見出し画像

Rider's Story 娘から父への手紙

割引あり

バイク小説短編集 Rider's Story 僕は、オートバイを選んだ
 武田宗徳 オートバイブックス

 妻がどうしても見たい映画があるというので、車で町へ出た。
 家を出るのが遅かったというのもあって、見終わって映画館から出たときには、日がすでに斜めになっていた。
 気づかれないように、私は何度も腕時計に目をやっていた。たぶん、気づいていただろう。久しぶりの「夫婦水入らずのお出かけ」だったのに、申し訳ないとは思う。
 だが、私は日が落ちる前に家に帰りたかった。休日は必ずオートバイに乗るようにしている。今日は、まだ乗っていない。

ここから先は

1,229字

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?