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小説、エッセイなど

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書いた小説、ちょっと長いエッセイをまとめています。感想いただけると飛び跳ねて喜びます。
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#大学生ブログ

祖父との時間 再掲

祖父との時間 再掲

「湯たんぽ、お母さんのところに3つ入れてあるから、いらなかったら持ってきて」
祖父はそう言って、自室のある二階へと上がった。



秋が深まり、水分を失った葉がかさかさと掠れる音が鳴る時期から、祖父の仕事がひとつ増える。
湯たんぽを入れて、布団に運ぶ仕事だ。
別に役割分担があるわけではないが、祖父はその仕事を当たり前のようにやってくれている。
祖父の仕事は他にもある。
お風呂を沸かすために石油は

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もう一度過去に触れて、優しさの意味を知る。

もう一度過去に触れて、優しさの意味を知る。

過去は美しい。
記憶のなかで、わたしを取り巻く人たちはみな美しい。
屈託のない瞳で笑いかけ、
淀みない声で私をそばに引き寄せてくれた人たちの、神聖な美しさ。
そして、その美しさは時折、冷たく鋭利なガラスの破片で過去のわたしの頬に傷をつける。
やさしい、やさしいひだまりの片隅に
醜い、醜い私がそこにいる。冷たい血を流して。

過ぎし日の自分の幼さと、月日を重ねてから対峙することの絶望。
どれほど悔い

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音にはしないけれど、届いて欲しいこと

音にはしないけれど、届いて欲しいこと

失うことを恐れながら、失いたくないと震えながら
何かを、誰かを所有しているよりも、
いっそ固執せずに、自分のもとから手放して、
カゴには、鍵をかけないで、
失った痛みとともに、過去を慈しんで、懐かしんで、
思い出を呼び戻して、思い出と歩いていきたいような夜。

独りの自分を抱きしめて
遠くのあなたを思い遣りながら生きることの方が、
もしかしたら、もしかしたら
ずっと、ずっと
愛なのかもしれないと思

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拝啓 親愛なるすべての方へ

拝啓 親愛なるすべての方へ

お元気ですか?

日常の忙しなさから少し離れた時、
混沌のなかでいつのまにか作られた規則に従って生きている自分に気づきます。

本当の意味では、この世界のことを何一つ分かることなんてできないのに、ずっと答え合わせをされない正解を探して生きているように思えて、時に息苦しさを感じます。

社会の歯車の1つ、もしかしたらもっと小さな部品かもしれない自分の存在ですが、作り出された規則に何の逡巡もなく生きる

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Photograph in my life

Photograph in my life

写真を撮る。
写真を撮られる。
写真を撮ってもらう。
写真を撮ってあげる。
写真に映る。
照れるあなたの袖を引く。
写真に映す。
あなたとの時間を。
シャッターを切る音が鳴るたびに、
その瞬間は明瞭な過去になっていく。

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カメラを向けられたときに何を思うか。
早く撮ってくれと思うのか。
何でこのタイミングでと不平を言うか。
もしくは思考停止した頭で、

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川越の夜 冬

川越の夜 冬

これから記すのは、一昨年の冬の記憶。

川越駅で電車を降り、ショッピングモールに向かって歩く。

乾燥した空気を肌に受けながら、知らない誰かを抜き去り、また他の誰かに抜かれていく。

スマホを見ながら器用に歩く大人たちの人混みに流されるように、改札をくぐり帰路へつく。

寒さが、痛い。

マフラーを2周、ぐるっと首に巻き付け、余りはマスクの上にも巻いておく。

念には念を。

マスクとメガネ、そし

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長月の残月に手を伸ばす

長月の残月に手を伸ばす

今日、朝目覚めたとき。

いつもと何かが違っていた。

布団のなかで現実と夢とを行き来しながら、もがくように動かす腕や足が何やら軽かった。

上半身を起こす勢いを使って布団を半分に折りたたみ、重力に従って再び身体をベッドに預ける。

ばふっという音と共に身体は沈み込む。

その姿勢のまま両足を上に向け、ばたつかせる。

奇怪な行動ではなく、もちろん理由がある。

そのあと、眠い頭でブリッジをした。

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One scene of my youth 恋とか愛とかまだ分からないけど

One scene of my youth 恋とか愛とかまだ分からないけど

思えば、彼はよく気がつく人だった。

また、彼は大雑把に見えて、実は真に細やかな人でもあった。

そして、そばにいる人に安心感を与え、欲しいときに欲しい言葉をくれる人でもあった。

そのくせ、私のためにならない優しさは、決して与えなかった。

溶けるほどの愛情を注ぎながらも時には、苦しい表情で突き放す。

時折見せるそんな大人びた表情が嫌いで、そして何よりも尊く感じた。

馴れ合いに走らない彼の心

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小説 「星の灯火」

小説 「星の灯火」

 「50憶年後に地球がなくなるっていうのは、もうはっきりしていることらしいね」

地学の授業、終了間際の20分。テスト前の長めの自習時間。

地殻とかマントルとか、そんな固有名詞の暗記に躍起になっている私たちを、妨害する大きな独り言。

先生には、テストでいい点を取らなければいけない受験生の重圧なんて理解できないのだろうか。

暇つぶしがしたいのか、性格がねじ曲がっているのか。

思い出したように

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