だいすけ

教員。担当教科は理科。探究理科ラジオというネットラジオを不定期でやっています。学校教育…

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教員。担当教科は理科。探究理科ラジオというネットラジオを不定期でやっています。学校教育、理科の授業、好きな音楽のことについて書きます。

マガジン

  • クラスがしんどい。と思いはじめた中学校の先生へ。

    クラスがしんどい。と思いはじめた中学校の先生へ、ちょっとでもしんどさを減らせるようなコツや小技をお伝えします。まだ書き途中ですが、ぜひ笑覧下さい。

記事一覧

学校で起きている、ふり返り疲れ

 もう1学期末。学校は1学期の評価評定を出す時期だ。主体的に学習に取り組む態度の評価が登場して以降、おそらくどこの学校でも起きているのが、生徒と教師のふり返り疲…

だいすけ
1日前
36

授業記録で「視点」を共有しあう

 もうすぐ発売の授業づくりネットワーク最新号のNo.48に、私が書いた授業記録が掲載される。内容は私の授業ではなく、横浜市の公立小学校の玉置哲也さんの理科の授業を私…

だいすけ
3日前
10

子どもにも教員にも求め続けられる『資質・能力』

『審議のまとめ』を読んでみた  文科省がまとめた「「令和の日本型学校教育」を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について(審議のまとめ)」…

だいすけ
3週間前
35

手で『見る』ということ 〜視覚特別支援学校の理科授業〜

 以前から本を読んで興味を持っていた、筑波大学附属視覚特別支援学校の生物の授業。今回ダイアローグ・ラーニングの井上さんのご紹介で、手で触って観察するという武井洋…

だいすけ
8か月前
36

ありふれた学校批判

 「一斉一律の授業を行うことによって、学校は子どもの主体性を奪ってきた」とか、「学校が対話する機会を奪ってきたから、子どもの民主的な態度が育っていない」というよ…

だいすけ
9か月前
10

『科学者の時間』という理科授業のワークショップをやってみた その1

 8月16日に、Learn by Creationというイベントを芝国際中学校・高等学校で実施した。『AI時代、唯一無二の「人間らしさ」どう育む?』というテーマのもと、教育関係…

だいすけ
10か月前
14

授業の型とどう付き合うか?

 先日とある本のオンライン読書会で、授業の「型」とどう付き合うか?という話題になった。私自身「型」というものにあんまり良いイメージを持っていないし、できれば型に…

だいすけ
10か月前
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個別最適の「個」とはどこまでか?

 以前から「個別最適化」「個別最適な学び」という言葉にモヤモヤし続けている。  そして最近、授業づくりネットワークの45号『「個別最適な学びと協働的な学び」を考…

だいすけ
11か月前
23

働く教師の疎外と、本来性のワナ

「教師って大変な仕事なんですよね?」  最近、保護者や生徒にまで「教師って大変な仕事なんですよね?」とよく言われるようになった。以前は社交辞令的なノリで言われて…

だいすけ
1年前
22

本当は授業なんて、失敗ばかりだ。

授業の様子が記事になった  2月、私が教えている生徒たちの様子を取材に、ライターさんとカメラマンさんが来た。理科の授業自体は「科学者の時間」という名前でやってい…

だいすけ
1年前
20

学びの「個別最適化」は最適か?

 コロナ禍で加速したGIGAスクールの隆盛によって、学びの「個別最適化」という言葉がどっと教育現場に押し寄せてきた。その言葉の出所を探ると、平成 30年の文部科学省が…

だいすけ
1年前
19

教員の仕事と時間、そしてブルシット・ジョブ

 教員の働き方改革が進んでいないらしい。  教員の働き方を変えなければならないのは大いに賛成なのだが、「時間」を教員の仕事を測るものさしとして強調しすぎる最近の…

だいすけ
1年前
34

「評価」、この厄介なもの。

 授業づくりネットワークの「評価」の号を読み合う講座に参加した。  この号はおもしろい。学校での「評価」というテーマを真ん中に、様々な立場の人たちがさまざまな視…

だいすけ
1年前
15

教育のコンテンツ化に抗う。GIGAとかDXとか。

石川晋さんの個人通信noteを読んだ。 今月のみ無料。次月以降も購読することにした。 この記事の中にある、この部分に考えさせられた。  私もどちらかとえばICT推進の立…

だいすけ
1年前
11

クラスがしんどい。 その6 生徒に直接聞いてみよう。

 今週もお仕事、お疲れ様でした。しんどいクラスに居ると、本当に心身ともに疲れますよね。心に余裕があったらお読みください。  さて、前回はどんな話だったでしょうか…

だいすけ
1年前
7

クラスがしんどい。 その5 クラスの中の関係性を見てみよう。

 さて前回までは、クラスがしんどいと感じる大きな原因になっていると思われる、気になる生徒と教師との関係性をどうやって築いていくのかに焦点を当ててきました。今回は…

だいすけ
1年前
7
学校で起きている、ふり返り疲れ

学校で起きている、ふり返り疲れ

 もう1学期末。学校は1学期の評価評定を出す時期だ。主体的に学習に取り組む態度の評価が登場して以降、おそらくどこの学校でも起きているのが、生徒と教師のふり返り疲れだ。

大量の「振り返りシート」に追われる生徒たち

 休み時間、私が授業の準備でクラスに入ると、生徒はせっせと何かを書いている。よく見ると、各教科で出されている「振り返りシート」を書いているようだ。ひとつの教科ではなく、色んな教科がさま

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授業記録で「視点」を共有しあう

授業記録で「視点」を共有しあう

 もうすぐ発売の授業づくりネットワーク最新号のNo.48に、私が書いた授業記録が掲載される。内容は私の授業ではなく、横浜市の公立小学校の玉置哲也さんの理科の授業を私が見に行った時に書いた授業記録だ。10ページで8000字くらい。どうやって授業を見るのか、そしてそれをどうやって書くのかけっこう悩んで試行錯誤して書いた記録だ。ぜひ買って読んでいただきたい。玉置さんとクラスの子どもたち、とってもおもしろ

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子どもにも教員にも求め続けられる『資質・能力』

子どもにも教員にも求め続けられる『資質・能力』

『審議のまとめ』を読んでみた

 文科省がまとめた「「令和の日本型学校教育」を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について(審議のまとめ)」について、パブリックコメントを募集している。

令和の日本型学校教育」を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について(審議のまとめ)https://www.mext.go.jp/content/20240524-mx

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手で『見る』ということ 〜視覚特別支援学校の理科授業〜

手で『見る』ということ 〜視覚特別支援学校の理科授業〜

 以前から本を読んで興味を持っていた、筑波大学附属視覚特別支援学校の生物の授業。今回ダイアローグ・ラーニングの井上さんのご紹介で、手で触って観察するという武井洋子先生の生物の授業を見に行くことができた。
ものすごく勉強になったので、気付いたことや考えたことのメモとして書き残しておく。メモなので断片的で読みにくいかもしれないが、悪しからず。授業の本筋の詳しい内容や実践の背景については以下の本を読んで

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ありふれた学校批判

ありふれた学校批判

 「一斉一律の授業を行うことによって、学校は子どもの主体性を奪ってきた」とか、「学校が対話する機会を奪ってきたから、子どもの民主的な態度が育っていない」というような、学校教育を批判するよくある言説。これってもしかすると、学校を授業や制度などのほんの一面でしか見ていない、ものすごく解像度の低い批判なんじゃないかと最近は思っている。
学校で子どもたちと一緒に過ごし、さらに教師の目の届かないところ

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『科学者の時間』という理科授業のワークショップをやってみた その1

『科学者の時間』という理科授業のワークショップをやってみた その1

 8月16日に、Learn by Creationというイベントを芝国際中学校・高等学校で実施した。『AI時代、唯一無二の「人間らしさ」どう育む?』というテーマのもと、教育関係者や保護者、学生、クリエイター、起業家など、業種の垣根を飛び越えて集まり、「新しい学び」について考えるイベントだ。

 そのなかで私は『科学者の時間』のワークショップを担当した。『科学者の時間 ガチャドタ実験』というワークシ

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授業の型とどう付き合うか?

授業の型とどう付き合うか?

 先日とある本のオンライン読書会で、授業の「型」とどう付き合うか?という話題になった。私自身「型」というものにあんまり良いイメージを持っていないし、できれば型にハマりたくはないと思っている立場だ。でも、自分がハマりたくない型とは一体どんなものなのか?またそういう型とどう付き合うかについて、自分の考えをまとめておきたい。

はじめてハマった型

 授業にはいろんな型が存在する。私が教員になって初めて

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個別最適の「個」とはどこまでか?

個別最適の「個」とはどこまでか?

 以前から「個別最適化」「個別最適な学び」という言葉にモヤモヤし続けている。

 そして最近、授業づくりネットワークの45号『「個別最適な学びと協働的な学び」を考える』が発売された。

 すごく充実した内容で、いろんなことを考えさせられた。授業づくりネットワークのすごいところは、これ一冊で様々な角度からひとつのテーマを眺めることができるところだ。「個別最適な学びと協働的な学び」をめぐって、それを提

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働く教師の疎外と、本来性のワナ

働く教師の疎外と、本来性のワナ

「教師って大変な仕事なんですよね?」

 最近、保護者や生徒にまで「教師って大変な仕事なんですよね?」とよく言われるようになった。以前は社交辞令的なノリで言われていたものが、最近のそれは感情がこもっている。本当に哀れむような、可哀想だという気持ちを込められた言葉を受け取ると、その場に居ても立ってもいられなくなる。
 教師の仕事は大変かもしれない。忙しい。でも、だれかに可哀想と思われるくらい忙しいの

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本当は授業なんて、失敗ばかりだ。

本当は授業なんて、失敗ばかりだ。

授業の様子が記事になった

 2月、私が教えている生徒たちの様子を取材に、ライターさんとカメラマンさんが来た。理科の授業自体は「科学者の時間」という名前でやっているのだが、今回は他校の教員仲間とやっている、「探究理科」という取り組みを取り上げて頂いた。もうこの際名前などはどうでもよくて、自分たちが大事にしていることを、ここまでしっかり言葉にしてもらえたのは初めてで、出来上がった記事を読んだときはと

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学びの「個別最適化」は最適か?

学びの「個別最適化」は最適か?

 コロナ禍で加速したGIGAスクールの隆盛によって、学びの「個別最適化」という言葉がどっと教育現場に押し寄せてきた。その言葉の出所を探ると、平成 30年の文部科学省が行った『Society 5.0 に向けた人材育成に係る大臣懇談会  新たな時代を豊かに生きる力の育成に関する省内タスクフォース』にある。その資料では、「公正に個別最適化された学び」を実現するために、ビッグデータやAIを活用し、一人ひと

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教員の仕事と時間、そしてブルシット・ジョブ

教員の仕事と時間、そしてブルシット・ジョブ

 教員の働き方改革が進んでいないらしい。
 教員の働き方を変えなければならないのは大いに賛成なのだが、「時間」を教員の仕事を測るものさしとして強調しすぎる最近のムードには慎重になるべきだと私は考えている。今回はその辺りの考えをまとめたい。

教員の仕事は時間では測れない

 教員の働き方改革をめぐる動きのなかで、「定額働かせ放題」という言葉に代表される、勤務時間外の仕事には残業代を出すべきだという

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「評価」、この厄介なもの。

「評価」、この厄介なもの。

 授業づくりネットワークの「評価」の号を読み合う講座に参加した。

 この号はおもしろい。学校での「評価」というテーマを真ん中に、様々な立場の人たちがさまざまな視座・視点でもって記事を寄せている。おそらくこの記事の人とあの記事の人が直接意見を交わしたら、一向に分かり合うことなどないくらい(むしろケンカになりそう)、幅広い主張が1冊の本に凝縮されている。「評価」を取り巻くモヤモヤした複雑な現状を、複

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教育のコンテンツ化に抗う。GIGAとかDXとか。

教育のコンテンツ化に抗う。GIGAとかDXとか。

石川晋さんの個人通信noteを読んだ。
今月のみ無料。次月以降も購読することにした。

この記事の中にある、この部分に考えさせられた。

 私もどちらかとえばICT推進の立場だ。普段の授業では、生徒たちは自分の使いたいタイミングでChromebookを開き、実験を撮影してファイル共有したり、調べ物に活用している。生徒に課すレポートなども提出はデータか紙の選択ができるようにしている。テスト前には、基

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クラスがしんどい。 その6 生徒に直接聞いてみよう。

クラスがしんどい。 その6 生徒に直接聞いてみよう。

 今週もお仕事、お疲れ様でした。しんどいクラスに居ると、本当に心身ともに疲れますよね。心に余裕があったらお読みください。

 さて、前回はどんな話だったでしょうか。そうです、あなたの『目に見える範囲で』クラスの中の関係を見てみよう。という話でした。『クラスがしんどい。』シリーズの最初では、気になる生徒と教師であるあなたとの人間関係について書いています。今度「その1」から読んでみてくださいね。  

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クラスがしんどい。 その5 クラスの中の関係性を見てみよう。

クラスがしんどい。 その5 クラスの中の関係性を見てみよう。

 さて前回までは、クラスがしんどいと感じる大きな原因になっていると思われる、気になる生徒と教師との関係性をどうやって築いていくのかに焦点を当ててきました。今回は、クラスの生徒同士の関係性からくるしんどさについて考えていきたいと思います。
 個人的には、気になる生徒と関係を築こうとするのは、担任の仕事の中ではそこまで難しいことではないと思っています。なぜなら、気になる生徒は、その行動やふるまいで教師

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