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Rider's Story あのオートバイ再び
バイク短編小説 Rider's Story あのオートバイ再び 武田宗徳 オートバイブックス https://autobikebooks.wixsite.com/story 最近思うのだ。またオートバイに乗ってみ…
Rider's Story あのオートバイ再び
バイク短編小説 Rider's Story
あのオートバイ再び 武田宗徳
オートバイブックス
https://autobikebooks.wixsite.com/story
最近思うのだ。またオートバイに乗ってみようかと。今年で三十五歳になる私は、一つ年下の妻と二人の男の子と四人で暮らしている。二人の息子は小学校に入り、妻も仕事を始め、経済的にも時間的にもわずかだがゆとりができつつあった。
Rider's Story 朝、走る
バイク小説短編集 Rider's Story 僕は、オートバイを選んだ
武田宗徳 オートバイブックス 収録作品
早朝に目が覚めた。
普段なら再び眠りに落ちるところなのだが、今日は目が冴えてしまっていて、眠れそうにない。出勤まで二時間、妻が起きだすまであと一時間ある。
私は布団から起き上がり、着替え始めた。皮パンツの中にはタイツをはき、セーターの上から革ジャンを羽織った。厚手の革グロ
Rider's Story 形見の革ジャン
バイク小説短編集 Rider's Story 僕は、オートバイを選んだ
武田宗徳 オートバイブックス 収録作
東京の私立大学を卒業した息子が、Uターン就職で我が家に帰ってくる。高校卒業まで使っていた息子の部屋は、息子には悪いが、この四年間で物置と化していた。私は休日を利用して、息子が部屋を使えるように片づけをしていた。
息子の部屋は、使わないもの、要らないもので溢れている。私は、この機会に
Rider's Story 娘から父への手紙
バイク小説短編集 Rider's Story 僕は、オートバイを選んだ
武田宗徳 オートバイブックス
妻がどうしても見たい映画があるというので、車で町へ出た。
家を出るのが遅かったというのもあって、見終わって映画館から出たときには、日がすでに斜めになっていた。
気づかれないように、私は何度も腕時計に目をやっていた。たぶん、気づいていただろう。久しぶりの「夫婦水入らずのお出かけ」だったのに
Rider's Story あなたが遠い
バイク小説短編集 Rider's Story 僕は、オートバイを選んだ
武田宗徳 オートバイブックス収録作品
高校卒業したら一緒にツーリングに行くという約束、あなたはまだ覚えていますか。落ち着いたら連絡する、と言って東京へ行ってしまってから、もう五年。一度も連絡はありませんでした。でも僕は一、二年前からあなたを知ることになりました。バイク雑誌や女性誌などで「大型バイクに乗るモデル」として登場
Rider's Story シングル
RIDE 53 モーターマガジン社(2011年10月15日発行)掲載作品
バイク小説短編集 Rider's Story 僕は、オートバイを選んだ
武田宗徳 オートバイブックス 収録
ただでさえ薄暗い店内の照明が、煙草でかすんでいる。俺は、カウンターの端で注文したジャックダニエルのオンザロックを待っていた。終電の時間も過ぎ、店内に落ち着きが戻ってきたころだった。店の扉が開いた。
「よお」
扉
最新テクノロジーは人間であることの意味を問う
もし、自分のおばあちゃんが死んだその後も、SNS上のアバターとして変わらず会話が続けられるサービスがあったら、僕たちは利用するだろうか。
自分の子供を遺伝子操作で知能指数を高め、とても優秀に育ったら、それでも親として変わらない愛情を注ぎ続けられるだろうか。
遺伝子操作で優秀な野球選手に育て、大谷翔平選手よりも優れたプレイヤーになったとしたら、僕たちは彼を大谷選手以上に称賛できるだろうか。
Rider's Story ワイルドで行こう
バイク短編小説 Rider's Story 僕は、オートバイを選んだ
武田宗徳 オートバイブックス 収録作品
大学時代の友人から、一通の手紙が届いた。子供が生まれた、ということだった。実家のある千葉から離れて、長野で暮らしているそうだ。
(いいところだから是非一度遊びに来てくれ。子供の顔も見せたい。楽しみに待っている。和也)
和也とは大学時代、共にツーリングをしたバイク仲間だった。相模
Rider's Story ハーレーとチョコレートパフェ
バイク小説短編集 Rider's Story 僕は、オートバイを選んだ
武田宗徳 オートバイブックス 収録作品
毎年、この日は気持ちよく晴れる。俺は外に出て空を仰いだ。
(今日は、当分タバコを吸えない……)
オートバイに跨る前に最後のタバコを存分に吸った。
すがすがしい秋晴れのもと、俺はハーレーのスポーツスターに跨って東京から静岡に向かって走り出した。スポーツスターには、もう一つ
非常識が常識へ、続けることが生み出す力
時々、新聞のスポーツ欄に掲載される、キングカズこと三浦知良さんのコラムを楽しみにしている。
皆が見るのを楽しみにしているカズダンス。今から30年ほど前は決してそうではなかったと言う。
「負けた側の心情を考えず喜びをあらわにするなどけしからん、ガッツポーズも控えるべきだという空気があったからね(新聞より)」
思い返すと、当時カズダンスはチャラチャラした印象があったかもしれない。だけど今と
Rider's Story 通勤の日々
バイク小説短編集 Rider's Story 僕は、オートバイを選んだ
武田宗徳 オートバイブックス 収録作品
高校を卒業し、ある会社に就職して、三ヶ月が過ぎた。
会社にも慣れてきた、と同時にバイクの扱いにも慣れてきた。通勤で毎日乗っているからだ。入社したての頃から比べると、渋滞の中のすり抜けにも今は自信がついた。その頃はまだ肌寒く、上着が欠かせなかったが、今はもう夏。暑くて、本当はTシャ
Rider's Story 手紙
バイク短編小説 Rider's Story 僕は、オートバイを選んだ
武田宗徳 オートバイブックス掲載作品
真治のボロアパートの郵便受けに、一通の手紙が入っていた。写真撮影のアシスタントの仕事で疲れて帰ってきた真治は、郵便受けから手紙を取り出した。手紙は珍しかった。滅多に来ることがなかった。アパートの階段を登りながら、封筒を裏返し、差出人の名前を見た。階段の途中で足を止めた。
「多佳子…」
Rider's Story 変わり始めるとき
バイク小説短編集 Rider's Story 僕は、オートバイを選んだ
武田宗徳 オートバイブックス 収録作品
今でも後悔していることがある。
二年間片思いだった女の子に告白できないまま高校を卒業してしまったことだ。今は、大好きになった彼女がいる。それでも、高校時代のその後悔は消え去ることはない。それなら高校時代に片思いだった彼女に、いま会ってあの頃の想いを告げれば、後悔は消え去るのだろ