徹底比較!ビスケットとスコーンの違いを探ってみた。
小学校に入学してすぐのころ、国語の授業で「夕がた」の文字を「たがた」と読んだ。先生やみんなは「ゆうがた」と読んでいた。いや、「タがた」と「夕がた」違いわからん。みんな疑問に思ってたはずだ。そしてまた、みんなわかったフリしてるけど、おそらくわかっていないものを見つけた。それは...
こんにちは。ケンタッキーフライドチキン(KFC)のビスケットとメープルシロップが大好きな いなつち☆稲田智 です。
今回は、ビスケットとスコーンは何が違うのか?にせまりたいと思います。
1. コトの経緯。
以前、
KFCはなぜ「ビスケット」と呼ぶのか?
そして、続編で
KFC「ビスケット」v.s.「スコーン」論争。
という記事を書きました。
そして表にまとめると以下のようになりました。
表2. 日米英に於ける焼菓子呼称の違い(改)
で、結局、スコーンとビスケットは何が違うのか?という疑問に帰結しました。
KFCからはじまった疑問の連鎖、KFCのビスケットとそこらへんの野良スコーンを食べたぐらいで違いを論じるのは失礼にあたるぞ、と思いました。
でも、ビスケットとスコーンの違いを判別するのは困難を極めるはずです。だってほぼ一緒だから。
いままでの私だったら、そんな違い、調べるのめんどくさいし、ビスケットとスコーンがちょっとぐらい違ったって誰も困らない、みたいに斜に構えた感じで、絶対に行動しなかったと思います。
しかし昔、銀河鉄道999で言っていたことを思い出しました。
男なら、危険をかえりみず、死ぬと分かっていても戦わなくてはならない時がある。負けると分かっていても戦わなくてはならない時がある、と。
だから、それらを見分ける武器も弾薬も全然揃ってないし、死ぬかもしれないけど、何店舗もスコーンとビスケットを食べるという戦いを通じて、そのちがいを探ることにしたのです。
2. スコーンとは。
スコットランドが発祥で、粗挽きの大麦粉を使って焼いたバノックというお菓子がその起源とされるそうです。文献に初めて登場するのは1513年。
スコットランド、バースにあるスコーン城で王の戴冠式に使われていた椅子の土台の聖石に似せているため、丸っこい石のようなデザインになっています。ナイフを使わず、縦にも割らず、手で横半分に割って食べるのがマナーとのこと。
早速、スコーンを食べていきましょう。
スコーン①ルピシア
「ルピシア自由が丘本店」のスコーンです。
よくあるスコーンのイメージです。コロっとした形がかわいいです。甘みがやや薄く、ジャムなどを付けて食べることで完成形になります。
ちなみに横の真ん中あたりの割れ目のことを「オオカミの口」というらしいです。もっと気の利いた名前はなかったのでしょうか?普通にかぶりつくとホロホロ割れて食べにくいので、オオカミの口で半分に割って食べると食べやすいです。
スコーン②リゼッタ
「カフェ リゼッタ自由が丘」のスコーンです。
大きさはルピシアとほぼ同じでコロっとした形、甘さはルピシアよりややあり、ジャムなど付けなくても単体で十分食べられる感じです。ルピシアより生地が荒い感じがしましたが、それがまた本格的なイメージです。
ジャムではなく、クロテッドクリームをつけると最高においしいタイプのスコーンです。オオカミの口で半分に割って、クロテッドクリームをつけて食べるの図↓
このクロテッドクリームというやつが、やたらオシャレですね。味はほぼなく、バターよりは軽い感じです。これをつけるとコクが出ます。
スコーン③TWG
「TWG TEA 自由が丘」のスコーンです。
中にクランベリーが入っていて結構甘みがあります。オオカミの口も目立ってなく、正統派スコーンというよりアレンジ系です。何もつけなくても甘くておいしいです。
スコーン④デメララ
「デメララベーカリー二子玉川」のスコーンです。
形が普通のスコーンと違っていてプリンみたいな形してます。オオカミの口もあり、食感はややソフトな感じ。レーズンが入っていて甘みはあります。デメララではロッダ社のクロテッドクリームも売ってるので、これをつけて食べます。相性バツグンです。
スコーン⑤アサコ イワヤナギ
等々力にある極上スイーツの名店「パティスリ アサコ イワヤナギ」のスコーンです。
ここまで来ると形も四角くて、もはやスコーンなのかどうかすら謎です。
アップで見てます。オオカミの口はありません。草食なのでしょうか?↓
味は甘みもきちんとあり、レーズンやナッツなども入っていてそのままでいけます。スパイスのような芳醇な香りが効いてる感じです。ほかのスコーンとは全く違う、高級で近寄りがたい独特な世界観を持っています。
ここまで5店舗のスコーンを食べてきました。甘みが強すぎず、丸っこいイギリス正統派スコーンと、クランベリーやレーズン、ナッツなどを加え、形も少し変えてある甘いスコーンの2系統がある感じでした。
スコーン食べ飽きたので、ここからは、ビスケットを食べていきたいと思います。
3. ビスケットとは。
アメリカ南部の家庭で朝食として食べられていた「古きよきおふくろの味」です。イギリスのスコーンがルーツのようです。スコーンはバターと牛乳、ビスケットはラードとバターミルクを使うという違いがあります。
アメリカ南部は貧困層が多く、ラードはバターより安く、バターミルクは牛乳より安かったのが材料が異なる理由みたいです。
ビスケット①ケンタッキー
ケンタッキーのビスケットです。
なんか、おなじみすぎて、ホッとします。海外にしばらく行っていて、日本に帰ってきて味噌汁飲んだときみたいな安堵感です。スイーツタウン自由が丘周辺のオシャレなスコーンばかり食べてきて、正直、食傷気味でした。
なんなら、もう「ビスケットとスコーンは同じ!」ってことにして、風呂でも入って寝ようかなと思ってたところでした。あぶないあぶない。
ふっくらしてて落ち着く味です。スコーンのようにボロボロ崩れることもありません。メープルシロップがいい仕事してます。
ビスケット②スターバックス
スターバックスのビスケットです。スタバにはスコーンが置いてあるイメージでしたが、名古屋に出張に行ったとき、スタバに「ミルクバタービスケット」なるものがあってビックリ。
とりあえず買って、新幹線で食べることにしました。こんな感じです↓
大きさがスコーンより一回り大きいです。食べてみると、なんか味がない。甘さがほぼなく、パサパサしてます。うーん。これがビスケットか。
その後、スタバのビスケットの食べ方を調べていたら、温めて、チョコレートソースなどをかけて食べるべし!と書いてありました。
次にまたスタバに行ったときにやってみました↓
チョコレートソースは無料で、ホイップクリームは30円で付けてくれます。
これで食べ進めていたのですが、まだこれでも甘みが足りない。それで、卓上のハチミツとブラウンシュガーをかけてみました↓
いや、かけ過ぎた!ブラウンシュガーがとばっと出てしまいました。
失敗したなーと思って食べてみると、
ん?
うまっ!
なんだこれ、おいしい!
むしろ甘みがちょうどいい!
かけ過ぎたブラウンシュガーがザクザクしてて甘くておいしいです。逆に言うと、ビスケットってこれくらい砂糖かけないと甘みが出ないんだなと思いました。
ビスケット③チェルシーカフェ
KFCではない本格的なビスケットは甘くないのではないか?と思いはじめ、もっと本場の味を食べてみたいと考えました。
で、東京でアメリカ南部料理でビスケット扱ってるところを調べたのですが、まぁない。新宿に何年か前にあったけどいまはやってないとか。スコーンを取り扱ってる店はあんなにあったのに、ビスケットになったとたんに激減します。色々調べて、池袋と渋谷には1店舗ずつあるらしいです。超レアです。
そして渋谷の「チェルシーカフェ」というところにあるらしいので、行ってみました。
メニューはこんな感じ↓
甘いのだけじゃなくて、しょっぱいのもあります。ビスケットに具をはさんで、ソースかかっちゃってます。本場感がスゴいです。ビスケットが甘くないのは、食事としてしょっぱい味付けにも合うようになっているからなのかもしれません。
せっかくなので、食事としてのビスケットを食べたいです。一番推していそうな、チェルシーカフェ ザ ビスケットサンドを頼んでみました。
なんということでしょう。半分に割ったビスケットのあいだに、クリスピーベーコンとオリジナルチキンナゲットとチーズがはさんであって、それがオマール海老のクリームソースの海で泳いでます。
食べてみると、脳が混乱します。ビスケットは、甘みが少ないとはいえ、脳はスイーツ扱いしているため、食べたときにしょっぱい!というのが混乱の原因です。下手したら、コンビニの焼きそばパンのパンの方が甘いぐらいです。
でも味はやさしくておいしい。私の人生で食べた何物にも似てないです。3日放置したバンズでベーコンチーズバーガーを作り、ローソンのLチキ挟んで、フランス料理にしたような感じ。ん〜、うまそうに言えない。
ビスケットがボロボロ分解しちゃうので食べにくいですが、これだけで十分食事としていけます。さすがアメリカ南部の朝食というだけのことはあります。
ほかに甘くしたビスケットもあります。デザートビスケットサンド ストロベリーショートケーキ↓
これは脳が混乱せずに食べられました。やっぱりスコーンよりボロボロ崩れるので、食べにくいです。それと、スコーンより脂分が少ないのか、軽い食感なのがわかりました。スコーンをうなぎとするなら、ビスケットは穴子です。この例え、かなり近いと自画自賛してます(笑)。
ビスケット④クリントン・ストリート・ベイキング・カンパニー
そんなとき、妻の友人から情報が。南青山にもっと本格的なお店があると。その名も「クリントン・ストリート・ベイキング・カンパニー」
バターミルクビスケットサンドイッチを頼んでみました↓
半分に割ったビスケットの上に、自家製トマトソース、スクランブルエッグとチーズとベーコン、ハッシュブラウンが添えてあります。スクランブルエッグがのってる側にはソースはなく、ケチャップを付けて食べます。
もうこのパターンで脳は混乱しません。これはしょっぱいパターンのやつ!とわかってるから。
チェルシーカフェ ザ ビスケットサンドよりも崩れにくく、フォークがちゃんと刺さります。味のほうはというと、やはり甘さは皆無。これこそ本場感!
次に、カントリーブレックファースト↓
完全にビスケットがパン代わりです。単独で食べると、甘みがないどころか、逆にかなり塩気があってしょっぱいのがわかります。ここまでくると、スコーンとビスケットは完全に別物です。だって甘いのとしょっぱいのだから。
4. ビスケットとスコーン3つの違い。
5店舗のスコーンと4店舗のビスケットを食べてきて、いよいよ完全に飽きてきました(笑)。ただ、たくさん食べるうちに徐々に違いがわかってきました。要約すると以下3点の違いです。
①甘さの有無
しょっぱくする料理になるかどうか。チェルシーカフェとクリントン・ストリート・ベイキング・カンパニーの本格派ビスケットがそうであったように、本場のビスケットは味がないかややしょっぱいです。ここが決定的な違いだと思います。
②大きさ
ビスケットのほうがスコーンよりひと回り大きいです。ビスケットはアメリカ南部の朝食にしていることから、ビスケット1つだけでも満足感がでるようにしているのだと思います。
③軽いか重いか
これはかなり数を食べないと判別しにくいと思いますが、スコーンはうなぎ、ビスケットは穴子です(笑)。
以上3点が、ビスケットとスコーンの違いです。
※いなつち調べ。
5. まとめ。
小学1年生のとき、疑問をそのままにしてはいけないことを学びました。でも、大人になるにつれ、「わかったふり」をしていることが多くなってきたと思います。生きている年数が長くなるにつれ、「知らない」ことが恥ずかしいと思うようになってくるのでしょう。
しかし、知らないまま放っておいても成長はありません。新しいことや歴史や違いを知ることで人は成長していくのです。
たとえ恥ずかしくても、くだらないことでも、どんな小さなことでもいい。いまはわからなくても、しつこく挑戦することで、わかるようになることがある。
ビスケットとスコーンの違いが、私にまた大切なことを教えてくれたのです。
初夏のタがたのさわやかな空気を感じながら。
おわり。
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