マガジンのカバー画像

エッセイ

50
自身の記事の中から、エッセイをまとめています。
運営しているクリエイター

#詩

絵画

絵画

突然ふと、太陽が隠れたら
ふと、この道を行く意味を失って
そうして、ぴたっと足を止めたくなる
でもこの世界で足を止めることは
心臓を止めることに似ているから
力が抜けそうな体を
重怠い足を
とりあえず交互に出している

そんな瞬間がふとやってくる
脳が何かを拒んでいる
心が脱力している

この道を行くために
路傍の店で欲を満たす
けれど十分に満たせる程の
対価を持ち合わせていない
明日が遠くなる

もっとみる
赤い線

赤い線

国語の授業中。
授業の内容はおぼつかない。
ただ、私は「健康に生きるということはどういうことか」について3つの答えを持ち、先生に当てられるのを待っている。
ふと、板書を写したノートに一編の詩を書いた私は、先生に見つからないように前を向いたまま、後ろの男の子に渡す。
授業を聞きながらしばらく待つと、後ろから合図がくる。
私が後ろに手を伸ばすと、合図をしていた手にあたり、ふと彼の手に私の手が包まれる。

もっとみる
喜劇

喜劇

私がここまで生きてこられたのは、
後ろ向きのなかで
絶望の合間合間で
希望を持ち続けてきたから。

前を向いて、とよく言われるけれど
どんなに後ろ向きでも、今生きていることが
私にとっての最大の「前向き」なのだ。

だから、
頑張ってきた って
思ってもいいですか

頑張ってきたのに って
愚痴ってもいいですか


もう期待したくない
希望も持ちたくない
それに躓いて転ぶのなら

ただ

もっとみる
夢

リッチな潜水船に乗っている夢を見た。その目的こそ忘れたが、そこに至るまでのストーリーがあって、壮大なアドベンチャーだった。

なのにいざ出航すると、他にも知らない人が乗って来て、人に気を遣い、自分のハンデを気にする小さな部屋の話になった。
私は落ち着きなく、親指の逆剥けをいじっていた。

そこで目が覚め、
ぼやっとしたまま親指を触ると
逆剥けなんて無かった。

只の昼寝だった。
すべては頭の

もっとみる
匂い

匂い

世界の終わりには、
どんな匂いがするのだろう。

記憶は不確かで出鱈目で、
なのにふとよみがえる、
いつとは知らないあの日の帰り道と
あの匂い。

雨で光る地面と車の走らない道路、
その風景は映画的で現実味がない。

なのにあの匂いはリアリティを帯びていて、
(匂いは目に見えず脳で認識するものなのだから、脳が仮想的に認識すればそこにあるのとほぼ同じなのだ)
もう帰ってこない時間と絡まる感情が

もっとみる
時間について

時間について

良い出来事は忘れやすいのに
嫌な出来事はいつまでも覚えている。

薄々答えは分かりつつも
なぜなのか、と呟いた数日後
テレビで答え合わせがあった。

危険回避のため
人間の脳はそうできているらしい。
嫌な出来事や怖い出来事を鮮明に
脳に記録するのである。

ここで、なるほど、と手を打った。
事故や自転車で転んだ瞬間など
その一瞬、スローモーションになる。

それは脳がその瞬間の情報を
事細

もっとみる
猫舌

猫舌

 



⁡猫舌は食べ方が下手なだけ
らしい。

⁡でも皆と同じものを食べた時
私は舌を火傷している。

⁡皆はしていないのだろうか。

⁡私は生き方が下手なのかも知れない。

⁡皆と同じ道を歩んでも
私は傷ついたりする。

⁡皆は平気なのだろうか。

⁡皆が正解で私が不正解でも
私が正解で皆が不正解でもない。

⁡私は傷ついている
それだけなのだ。

⁡だから、
「下手」とは言わないでほしいな

もっとみる
お風呂

お風呂

⁡あー、お風呂に入らなくては。

⁡気が向かない理由で
言葉拾いをする。

⁡リビング(と同じ階にお風呂がある)
に降り立つことは
冷たい湖につま先を浸けるようだ。

⁡息ができない
生を感じられない世界に
向かうのと同じことだ。

⁡ベッドのあるこの部屋には
私の生がある

⁡言葉を拾う許しがある

⁡生活に足を浸けることが
怖いなんて
人間と言ってよいのでしょうか?

⁡社会の上に生活があるっ

もっとみる
流動的

流動的




今週の前半、
何にもする気が湧かず
私はどうしてしまったのかと思っていた。

出かけてもただただしんどく、
お得意の愛想を振りまくことすら
しんどかった。

好きな音楽を聴くことさえ、
気が乗らないこともあった。

このご時世、
精神も限界が来たのだろうか。
それとも、とうとう
感情も気力も出し切って、
私の心は生クリームの絞り袋みたく
ゴミ箱へ捨てられるその状態にまで
なってしまっ

もっとみる
不安

不安




不安が襲ってきそうな不安

朝起きて洗面所に立ったときに
やってくるそれ


これなんですか?

不安の二乗ですか?

でも結局不安は不安やし、
掛け算をしてもその解は
やっぱりただのいつもの不安ですか?

それとも核となる不安を内包した
もうひとまわり大きな不安、
より漠然とした不安だから、
それがどんどん大きくなっていけば
内包した不安密度はどんどん

もっとみる
お花の声は聴いてもいいよ。

お花の声は聴いてもいいよ。



お花の声は聴いてもいいよ。

特にたんぽぽは、君に媚びたりはしないけれど、
君を傷つけたりも絶対にしない。

ただひたすらに
空を仰ぐ黄色の眩しさよ。

先生に「考えちゃだめだよ。」と言われた。

たんぽぽの様に生きたい。

「普通」の生き方が分からないから。

考える葦じゃなく、

たんぽぽの様に生きたい。

ただ意味のある様でない様な文字を打って
白い洗濯物を折りたたみ箪笥に並べる様に

もっとみる
花吹雪

花吹雪



アルバイトの帰り道。
桜を観ながら
春の曲聴きながら。

この瞬間だけを生きられたら
心の病は無くなるのかなぁ。なんて。

桜は何も言わないのに
心を春色に染めてくれますね。

花吹雪が心を奪っていく。
蝶々が笑っている。

こんな穏やかな心を
神様、ずっと私の胸にしまっておくことは
できないのでしょうか。

心が何かでいっぱいなんです。
桜の花弁が詰まって

もっとみる
さくらとあめ

さくらとあめ



雨降らないで〜
桜が散っちゃうよぉ

って焦るけど、

桜は雨のこと
悪く思ってはいないみたい。

ーーーーーーーーーーーー

透けた肌に透明のピアス
ブルベさんの成せる技だな。

雨が降っても、風が吹いても
儚げなのに悔いのない意志を感じる。
なんて魅力的な花なんだろう。

花



多数の人と違っていても、
歪な形でも、
瞳の中は海が広がっていても、
彼女は花を咲かせる。
精一杯

私もそうで在りたい。

ーーーーーーーーーーー

満開の梅林を前に「綺麗だね」って言う。
嘘じゃない、心から思っている。
一頻り目を染めたあと、
振り返るとぽつりとあった。

多くのそれとは少し違う彼女に
誰かに剪定されたの?
生まれ持ったあなたそのものなの?
とは訊かないけれど、

「寂しそ

もっとみる