シェア
Amu
2024年8月24日 20:45
「夜伽ヶ浜」月影さやかな浜に鳴く自鳴琴のその啜りに耳を傾ける法師のうた愛されたいさ、僕だって風簫に搔き消されてしまいそうなそんな水平線を遠くにみて終わりの分からない唄をうたう疲れきった貝の殻に誰かの声が聴こえた気がした長編のような星座の連なりから君の祈りが溢れ落ちていくようで
2024年7月24日 18:08
「祈り」透け見ゆような心もとなげ必ずだとか永遠ほどに哀しく聴こゆもの他にはなくて下手くそで佳い否、それがいいのだと小指の代わりに絡めんやひとつとして要らぬ糸はなしきみへと繋がる祈り揺れのぼる静穏なる想いたち
2024年7月22日 18:24
「潮風と星のすな」分かたれた南の海と夜の空瓶詰めされた潮風と星の砂があの娘の腰に揺れている誰が悪いとかじゃないあのね、季節が違っていたんだよせめぎあうみなもの小さな子供たち浜辺には恋を知った歌うたいほら、誰かのために今日も明日を弾き語っているよ
2024年7月20日 15:21
「きみが里」空に去りゆく影法師海へと飛びたつ鼻の唄ほ、ほっ……ほたるの里すぎ見知らぬ土地ぞやそちらの水は甘いであろうか寂しくなったら還っておいでといつぞの優しい夢をみるほ、ほっ……ほら視てごらんよあの日の景色そちらの暮らしは如何なるものか風は、想いを運んでおるか
2024年7月17日 14:12
「祈り星」噛られた空に浮かぶ月夜を紡ぐ白い風の足どり朧に追いかけ見つめるその先に名のない星座を貼りつけながら知っているそこに名前をつけたなら風は空には居られないこと濡れた朝の霧のように堕ちて地球へと還ること
2024年7月14日 12:31
「かの國」伸ばした指さきすり抜けゆく風の影追い果てたどるや薄紅の微睡みに抱かれて健やかであれ唄い流れる水の音懐かしさに類義した温もり愛しさと名付けて
2024年7月11日 17:05
「微睡みに繋いで」何もない空に朝がやってくる瞳のまえに広がるきっと淡いであろう赤子のみどり産声をあげたひかりの匂いそれは素足の心にくすぐったいを教えてくれる背から絡みつくまるでカフェモカのような温もりと何もないはずの空に手を伸ばす微睡み……昨日より、きょう今日よりも明日なんだって違うよ深い眠りにつく前に僕たちは誰よりも何よりも、ふたり
2024年7月5日 13:30
「風にとける」透明の言の葉をふた指つまんで青い風に透かし瞳をとじる聴こえてくるのは何時かの鈴の音真暗な峠に灯ったあかり沈んだ夕陽の代わりの文字に旅雨たゆたう君の心音いつかのボクだと細めた声を背中で拾うて眉間で哭いたもうすぐ夏がやってくる庭先わすれた風鈴が今年も君の名を呼び続けている
2024年7月2日 08:41
「ひとつぼし」君を独りにはしないから空にまだ星が遊んでいた存在意義を失くした僕と見失いそうに立ち尽くす君と決して、君を……あの日の君がそう言って空を見上げていた
2024年6月20日 13:17
「深森のなみだ」吐ききった呼吸の彩に緩やかにあつまる影あそび瞳を閉じたあわい魂のその指先がセルロースの傷痕をそっと舐めるちりちりと音をたてている其は、旅の終わりを知らない約束の端っこ焦らなくていいひとり何処へも逝かぬ昊その痛みすらも愛おしくなるほどに
2024年6月15日 12:45
「Ka'pilina」蹴破られた扉の向こう側弱さの中にある強さの意味を知る甘くて苦いひかり白く激しくメザメルト消えていく黒の記憶たち愛してると触れる指先永遠を意味するマウロアのくちづけ心地よく
2024年6月11日 18:25
「君は知っていた」小さな笑い声と涙たちが長い時をかけひとつの物語になるあの日、君と出会った姿で僕はひとりこの街へと帰ってきた朽ち果てた換気扇の下脳裏に転がる路地裏の風ピン刺したポイントを指でなぞると妙に全てのことが腑に落ちた君が託した願いの意味と僕を待たずしてこの街を去った理由あの頃と同じ空に手をのばす独り、此処から……