Rider's Story 形見の革ジャン
割引あり
バイク小説短編集 Rider's Story 僕は、オートバイを選んだ
武田宗徳 オートバイブックス 収録作
東京の私立大学を卒業した息子が、Uターン就職で我が家に帰ってくる。高校卒業まで使っていた息子の部屋は、息子には悪いが、この四年間で物置と化していた。私は休日を利用して、息子が部屋を使えるように片づけをしていた。
息子の部屋は、使わないもの、要らないもので溢れている。私は、この機会に徹底的に片づけようと、捨てるものはどんどん部屋の外の廊下へ出した。押入れも整理しようと、体半分突っ込んだ。
段ボール箱が一つあった。私はその段ボール箱を見て思い出した。ガムテープでしっかりと封がしてある。いらないけれど捨てられないものが、この段ボール箱には入っている。
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