に網を張って処理する位です。(笑)
これはこれで教科書になっていない大企業のノウハウ含めた機密情報の塊の分野も多くあり、それは工場見学などを含めた講義として楽しめました。
因みにその工場見学は圧巻で前期試験が終わった直後、全国に出向いて、鉄鋼、非鉄、素材加工、各種部品、自動車などの会社の通常の見学コースとは異なる製造現場まで見学させて頂くなど研究開発者のタマゴとして厚遇してくださいました。
軽金属や特に複合材料等新素材と呼ばれた分野も流石に教科書にはなっていない分野でした。
こんな感じで専門過程は深すぎて、それが楽しくてたまりませんでした。
つづく
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