マガジンのカバー画像

常備菜研究室

13
冷蔵庫もなく食品の流通網が今の時代のように整っていない時代は、家庭でも料理屋でも、様々な常備菜を作って活用していました。サステブルな時代における常備菜の見直し、活用を考えます。
運営しているクリエイター

記事一覧

鶏胸肉のリエット  Chicken breast rillettes

鶏胸肉のリエット Chicken breast rillettes

バーの軽食レシピ集
Bar snacks recipe collection

ストーリー
Recipe trivia

夜も深くなると、ちゃんとしたご飯はいらないけれど、ちょっと何か摘みたいという方が多い。居酒屋なら、塩辛とかお浸しというようなことになるのだろうけど、深夜のバーでは洋酒やカクテル、ワインを飲む人も多い。
だから、洋酒とも組み合わせられてちょっと小腹が満たされるよう、自家製パンを

もっとみる
おでんのための練り物専科(さつま揚げ)Fish paste speciality for oden (Satsumaage)

おでんのための練り物専科(さつま揚げ)Fish paste speciality for oden (Satsumaage)

おでん屋のレシピ集
Oden restaurant recipe collection

ストーリー
Recipe trivia

最高のおでんを作るためのこだわりはどこだろうか?まずは「出汁」。これは前にレシピを紹介した。ではその次は?それは間違いなく練り物だ。
何故かというと、おでんという素材はおでんのタネの中で最大のブラックボックスだからだ。大根などの野菜は誤魔化しようがない。野菜自体が不味

もっとみる
白菜キムチ Chinese cabbage kimchi (Korean style pickled cabbage)

白菜キムチ Chinese cabbage kimchi (Korean style pickled cabbage)

僕の関わっている焼肉屋の店舗で、深夜帯に出している自家製白菜キムチのレシピです。
家庭でも作りやすい様にアレンジを加えてありますが、味は本格的な化学添加物無添加キムチです。ベジタリアンとグルテンフリーにも対応しています。これは白菜だけを使った基本のレシピですが、様々な展開や商用の量産対応も可能です。

This is a recipe for homemade Chinese cabbage ki

もっとみる
アスパラガスのお浸し Asparagus marinated in soy sauce

アスパラガスのお浸し Asparagus marinated in soy sauce

僕の関わったダイニングバーでアペタイザーとしてお出しして好評だった一品。アスパラガスが多く出回る季節に常備菜として作りました。動物系の出汁を使わないのでベジタリアンにもおすすめです。必要最低限の味付けでアスパラガスの旨味を引き出しています。

This was a popular appetizer at a dining bar I worked at. I made it as a side

もっとみる
鯰のテリーヌ Catfish terrine

鯰のテリーヌ Catfish terrine

これも、深夜バーの軽食にパンに添えて出した一品。高級感があって好評でした。
日本での人気の川魚はなんと言っても鰻と鮎。それ以外の川魚、とりわけ江戸時代まで頻繁に利用されていた鯉や鯰の影は薄く流通量も少ない。特にナマズは淡白で癖がない上品な味でもっと利用されても良いのにと思っていた。最近面白いことに、タイ産のパンガシウスというナマズの仲間が結構大量に輸入されるようになっている。養殖されたものでパサと

もっとみる
カクテキ(大根のキムチ) Kaktugi kimchi / Cubed radish kimchi

カクテキ(大根のキムチ) Kaktugi kimchi / Cubed radish kimchi

「カクテキ(kaktugi)」は四角くカットしたという意味で、韓国語の「kak」は日本語の「角」と同じ語源です。大根をサイコロ状に切ったものを使ったキムチのことです。
キムチには数えきれないほど種類がありますが、日本の焼肉屋では、白菜のキムチ、胡瓜のキムチと並んでこのカクテキは最も人気がある三大キムチの一つです。

"Kakuteki(kaktugi)" means cut into cubes,

もっとみる
摘果トマトのピクルス  Pickled cull tomatoes

摘果トマトのピクルス Pickled cull tomatoes

大玉のトマトを立派に育てるためには、実り始めたトマトの実を間引きする必要がある。知識としては知っていても、つい最近までミニトマトしか育てたことがなかったので、実感が湧かなかった。ミニトマトは間引く必要がないからだ。一房に鈴なりになった実は全部赤く成熟する。ある時大玉のトマトを育ててみて、つい勿体無くて摘果し損なったら、確かにどの実も大して大きくならず大玉にならなかった。栄養が行き渡らないのだ。一房

もっとみる
筍のピクルス Pickled bamboo shoots

筍のピクルス Pickled bamboo shoots

ストーリー Recipe trivia

「雨後の筍」という成句がある。雨の後には筍が次々に出てくるので、何らかのきっかけで似たようなことが次々に起こることの例えに使う。筍という漢字は竹という漢字と旬という漢字を合成したもので、雨の後は十日間の短い期間で筍が次々に生えて来る。春先にいちどきに流通するということだ。この時期には家庭でもどこの店に行っても筍料理が出てくる。日本で一般的なのは筍の煮物や天

もっとみる
スンムキムチ Sunmu kimchi / Kabu turnip kimchi

スンムキムチ Sunmu kimchi / Kabu turnip kimchi

ストーリー Recipe trivia

日本の焼肉屋では、白菜のキムチ、胡瓜のキムチ、カクテキくらいしかキムチは出てこないのですが、朝鮮半島には、それこそ数え切れないほどの種類のキムチがあります。大根がおいしくなくなってきたので、瑞々しい春蕪(スンム)を使ってキムチを作りました。

In Japanese yakiniku restaurants, the only kimchi served

もっとみる
鰊のワイン煮 Simmered herring with wine

鰊のワイン煮 Simmered herring with wine

ストーリー Recipe trivia

世界の歴史に最も大きな影響を与えた魚は鰊かもしれない。この魚はとてつもなく大きな群を形成し定期的に北の海の沿岸に押し寄せる。捕獲できる数が半端ではないので、庶民のタンパク源としてまた肥料として、一国の経済を左右するくらいの流通量を生み出したからだ。中世ヨーロッパで勢力を誇ったハンザ同盟の主要交易品は鰊の塩漬けだったし、江戸時代から明治時代にかけて日本の農業

もっとみる
オイキムチ(胡瓜のキムチ) Oi kimchi /Cucumber kimchi

オイキムチ(胡瓜のキムチ) Oi kimchi /Cucumber kimchi

焼肉屋さんのレシピ集
Yakiniku restaurant recipe collection

ストーリー
Recipe trivia

以前、焼肉屋さんに提供したレシピから家庭でも作りやすいものを拾いました。手抜きしない無添加のプロでも使えるレシピです。

I picked up some recipes from a yakiniku restaurant I once provided

もっとみる
市販のベーコンは特別なのか Is store-bought bacon special?

市販のベーコンは特別なのか Is store-bought bacon special?

レッスン・イン・ケミストリー Lesson in Chemistry

はじめに
Prologue

前に温度計が料理オタクの必須ギアであることを説明した。その実践編として、温度計と安価なオーブントースターを使って市販のベーコンを再現してみよう。みんなベーコン大好きだからね。
自家製だから市販のものとは違って、「これはこれで美味しい」とか「市販品よりも美味しい」とかいうことはあえて言わない。なぜ

もっとみる
冬菜漬け Pickled winter vegetables

冬菜漬け Pickled winter vegetables

常備菜研究室 Preserved Food Laboratory

ストーリー Recipe trivia

冬菜は冬に育つ葉物野菜の総称。主に、白菜、高菜、青梗菜、水菜などアブラナ科の葉野菜を指す(アカザ科のほうれん草を含める用法もあるようだ)。中国語の冬菜(dōngcài)もほぼ同じ意味で使われる。積雪もある冬の厳しい気候に耐えながら、大きな葉を広げて糖分を始めとした栄養分をせっせと蓄え、春の

もっとみる