オートバイブックス

オートバイ専門書店・個人出版の《オートバイブックス》代表であり執筆家の運営するページで…

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オートバイ専門書店・個人出版の《オートバイブックス》代表であり執筆家の運営するページです。 バイク雑誌掲載実績多数。現著書にRider's Storyシリーズ(4冊)があります。ここではその既刊著書より一話ずつ掲載して参ります。

記事一覧

「推し、燃ゆ」読みました

 宇佐見りんさんの「推し、燃ゆ」読みました。  "推し"にすべてを費やして高校中退。  はたから見たら、そんなんで生きてはゆけないんだよ、と思うのですが、本人にと…

Rider's Story 原付とスーパースポーツ

バイク短編小説 Rider's Story 原付とスーパースポーツ  武田宗徳(オートバイブックス代表・執筆家) オートバイ歴は十五年。オートバイ好きが高じて三年毎に乗り換え…

100〜
割引あり

Rider's Story あのオートバイ再び

バイク短編小説 Rider's Story あのオートバイ再び 武田宗徳 オートバイブックス https://autobikebooks.wixsite.com/story  最近思うのだ。またオートバイに乗ってみ…

100〜
割引あり

Rider's Story 朝、走る

バイク小説短編集 Rider's Story 僕は、オートバイを選んだ  武田宗徳 オートバイブックス 収録作品  早朝に目が覚めた。    普段なら再び眠りに落ちるところなのだ…

100〜
割引あり

「あのカフェに出会って」ショップブランディング、プレゼン向けに書き下ろした物語

とあるショップブランディングの受注獲得に向けたプレゼンテーション資料の一部として書き下ろした物語。依頼元の許可を得て公開いたします。 作 武田宗徳 「何やってん…

Rider's Story 形見の革ジャン

バイク小説短編集 Rider's Story 僕は、オートバイを選んだ  武田宗徳 オートバイブックス 収録作  東京の私立大学を卒業した息子が、Uターン就職で我が家に帰って…

100〜
割引あり

Rider's Story 娘から父への手紙

バイク小説短編集 Rider's Story 僕は、オートバイを選んだ  武田宗徳 オートバイブックス  妻がどうしても見たい映画があるというので、車で町へ出た。  家を出るの…

100〜
割引あり

あの風を

バイク小説短編集 Rider's Story 僕は、オートバイを選んだ 武田宗徳 オートバイブックス 収録作品  寒い日だった。その日の朝、俺は携帯が鳴って起こされた。 「今日…

100〜
割引あり

Rider's Story あなたが遠い

バイク小説短編集 Rider's Story 僕は、オートバイを選んだ  武田宗徳 オートバイブックス収録作品  高校卒業したら一緒にツーリングに行くという約束、あなたはまだ覚…

100〜
割引あり

Rider's Story シングル

RIDE 53 モーターマガジン社(2011年10月15日発行)掲載作品 バイク小説短編集 Rider's Story 僕は、オートバイを選んだ  武田宗徳 オートバイブックス 収録 ただでさ…

100〜
割引あり

最新テクノロジーは人間であることの意味を問う

 もし、自分のおばあちゃんが死んだその後も、SNS上のアバターとして変わらず会話が続けられるサービスがあったら、僕たちは利用するだろうか。  自分の子供を遺伝子操…

Rider's Story ワイルドで行こう

バイク短編小説 Rider's Story 僕は、オートバイを選んだ  武田宗徳 オートバイブックス 収録作品  大学時代の友人から、一通の手紙が届いた。子供が生まれた、という…

100〜
割引あり

Rider's Story ハーレーとチョコレートパフェ

バイク小説短編集 Rider's Story 僕は、オートバイを選んだ  武田宗徳 オートバイブックス 収録作品   毎年、この日は気持ちよく晴れる。俺は外に出て空を仰いだ。 …

100〜
割引あり

非常識が常識へ、続けることが生み出す力

 時々、新聞のスポーツ欄に掲載される、キングカズこと三浦知良さんのコラムを楽しみにしている。  皆が見るのを楽しみにしているカズダンス。今から30年ほど前は決し…

Rider's Story 通勤の日々

バイク小説短編集 Rider's Story 僕は、オートバイを選んだ  武田宗徳 オートバイブックス 収録作品  高校を卒業し、ある会社に就職して、三ヶ月が過ぎた。  会社に…

100〜
割引あり

他の人と折り合いをつけながら生きていく

「他の人と折り合いをつけながら生きていく」 知らない人が話しかけてきたら、ほとんどの人が不審に思い、警戒します。敵意すら抱くこともあリます。 他人は信じない。 …

「推し、燃ゆ」読みました

「推し、燃ゆ」読みました

 宇佐見りんさんの「推し、燃ゆ」読みました。

 "推し"にすべてを費やして高校中退。

 はたから見たら、そんなんで生きてはゆけないんだよ、と思うのですが、本人にとっては真剣で、それが人生のすべてなんですね。思春期、大人と子供の中間の、不器用で、人生の中でもっとも生きづらさを感じる時代かもしれません。

 親の立場から考えると、自分の子供のこと、理解できていない部分が大部分かもしれなくて、それな

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Rider's Story 原付とスーパースポーツ

Rider's Story 原付とスーパースポーツ

バイク短編小説 Rider's Story 原付とスーパースポーツ
 武田宗徳(オートバイブックス代表・執筆家)

オートバイ歴は十五年。オートバイ好きが高じて三年毎に乗り換えてきた。GB250クラブマンから始まり、ゼファー400、CB750、CBR1000RR、そして現在は、ヨーロッパメーカーのスーパースポーツだ。仕事はさらに忙しくなり、一年に数回しか乗れていない。しかし、そのおかげで欲しい

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Rider's Story あのオートバイ再び

Rider's Story あのオートバイ再び

バイク短編小説 Rider's Story
あのオートバイ再び 武田宗徳

オートバイブックス
https://autobikebooks.wixsite.com/story

 最近思うのだ。またオートバイに乗ってみようかと。今年で三十五歳になる私は、一つ年下の妻と二人の男の子と四人で暮らしている。二人の息子は小学校に入り、妻も仕事を始め、経済的にも時間的にもわずかだがゆとりができつつあった。

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Rider's Story 朝、走る

Rider's Story 朝、走る

バイク小説短編集 Rider's Story 僕は、オートバイを選んだ
 武田宗徳 オートバイブックス 収録作品

 早朝に目が覚めた。
 
 普段なら再び眠りに落ちるところなのだが、今日は目が冴えてしまっていて、眠れそうにない。出勤まで二時間、妻が起きだすまであと一時間ある。

 私は布団から起き上がり、着替え始めた。皮パンツの中にはタイツをはき、セーターの上から革ジャンを羽織った。厚手の革グロ

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「あのカフェに出会って」ショップブランディング、プレゼン向けに書き下ろした物語

「あのカフェに出会って」ショップブランディング、プレゼン向けに書き下ろした物語

とあるショップブランディングの受注獲得に向けたプレゼンテーション資料の一部として書き下ろした物語。依頼元の許可を得て公開いたします。

作 武田宗徳

「何やってんだ!」
 携帯電話を片手に、思わず大きな声を出してしまった。
 地方都市の街中にいた。歩道を行き交う周囲の視線を感じて、私は隠れるように路地裏へ入っていった。

 約束の時間から、二時間も遅れるというのだ。
 東京本社勤務の私は、関西か

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Rider's Story 形見の革ジャン

Rider's Story 形見の革ジャン

バイク小説短編集 Rider's Story 僕は、オートバイを選んだ
 武田宗徳 オートバイブックス 収録作

 東京の私立大学を卒業した息子が、Uターン就職で我が家に帰ってくる。高校卒業まで使っていた息子の部屋は、息子には悪いが、この四年間で物置と化していた。私は休日を利用して、息子が部屋を使えるように片づけをしていた。
 息子の部屋は、使わないもの、要らないもので溢れている。私は、この機会に

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Rider's Story 娘から父への手紙

Rider's Story 娘から父への手紙

バイク小説短編集 Rider's Story 僕は、オートバイを選んだ
 武田宗徳 オートバイブックス

 妻がどうしても見たい映画があるというので、車で町へ出た。
 家を出るのが遅かったというのもあって、見終わって映画館から出たときには、日がすでに斜めになっていた。
 気づかれないように、私は何度も腕時計に目をやっていた。たぶん、気づいていただろう。久しぶりの「夫婦水入らずのお出かけ」だったのに

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あの風を

あの風を

バイク小説短編集 Rider's Story 僕は、オートバイを選んだ
武田宗徳 オートバイブックス 収録作品

 寒い日だった。その日の朝、俺は携帯が鳴って起こされた。
「今日、暇か? 行きたい所があるんだ」
 中村からだった。俺は簡単にシャワーを浴び、朝食も取らずに家を出た。

 家から歩いていける距離の待ち合わせ場所に、中村は、最近買ったばかりの四駆で待っていた。
「何だよ、こんな朝早くに」

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Rider's Story あなたが遠い

Rider's Story あなたが遠い

バイク小説短編集 Rider's Story 僕は、オートバイを選んだ
 武田宗徳 オートバイブックス収録作品

 高校卒業したら一緒にツーリングに行くという約束、あなたはまだ覚えていますか。落ち着いたら連絡する、と言って東京へ行ってしまってから、もう五年。一度も連絡はありませんでした。でも僕は一、二年前からあなたを知ることになりました。バイク雑誌や女性誌などで「大型バイクに乗るモデル」として登場

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Rider's Story シングル

Rider's Story シングル

RIDE 53 モーターマガジン社(2011年10月15日発行)掲載作品
バイク小説短編集 Rider's Story 僕は、オートバイを選んだ
 武田宗徳 オートバイブックス 収録

ただでさえ薄暗い店内の照明が、煙草でかすんでいる。俺は、カウンターの端で注文したジャックダニエルのオンザロックを待っていた。終電の時間も過ぎ、店内に落ち着きが戻ってきたころだった。店の扉が開いた。
「よお」
 扉

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最新テクノロジーは人間であることの意味を問う

最新テクノロジーは人間であることの意味を問う

 もし、自分のおばあちゃんが死んだその後も、SNS上のアバターとして変わらず会話が続けられるサービスがあったら、僕たちは利用するだろうか。

 自分の子供を遺伝子操作で知能指数を高め、とても優秀に育ったら、それでも親として変わらない愛情を注ぎ続けられるだろうか。

 遺伝子操作で優秀な野球選手に育て、大谷翔平選手よりも優れたプレイヤーになったとしたら、僕たちは彼を大谷選手以上に称賛できるだろうか。

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Rider's Story ワイルドで行こう

Rider's Story ワイルドで行こう

バイク短編小説 Rider's Story 僕は、オートバイを選んだ
 武田宗徳 オートバイブックス 収録作品

 大学時代の友人から、一通の手紙が届いた。子供が生まれた、ということだった。実家のある千葉から離れて、長野で暮らしているそうだ。

(いいところだから是非一度遊びに来てくれ。子供の顔も見せたい。楽しみに待っている。和也)

 和也とは大学時代、共にツーリングをしたバイク仲間だった。相模

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Rider's Story ハーレーとチョコレートパフェ

Rider's Story ハーレーとチョコレートパフェ

バイク小説短編集 Rider's Story 僕は、オートバイを選んだ
 武田宗徳 オートバイブックス 収録作品

  毎年、この日は気持ちよく晴れる。俺は外に出て空を仰いだ。
(今日は、当分タバコを吸えない……)
 オートバイに跨る前に最後のタバコを存分に吸った。
 
 すがすがしい秋晴れのもと、俺はハーレーのスポーツスターに跨って東京から静岡に向かって走り出した。スポーツスターには、もう一つ

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非常識が常識へ、続けることが生み出す力

非常識が常識へ、続けることが生み出す力

 時々、新聞のスポーツ欄に掲載される、キングカズこと三浦知良さんのコラムを楽しみにしている。

 皆が見るのを楽しみにしているカズダンス。今から30年ほど前は決してそうではなかったと言う。

「負けた側の心情を考えず喜びをあらわにするなどけしからん、ガッツポーズも控えるべきだという空気があったからね(新聞より)」

 思い返すと、当時カズダンスはチャラチャラした印象があったかもしれない。だけど今と

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Rider's Story 通勤の日々

Rider's Story 通勤の日々

バイク小説短編集 Rider's Story 僕は、オートバイを選んだ
 武田宗徳 オートバイブックス 収録作品

 高校を卒業し、ある会社に就職して、三ヶ月が過ぎた。
 会社にも慣れてきた、と同時にバイクの扱いにも慣れてきた。通勤で毎日乗っているからだ。入社したての頃から比べると、渋滞の中のすり抜けにも今は自信がついた。その頃はまだ肌寒く、上着が欠かせなかったが、今はもう夏。暑くて、本当はTシャ

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他の人と折り合いをつけながら生きていく

他の人と折り合いをつけながら生きていく

「他の人と折り合いをつけながら生きていく」

知らない人が話しかけてきたら、ほとんどの人が不審に思い、警戒します。敵意すら抱くこともあリます。

他人は信じない。
他人というだけで疑う。

こういう考えが当たり前のようになっている気がします。

信用はできないけど、最初から敵意や疑いを抱く必要もないはずです。

できたらその中間くらいの関係、この記事にある"緩い信頼"の関係でいれたらいい。
皆がそ

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