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生命を宿す絵=「魂画(アニメーション)」の深淵

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動画すなわちアニメーション(animation)とは、ギリシャ語で「魂」を意味するアニマ(anima)に由来する言葉だ。日本を含む古代文明の多くが、森羅万象に魂が宿るとする信仰=… もっと読む
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2019年9月の記事一覧

アニメビジネスの成功の鍵を握る!?一般の方には馴染みの少ない「プリプロダクション」の重要性について -アニマ代表インタビューシリーズ

アニメビジネスの成功の鍵を握る!?一般の方には馴染みの少ない「プリプロダクション」の重要性について -アニマ代表インタビューシリーズ

こんにちは。日経のアニメビジネス企画担当の井木です。この投稿は、CGプロダクションのトップランナーである株式会社アニマの代表である笹原さんへのインタビューシリーズになります!過去記事は下記をご参照ください。

プリプロダクションとは?また重要性が増してる背景は?最近、アニマでは長尺のシリーズ案件(大規模案件)のお仕事をいただくことが多くなっているのですが、これに伴って仕事の範囲にも変化が生じ、プロ

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イチオシSF少年漫画、『彼方のアストラ』

イチオシSF少年漫画、『彼方のアストラ』

きっかけは星1レビュー私がこの作品を知ったきっかけは、『彼方のアストラ』のアニメに関する批判レビューだった。Twitterで、「こういうレビューが日本のSFを衰退させるんだ!ぷんすか!」みたいなツイートが回ってきたのだ。ご丁寧にレビュー投稿のスクリーンショット付きで。

ツイート主が憤慨している相手、星1をつけたそのレビュアーは、どうやら本格派SF作品を好むようであった。「科学、物理学、確率論的に

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プリチャンが見せた「特別でない子がバーチャル世界でアイドルになること」への百点満点の解答

プリチャンが見せた「特別でない子がバーチャル世界でアイドルになること」への百点満点の解答

  男と生まれたからには、誰でも一生の内一度は夢見る「美少女アバター化」。 VR世界で理想の自分を演じることができるVRChat文化の発展により、僕の知り合いたちもどんどんバーチャル世界で中身が男性の美少女たちとイチャイチャ過ごす毎日を送っております。もはやVRC内でおっさん同士が付き合ったり、恋愛で揉めたりも珍しくありません。絵面だけだと百合アニメであるのが非常に厄介。

 さて、現実のバーチャ

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なぜアニメ・漫画原作付き実写映画は、こうも嫌われるのか(中編)

なぜアニメ・漫画原作付き実写映画は、こうも嫌われるのか(中編)

前回は「原作付き実写映画(テレビドラマ)」がなぜ忌み嫌われるのかを勝手な妄想メインで考察してみました。今回はその世界の歴史を混じえ、ソレがどのように人の目に映っているか、ソコからどういう意識になっていくかを考えてみます。

昔も今も…先達の記憶
実は凄く過去にも、実写化されてスゴイことになった作品があります。コレに胸ときめかせて毎週見ていた子供もいただろうし、当時のユーザー全てが嘆いたか明確にそう

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なぜアニメ・漫画原作付き実写映画は、こうも嫌われるのか(前編)

「分かりきっているコト、分析しつくされているコトをあえて書くよシリーズ」今回はコレ。(もはや自己思考の覚書にしちゃってる感ある)

言う人(識者やいわゆる映画通)に言わせると「日本映画は斜陽」だそうです。作っても、そう大したヒットも飛ばせず、若い男女アイドルのPVと化してる、との発言も聞きます。多分「上級者」の目から見るとそうなのでしょう。
しかしデータ的には(興行収入は作品の売り方(宣伝)が上手

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これからのアニメ業界はどうなるか? |アニメ評論家・藤津亮太 第3回

これからのアニメ業界はどうなるか? |アニメ評論家・藤津亮太 第3回

日本のアニメ産業について、第一次アニメブームから、現在の第四次アニメブームまでの変遷を中心にお届けしてきたこの連載も、いよいよ今日が最終回です。

日本におけるアニメ産業は、これからどうなっていくのでしょうか?

今後のアニメ業界について、アニメ評論家の藤津亮太さんにお話をうかがいました。最終回です。

藤津亮太(ふじつ・りょうた)
アニメ評論家。’68年生まれ。新聞記者、週刊誌編集を経て、200

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激動の90年代アニメを振り返る |アニメ評論家・藤津亮太 第2回

激動の90年代アニメを振り返る |アニメ評論家・藤津亮太 第2回

前回は、日本におけるアニメ文化の第一次ブームについてお聞きしました。今回は、1990年代のアニメブームのお話からうかがっていきます。

今回もアニメ評論家の藤津亮太さんにお話をお聞きしました。

藤津亮太(ふじつ・りょうた)
アニメ評論家。’68年生まれ。新聞記者、週刊誌編集を経て、2000年よりフリー。雑誌・WEB・BDブックレットなど各種媒体で執筆中。著書に『チャンネルはいつもアニメ』(NTT

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第204号『アニメ化は原作ファンを喜ばせるためじゃない』

第204号『アニメ化は原作ファンを喜ばせるためじゃない』

たぶん色んな所で物議を醸す内容になりそうなので慎重に書きます。

これは今から20年くらい前に私自身が直面して思い知った出来事です。

ゲーム業界で働き始めて4年ほど経って、ある出版社の担当とゲームメーカーのプロデューサーとアニメの制作委員会の担当者とミーティングしていた時でした。

雑談がてら私がこんな話を振りました。

「しかし私自身が子供の時からずっと感じていたモヤモヤっていうか、疑問という

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小さなアニメイベントを日本人ゲストと盛り上げるためには=日独交流最前線

小さなアニメイベントを日本人ゲストと盛り上げるためには=日独交流最前線

南西ドイツのフライブルクという町でアニメファン向けイベント「アニメフェスティバル・フライブルク」(9月20~22日)が開催されました。昨年スタートしたこのイベントですが今年は1500人(三日間のべ)の来場者がイベントを楽しみました。

筆者は今回、招待ゲスト企画の一部をお手伝いしてきました。今回は現場で感じた難しさと展望について考えてみたいと思います。

ステージ企画を盛り上げた日本人ゲストの皆さ

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『天気の子』とセカイ系、そしてビジネス中二病

『天気の子』とセカイ系、そしてビジネス中二病

■はじめに

 これは僕らPLANETSが毎週放送しているインターネット番組 #ブループリント の7月30日放送(『天気の子』ほか、夏の大作劇場アニメ特集)の準備のためにつくったメモを再構成したものだ。

 僕はできるかぎり、生放送やイベント登壇の前には詳細なメモを作るようにしている。若い頃に準備不足で何度も痛い目に合っているのもあるけれど、それ以上に一つの仕事に「やり切った」と思える実感が欲

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「パクリ」の誤解

「パクリ」の誤解

あらゆる人が作品を発信できるようになった時代、これほどまでに作品が溢れかえることを予測できた人がどれほどいただろうか?

今まで以上に「パクリ」は必然的に起こるものになった。

あいみょんの『マリーゴールド』とゲーム『メダロット2』のBGMが酷似している問題は記憶に新しい。彼女ほどの知名度があるからこそ取り沙汰されているが、検索にかければパクリを見つけるのはミルクティーの中のタピオカを吸い上げるよ

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「宇宙戦艦ヤマト」再入門講座でみる‐アニメ文化継承の挑戦-

「宇宙戦艦ヤマト」再入門講座でみる‐アニメ文化継承の挑戦-

9月12日、東京・日比谷のHMV&BOOKS HIBIYA COTTAGEにて、「アニメ再入門講座 第1回 宇宙戦艦ヤマト」が開催されました。『宇宙戦艦ヤマト2199』総監督の出渕裕さん、アニメ特撮アーカイブ機構(ATAC)研究員・辻壮一さんが出演し、『宇宙戦艦ヤマト』を振り返るものです。
当日は1974年放送の『宇宙戦艦ヤマト』第1話を全員で鑑賞。その後に出演者ふたりが登壇しました。
放送当初か

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日中アニメ業界の風向きが変わった?テンセントはアニメ制作会社に巨額投資して日本を追い上げ図る?

日中アニメ業界の風向きが変わった?テンセントはアニメ制作会社に巨額投資して日本を追い上げ図る?

中国のエンタメ業界では、1990年代半ば以降、、Animation,Comic,gameの頭文字をとったACGという言葉が定着した。そしてACG文化の発信元はおおむね日本だった。ACGの中では、ゲームが最も早く双方向化していった。

例えばテンセントの「王者栄耀」は中国政府がアクセスを制限するなど、中国ゲーム市場最大のヒット作だが、2018年11月、DeNAによる日本語版配信も開始されている。
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