あの風を
割引あり
バイク小説短編集 Rider's Story 僕は、オートバイを選んだ
武田宗徳 オートバイブックス 収録作品
寒い日だった。その日の朝、俺は携帯が鳴って起こされた。
「今日、暇か? 行きたい所があるんだ」
中村からだった。俺は簡単にシャワーを浴び、朝食も取らずに家を出た。
家から歩いていける距離の待ち合わせ場所に、中村は、最近買ったばかりの四駆で待っていた。
「何だよ、こんな朝早くに」
「誰かと話しながら遠出したくてな。車も見せたかったし」
「どこ行くんだよ」
「二年前、お前と一緒にバイクで行ったとこだよ」
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