Photograph in my life

写真を撮る。
写真を撮られる。
写真を撮ってもらう。
写真を撮ってあげる。
写真に映る。
照れるあなたの袖を引く。
写真に映す。
あなたとの時間を。
シャッターを切る音が鳴るたびに、
その瞬間は明瞭な過去になっていく。

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カメラを向けられたときに何を思うか。
早く撮ってくれと思うのか。
何でこのタイミングでと不平を言うか。
もしくは思考停止した頭で、なるべく周囲よりも写りを良くしようと顔に神経を集中させてはにかむか。
それとも、1人でカメラの前に立つことをためらうか。
気恥ずかしさと、二度はこない瑞々しい「青春」の眩しさと。
その狭間で揺れ動く隙間にあなたは笑っている。
戸惑いを瞳の奥に沈めて笑っている。
シャッターを切る前の長すぎる間。
光が放たれるその一瞬が、半永久的な記録になる。

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思えば、母と2人でテーマパークを訪れた際、とある日の幼い私はほとんどの写真で唇をタコのように尖らせていた。自分のなかの不安感、焦燥感、思い通りにならないことへの苛立ち。幼い私は、カメラの前で何を思っていたのか。気持を表現するのに十分な語彙をもたないかつての私は、その表情で何かを伝えようとしていた。

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それ以降の写真のなかの私は、得意げな表情で微笑んでいる。笑顔がうまくなることで、自分の感情は隠される。歳を重ねるほど、泣き顔も怒った顔も自分だけのものになっていく。

わたしはあなたのいろいろな表情を切り取りたい。そして、そんな感情にさせた私を褒めて、励まして、時に叱りたい。撮った写真を見返す度に。もちろん、君と一緒に。

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写真を撮るときいちばん怖いのは、アルバムを開くとき、そばに君がいないこと。シャッターを切る指先に力を込めるとき、「後で傷つかない？」と胸の奥で言葉が怯えている。

「良い思い出だった」と何の気なく呟いたあなたの言葉に、未来を夢見て震えていた自分の羽は静かに折られていく。思い出は過去の産物だ。

君がいなくなってからこの記憶を振り返ることは、過去のしあわせが詰まった引き出しに今の君を探すようなもの。欲しいものは決して見つからない引き出しを漁って、君の残骸を見るようなもの。けれど、かつてあったぬくもりが、今はないぬくもりが、時を超えてわたしをほんの少しあたためてくれるでしょう。触れられない記憶の散らばりを静かに手繰り寄せて。

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写真に映るとき、あなたは何を思っていますか。わたしは、今が過去にならないようにと祈っています。すべてが変わっていくなかで、わたしたちも変わっていくなかで。何も考えていないような顔をして、隣で笑っていたい。
そう思っています。