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#ノンフィクション
【知られざるアーティストの記憶】第77話 違った感情
Illustration by 宮﨑英麻
*彼は何も遺さずにひっそりとこの世を去った。
知られざるアーティストが最後の1年2ヶ月で
マリに遺した記憶の物語*
→全編収録マガジン
→前回
第11章 決断
第77話 違った感情
彼は深刻な不眠に悩んでいた。マリは三男の保育園に向かう途中にある漢方内科のF医院に彼を連れて行ったが、やはり抱えている病気が病気なだけに、かかっている血液内科の主治
【知られざるアーティストの記憶】第76話 『郭林新気功』の功罪
Illustration by 宮﨑英麻
*彼は何も遺さずにひっそりとこの世を去った。
知られざるアーティストが最後の1年2ヶ月で
マリに遺した記憶の物語*
→全編収録マガジン
→前回
第11章 決断
第76話 『郭林新気功』の功罪
マリにとって見慣れない、伸び切った無精髭を蓄えたまま帰宅した彼は、帰るなりすぐにそれを剃り落とすことはせず、翌朝にやっと見慣れた姿に戻った。
入院してい
【知られざるアーティストの記憶】第75話 ダージャの愛のことばと気功
Illustration by 宮﨑英麻
*彼は何も遺さずにひっそりとこの世を去った。
知られざるアーティストが最後の1年2ヶ月で
マリに遺した記憶の物語*
→全編収録マガジン
→前回
第11章 決断
第75話 ダージャの愛のことばと気功
彼の入院に時を同じくして連発されたダージャの愛のことばは、このときのマリの心に渇望されていたかのようにヒットし、染み込んでいった。それは、マリがそれ
【知られざるアーティストの記憶】第74話 テラクウォーツとケマンソウ
Illustration by 宮﨑英麻
*彼は何も遺さずにひっそりとこの世を去った。
知られざるアーティストが最後の1年2ヶ月で
マリに遺した記憶の物語*
→全編収録マガジン
→前回
第10章 5度目の入院
第74話 テラクウォーツとケマンソウ
2021年12月30日。マリはアマと名乗る友人の家にテラクウォーツを買いに行った。買うことを決意した理由の一つは、メイが施してくれたこの不思
【知られざるアーティストの記憶】第73話 彼の誕生日に届けたもの
Illustration by 宮﨑英麻
*彼は何も遺さずにひっそりとこの世を去った。
知られざるアーティストが最後の1年2ヶ月で
マリに遺した記憶の物語*
→全編収録マガジン
→前回
第10章 5度目の入院
第73話 彼の誕生日に届けたもの
マリは、再発して入院中である彼の68歳の誕生日を祝う言葉をカードにしたためるのに、ずいぶんと迷ったに違いない。一切の不安や暗さを排して、前向きな
【知られざるアーティストの記憶】第72話 野生動物のような彼とPikale☆くん
Illustration by 宮﨑英麻
*彼は何も遺さずにひっそりとこの世を去った。
知られざるアーティストが最後の1年2ヶ月で
マリに遺した記憶の物語*
→全編収録マガジン
→前回
第10章 5度目の入院
第72話 野生動物のような彼とPikale☆くん
彼が入院した日、マリは淡路島のマホに再び電話をかけた。先日メイに相談しようとしたことについて、マホに直接訊くことにしたのだ。
【知られざるアーティストの記憶】第70話 渡された合鍵、そして彼は入院していった
Illustration by 宮﨑英麻
*彼は何も遺さずにひっそりとこの世を去った。
知られざるアーティストが最後の1年2ヶ月で
マリに遺した記憶の物語*
→全編収録マガジン
→前回
第9章 再発
第70話 渡された合鍵、そして彼は入院していった
生前の彼にマリが会わせることのできた友人は数えるほどの人数であった。その一人目は、客として連れて行ったImakokoカフェを除くと、足つぼ師
【知られざるアーティストの記憶】第71話 彼の部屋で留守を守る日々
Illustration by 宮﨑英麻
*彼は何も遺さずにひっそりとこの世を去った。
知られざるアーティストが最後の1年2ヶ月で
マリに遺した記憶の物語*
→全編収録マガジン
→前回
第10章 5度目の入院
第71話 彼の部屋で留守を守る日々
彼と病院に向かった入院当日の朝はとても暖かく、嘘みたいに明るい青空が広がっていた。
「こういう暖かい日が続いたあとには、雪が降ったりするよ。」
【知られざるアーティストの記憶】第69話 バナナのキスと家族との絆
Illustration by 宮﨑英麻
*彼は何も遺さずにひっそりとこの世を去った。
知られざるアーティストが最後の1年2ヶ月で
マリに遺した記憶の物語*
→全編収録マガジン
→前回
第9章 再発
第69話 バナナのキスと家族との絆
会えばキスをするのが当たり前になった頃、
「口臭、する?」
とだしぬけに彼が訊いた。そんなことを気にしていたのか、と意外に思った。
「ううん。一度も感じ
【知られざるアーティストの記憶】第68話 S医院の思想と療法との出会い
Illustration by 宮﨑英麻
*彼は何も遺さずにひっそりとこの世を去った。
知られざるアーティストが最後の1年2ヶ月で
マリに遺した記憶の物語*
→全編収録マガジン
→前回
第9章 再発
第68話 S医院の思想と療法との出会い
メイから教わった、抗がん剤を使わないがん治療のS医院のホームページを、マリは早速彼と一緒に見てみた。一緒に見た、というよりは、マリが彼の前でホームペ
【知られざるアーティストの記憶】第67話 情熱的な友のアドバイス
Illustration by 宮﨑英麻
*彼は何も遺さずにひっそりとこの世を去った。
知られざるアーティストが最後の1年2ヶ月で
マリに遺した記憶の物語*
→全編収録マガジン
→前回
第9章 再発
第67話 情熱的な友のアドバイス
初めに、性格のタイプを診断するためのいくつかの質問があった。それは、様々な対人関係の場面においてどのように感じ、どのように行動するかについての質問で、せい
【知られざるアーティストの記憶】第66話 彼からのささやかな贈り物
Illustration by 宮﨑英麻
*彼は何も遺さずにひっそりとこの世を去った。
知られざるアーティストが最後の1年2ヶ月で
マリに遺した記憶の物語*
→全編収録マガジン
→前回
第9章 再発
第66話 彼からのささやかな贈り物
マリは彼への差し入れや贈り物を厭わなかった。もちろん、主婦の経済力の範囲内であるが、これまで質素極まりない消費生活しかしてこなかった彼にあげるものは、な
【知られざるアーティストの記憶】第65話 ツインレイ
Illustration by 宮﨑英麻
*彼は何も遺さずにひっそりとこの世を去った。
知られざるアーティストが最後の1年2ヶ月で
マリに遺した記憶の物語*
→全編収録マガジン
→前回
第9章 再発
第65話 ツインレイ
丸く大きな月が明るく夜空を照らす夜には、マリは彼と共にその月を見上げたいと願った。それはかつて彼の入院中にマリが寝室の窓から見上げ、その面を通じて彼と交信しているつも
【知られざるアーティストの記憶】第64話 漢方内科でのコミュニケーションと彼の望む死にかた
Illustration by 宮﨑英麻
*彼は何も遺さずにひっそりとこの世を去った。
知られざるアーティストが最後の1年2ヶ月で
マリに遺した記憶の物語*
→全編収録マガジン
→前回
第9章 再発
第64話 漢方内科でのコミュニケーションと彼の望む死にかた
マリは漢方内科のF医院に一旦彼を降ろし、三男を保育園に届けてから再びF医院に戻った。予約なしの受診だったので、小一時間を待合室の