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Thinkers50殿堂入り&アイデア全部アップデートに挑む。解説ver『Web4』『未来ジョブ理論』『究極型パラダイム』『CAIサイクル』『タイムリーダーシップとBeing経営』

Thinkers50殿堂入りについて解説をしつつ、どうアップデートされているかも説明する。


Thinkers50は経営思考学界のアカデミー賞ともノーベル賞とも言える存在だ。2001年から隔年で開催されている。中でもトップ50位の上位に居続けたものは殿堂入りを果たしている。経営学界でも多大な成果を上げ、今では当たり前となった経営用語もThinkers50由来のものが多い。

2021年の殿堂入り

リチャード・ダベニー(Richard D’Aveni)

製品やサービスの差別化が困難なコモディティ化を抜け出し、差別化するために必要な競争戦略について言及している。基本的な考え方は、モノ中心の考え方から、サービス中心の考え方「SDロジック」へと移行することにある。

アップデート内容:IDロジック「生きがい・ドミナント・ロジック」→Web4において必要な考え方

サービス中心のSDロジックを更に発展させた考え方だ。生きがい・ドミナント・ロジックでは顧客の生きがいを重視し、顧客の生きがいに合わせたマスカスタマイゼーションを行うことで、製品の差別化をして脱コモディティ化を果たす。

生きがい・ドミナント・ロジックにとってを考える上で必要となる考え方は浸透である。顧客の要求に対して深く染み込んでいく。ある顧客の御用聞きになるのではなく、どういった顧客が来てもマスカスタマイズできるように備えておくという方向性だ。これはWeb3以降のWeb4~10までを考える上でも参考になった考え方になる。

Web3の本質が「分散型自立」であるとするならば、Web4以降では「需要=供給」をいかに達成するかが鍵となる。顧客のマスカスタマイゼーションをいかにITによって達成するかだ。①提供するサービスにセルフカスタマイズ性があること、②提供するサービスのうち全員が求める統合された部分は全体に反映されること、この二つがメインテーマになる。

Web4.0による脱コモディティ化

Novel AIで考えるならば、【顧客全体が望んでいること:不具合の多い手の作画を良くする】といった部分については統合されているので全体的にアルゴリズムの改善をする。一方で、【その顧客がちょうど望んでいること:その人の好きな絵柄やキャラクターの傾向】の部分については、その要求が集まった時に返すアルゴリズムをそれとは別に決めておくことでマスカスタマイゼーションを果たす。この、統合用のアルゴリズムを柱として、顧客別のマスカスタマイゼーション用のアルゴリズムを設けることが、Web4において必要となる。

Novel AIには小説を書く機能もあるが、日本語版については回収するデータ元がなろう系や異世界系に偏っているのか、それ以外の小説作成に向かないようである。青空文庫を参考にした小説のAIではもちろんデータ入手元に引っ張られてしまう。データ回収元の偏りを回避して、それぞれの求める作品向けにマスカスタマイゼーションすることがWeb3時代からWeb4以降へと進むための突破口となる。

とはいえ、マスカスタマイゼーションされただけで生きがいを直に生み出しているとまでは言い難い。マスカスタマイゼーションはWeb4などで示されるように分かりやすいし、SIerなどのシステム実装においても役立つ。

SIer企業とWeb4

全員が求めていることについて最大公約数を取りつつも、顧客企業の違いによってマスカスタマイゼーションを行う。既に全体に売るための仕組みまでは完成しているので、システム構築をするコストは格段に低くくなる。マスカスタマイゼーションを行うところだけ実装時に動けばいい。こうしておくことで、ITの保守と運用は非常にスムーズになり、顧客とIT企業両方で利点を見出すことができる。

日本企業は、最大公約数を取って世界全体に薄く広く売る方法を実践してこなかったため、SAPやセールスフォースを生み出すことができなかった(GAFAMはアメリカでないと生み出せなかったと見られるが、SAPやセールスフォースは日本でも生み出せたかも知れない企業だ)。これが日本式のSIerシステムの弱点だと言われている。しかし、このWeb4的なシステム導入の仕組みを使えば、今後世界的なIT事業を展開しつつも、今持っている顧客を失わずに済む。既得権益があるから先に進めないというわけではなく、別に今の顧客を大切にしつつも世界を目指す方法なんていくらでもある。(ワンファクターモデル経済学によって生産性は労働時間に対して収束するので既得権益潰しは最長期的に見てあまり生産性に貢献しないことから、経済学的に見ても不要である)。

けれど、生きがいドミナントロジックはさらにその先まで見据えたロジックである。

Web4以降のの本質

「仕事と提供サービス」の価値順序の変更さえもWeb4以降では逆転する。自分が食べたいと思った味の組み合わせのラーメンがあれば、そのラーメンを食べれるようになるのがWeb4くらいだとすれば、そのラーメンを他の人も求めていれば、その売り手にまで望めば自動的になれるのがWeb5など先の世界になる。

この攻守逆転がWeb4以降の世界観であり、これを考える上では「価値順序の変更」が欠かせない。これについては以降説明する。

2019年の殿堂入り

クレイトン・クリステンセン(Clayton Christensen)


「破壊的イノベーション、ジョブ理論」で有名。

ジョブ理論とはイノベーションを起こすための理論だ。利益が上がっているから、成功しているからこそ、次の破壊的イノベーションに対応できなくなって潰れてしまうイノベーションのジレンマを脱却するために生み出された。

ジョブ理論とは「顧客がちょうど片付けたい具体的な用事」が何かを見極め、これを解決する手段を提供することでイノベーションを起こすというものだ。

アップデート内容「未来ジョブ理論」

未来ジョブ理論は、ジョブ理論を文字通り未来向けに発展させたアイデアである。未来ジョブ理論は「究極化、統合、根本否定」の三つを使うことで、「顧客がちょうど片付けたい用事」を発見する手法だ。

未来ジョブ理論の実行①究極化

そこで、未来ジョブ理論をリモートワークに使ってみる。まずリモートワークの究極化を行う。リモートワークが究極化するということは100%リモートワークになることを意味する。起こることは、「家かサードプレイスで仕事をする。会社のオフィスが消滅する。通勤が消滅する。社宅が消滅する。サードプレイス職場サービスが生まれる。会社の地域での壁が一切なくなる。世界中に仕事を発注できる」などである。

未来ジョブ理論の実行②究極統合(限界集約化)

このフェーズではどのサービス、製品、部品などが消滅するか、コンパクトになるかを示す。リモートワークは「通勤(定期券、自動車→ガレージ・駐車場、電車、バス→燃料)、オフィス(会社のデスク)、社宅、家賃補助、現場会議、飲み会」などを減らしたり、無くしたり、消すことができる。このうち、究極化と合致する部分が得にリモートワークに置き換えられる。究極化を先に考えておくことで、簡単にこの統合フェーズを考えることができる。

このうち特に統合できることが多いサービスについてはより拡大しやすい(逆に言えば目をつけられやすく、独自化が難しい)。具体的には電気自動車やスマートフォンなどである。

未来ジョブ理論の実行③根本否定

次が根本否定フェーズだ。これこそが未来ジョブ理論の真価を発揮する。リモートワークを根本否定するとすれば、『現場で集まって対面で仕事をすることに価値がある』となる。現場で集まることで、『集中力を高めることができる、よひビジョンを共有できる、対面なのでより深く意識に残る、対面として仕事をする体験UXを生み出す、創造性が豊かになる、通勤分は運動できる』といったメリットがある。リモートワークの真価を見極めることができるのだ。

未来ジョブ理論の実行④ ①〜③を統合する

そこで③を解決しながらも①②も達成する方法を検討する。①②では通勤・オフィス・社宅・家賃補助を消滅させる。しかし、③で対面・現場で仕事をする価値はあることが確認された。ということは、必要な時だけ対面・現場集合するが、それ以外は全てリモートにして、通勤・オフィス・社宅・家賃補助は無くすという流れになる。

となると、ここから導き出されるのは『社員が必要な時だけ集まるサードプレイス』である。常駐のオフィスから、臨時のサードプレイス型オフィスに転換するのだ。すると、リモートワークに対する未来ジョブ理論の答えは、『臨時のサードプレイス型オフィス』になる。全国の公園やカフェなどを一部借りて臨時のオフィスにする。そこが会社の代わりになる。

それから、創造性などを高めるといった観点と、自然に触れ合うと創造的なるという観点から、自然公園のオフィス化や、キャンプ型オフィスなどのアイデアも生み出される。こうして、自然サードプレイス型オフィス事業がこれでアイデアとして生み出された。

少しはこうした動きはあるものの、確かにまだ世の中でこの新たなサードプレイス事業は中心になっていない。なので、公園などと交渉してこの事業を行うとすればスタートアップを作ることができる。しかも、このソリューションはジョブ理論によって下支えされているので、需要を期待することができ、しかも未来に進むほど事業拡大性があることも分かるのだ。

これを既存事業や、新規事業に対して行なっていくことで、ある程度未来を予想することもできるし、ジョブ理論に支えられた新たな新規事業を生み出すこともできるのだ。ジョブ理論では今のジョブを解決するので、他の競合への不安が大きいが、未来ジョブ理論では未来のジョブへのソリューションなので、競合が少ない。仮に出てきているならば、その事業に対して未来ジョブ理論を使えばいい。

未来ジョブ理論の強みと弱点

未来ジョブ理論は、あまり深く考えなくても新たな時代に必要なサービスを生み出せることにある。ジョブ理論だと「なんだかんだいって資本主義だと大体思いつくサービスがすでに実践されている問題」という起業家を一番に悩ませる問題を倒すことができない。わりとどうせ他の誰かがやっている。これを未来に合わせることで解決するところが、未来ジョブ理論の圧倒的な強みだ。

なかでも、既に行っている事業の根本否定や統合を通じて、今の事業の変革も起こせるので、ジョブ理論以上に未来ジョブ理論はインタープレナーとの相性が高い。起業だけでなく、社内での変革についても、むしろそっちの方が未来ジョブ理論の得意分野だ。先ほど説明した「サードプレイス型オフィス」はスターバックスやコメダ珈琲店などカフェ屋や、モスバーガーなど飲食店で新規事業として実装できそうだ。その場合は起業して新たに始めるよりも既に事業基盤があったほうが有利になる。

弱点:タイミングが読めない&結局は技術力という問題に直面

未来ジョブ理論は、「未来がカードゲームの対戦相手だとすれば、相手の手札の中身を明らかにする」効果がある。しかし、その手札がどの順番で切られるかまでは読めない。またコロナといった突然起こる別要因のイベントによる速度の変化も読めない。これが弱点だ。リモートワークは普及するから、サードプレイス型オフィスが必要になる、といったことは読めるが、どのくらいサードプレイス型オフィスを本当に人々が必要としているのか?までははっきりとした数字では読めない。

・結局は技術や収益基盤に依存
ユニコーン企業ランキングも大抵は技術的起業(大学の最先端の研究をそのまま製品・サービスに)か、Web系・SaaS系(大抵需要も大きい金融・Defiが中心)になっている。

このうち、未来ジョブ理論的な企業は、基本的にはWeb系・SaaS系になる。アイデアを思いついたところで、やはり技術や収益基盤がないと動かし辛い。どちらかと言えば、既に技術や収益基盤、資金がある企業が「究極化・統合・根本否定」を果たすことで事業変革をする、既に特許や技術を持つ研究者が実装のための手段を考えるという意味が大きいようだ。

名前と効果のわりにアントレプレナーよりインタープレナー向きである。これはむしろ強みなのかも知れない。とはいえ、Web系・SaaS系起業としては遠未来ジョブ理論は役立つ。

ビル・フィッシャー(Bill Fischer)

アイデアハンターはアイデアを生み出すアイデアハンターになる方法について述べた本だ。才能に依存しない方法を教えてくれるものの、かなり実践面が強い内容、ようは要約しづらい内容になっている。

ただ言ってしまえばこの本の言いたいことは、「アイデアは外からやってくる!協業や会話から生まれるもので、頭をうならせて出すというイメージから脱却しよう!」ということになる。

アップデート内容「価値順序の変更によるアイデア発掘」

この書籍自体はCAIサイクルにより近い内容である。アイデアとは、協業によって知識を集めてその中から真に重要なものを見出す。というプロセスを得るからだ。まさにC協業・A知の集約・I生きがい・インテグレートである。しかし、ここでは究極のアイデアの出し方について説明する。

例えば幸せについてであれば「お金を稼げるようになる→お金を得る→時間を買う・何かに使う→体験を得る→幸せになる」という考え方が既存であった。しかし、これを入れ替えることで、「先に幸せになることで生産性を高め本来欲しかったものを達成する」などの新たな視点を得られるようになる。これが価値順序の変更だ。最低でも価値順序が変更できない状態よりは、できる状態のほうが究極的である。哲学でいう脱構築もこれに該当する考え方だ。インテグラル理論と、ポストモダン哲学は相反するようで、究極型パラダイム的である。

ひとまず、その価値順序の変更(脱構築)の考え方を使うことで究極のアイデアを得ることができる。

まずアイデアとは、自分の中から生み出すものではなく、世界のほうから降ってくるものだと考える。全体性が高いほうを主語にすることで、「自分が人生に何を望んでいるか?」という考え方から「人生が自分を通じて何を望んでいるか?」という価値観も持てるようにすることができる。

しかし、重要なのは後者にも偏らないことにある。こうして、「究極のアイデアが自分に何を望んでいるか?」と考えることで、自ずとアイデアを出すきっかけを作る。これが、価値順序の変更をアイデア作りに活かす方法だ。

意味のイノベーションを起こす上で、この価値順序の変更は特に大きな力を発揮するだろう。遠未来ジョブ理論のように考えなくてもアイデアを出す方法とまではいかないものの、柔軟な発想に貢献する。

ビジャイ・ゴビンダラジャン(Vijay Govindarajan)

アップデート内容「サイクルイノベーション」

サイクルイノベーションは、リバースイノベーションを発展させたアイデアだ。協業によって「AのイノベーションでBがイノベーションを起こし、そのBのイノベーションでAがイノベーションを起こす」という方式である。

このサイクルイノベーションを起こすには、どうすれば相手がイノベーションを起こしやすくなるかを考え、プラットフォームを作ることにある。

この時大事なのは、リバースイノベーションでは途上国こそイノベーションの源であるというように、相手の立場を気にせずに、むしろ自分と違う環境の相手とイノベーションを回すことにある。

サイクルイノベーションを起こすには、協業はもちろんのこと、置かれている立場が違うことや、見方が違うことが大事だ。世界のユニコーン企業のCEOは大半が移民であるように、外部から全く違うアイデアを取り入れることで、イノベーションを起こせるようになる。

社内のイノベーターチームを複数別々に用意して、その間でイノベーションを回すように動かしていく、というのが基本方針になる。

ハーマン・サイモン(Hermann Simon)

アップデート内容「カネの指数関数性と1000円の壁」

お金や人気は指数関数的に増大する。鬼滅の刃無限列車編が400億円越えの興行収入を叩き出したのも、ブランド品が高いのも指数関数の影響である。人気だったり、稼げるものほどわずかな差が圧倒的な強みになる。

今期アニメの「ぼっち・ざ・ろっく!」でこのシーンが大流行りしているのも、指数関数的な影響が大きい。他の人気に火のついていないアニメでこのくらいのシーンがあっても、ここまで話題にはなっていなかったと思われる(ヤマノススメのEDはスーパーアニメーターの吉成鋼さん制作でこのシーンに負けない圧倒的なクオリティだが、このシーンほど話題にはなっていない)。


逆に言えば、ブランド品は値段のわりにそこら辺のものと実価値は変わらないということも示している。10万円のベースと5万円のベースは2倍ではなく、1.41倍くらいの差が実態となる。

また、キリのいい数字には特に強い価格硬直性がある。

このグラフは情報教材の価格と、その価格で売られている情報教材の数を示したものである。ここで見るように、価格は1000円で特に強い硬直性があり、実価値(希少さ)に対して指数関数的に価格が上昇していることが分かる。10000円でもこうち

売り手側の戦略

1000円から離れた値段の高い商品を売る。万単位の商品には価格交渉力が効かなくなるので値引きをしない。価格の高い商品を深く売る。高価格戦略でビジネスを行う。高価格戦略をしたり、人気に火が付いた場合はわずかな差が大きな価値になるので、特にクオリティを高めることに専念する。値段が高いほどわずかな差が価値や利益を大きく変える。

買い手側の戦略

ブランド品で価格が跳ね上がっているものについても、1000円以下の商品と同じように厳しい目を向ける。生活水準に関わらず、10円、100円単位はあまり気にせずに、その意識を1000円以上の価格の節約に向ける。価格が1000円以上で跳ね上がることを知っておき、1000円以下で贅沢をする。

ドン・タプスコット(Don Tapscott)

「ブロックチェーン」のアイデアを有名にした。

アップデート内容「個人別採算方式」

ブロックチェーンはWeb4以降でも重要になる価値観だ。しかし、中でも世の中を変えると見ているものが個人別採算方式である。

これは、会社は確実に赤字を出さずに利益を上げることができ、従業員は必要な分だけ労働して、自分に必要な額だけ稼ぐことができる。さらには、正規労働者、非正規労働者、フリーランスといった労働条件の違いを超え、一人一人が理想とする時間働くようになる。

今年消費しなければ、年収を会社に残しておき、その分を投資しておくことで、会社の成長によって稼ぐことも可能だ。ストックオプションやインセンティブの見方も一変する。

会社は利益を確実に上げられるようになり、従業員は過度に会社に縛られなくなる。この二つを同時に達成するのが個人別採算方式だ。

クリス・ズック(Chris Zook)

アップデート内容『being経営』

Being経営については、この後のタイムリーダーシップとBeing経営で詳しく説明する。

2018年の殿堂入り

ピーター・ドラッカー(Peter Drucker)
もしドラの影響でドラッガーは有名になったが、そのタイミングでThinkers50は有名にならなかった。

アップデート内容「生きがいイノベーション」

ドラッガーが「イノベーションと企業家精神」で特に強調していた部分は、
人が真に求めるものを考えるものは必ず勝てるにもかかわらず、それを競って考えないのはなぜか?」という点だ。

人が真に求めるものは生きがいである。人は生きがいから脱した考えを持つにしても、この生きがいに縛られている。このため、製品・サービスなどの視点から生きがいを中心に物事の視点を考え直すことが重要だ。

社員や協業仲間、顧客の真の生きがいとは何か?を考え、これを中心にビジネスを進めていく。これが生きがいイノベーションの本質になる。

ドラッガーは割と言っていることは当たり前のことになるが、生きがいイノベーションも今後の世界の当たり前となるよう望みたい。

マーシャル・ゴールドスミス(Marshall Goldsmith)

「コーチング」で有名。

アップデート内容「CAIサイクル」

ここでCAIサイクルについて詳しく説明する。

CAIサイクルとは、
CがCollaborationの協力主義、
Aがaggregationの知の集約・統合
IがIkigai・生きがいである。

そもそもなぜ人が組織を作るのか?という究極的な理由を考えると、それは協力するためである。そしてなぜ人は協力するのか?という究極的な理由を考えるとチームメンバーから知を広く集約し、アイデアを集めて統合する場を作ることにある。

その結果何をしたいか?と究極的に考えると、ある目標を達成するためである。その結果得たいものは、人生の目的を達成した時に得られる生きがいか、それに比肩すると自身が定義したものになる。

そこで、CAIサイクルではこれらがまるでPDCAサイクルのようにサイクルの関係になっていることを見抜く。そもそもPDCAサイクルを含む世の中にある数多のサイクル(U理論)なども基本的にこのCAIサイクルの流れに則った構造をしている。

協力をして、周りから知識を集め、そこから重要なポイントを見出す。そこから得たことを通じて、次の協力に活かす。というサイクルだ。

たしかに自己啓発本の主張も、啓発本に近い内容のビジネス書も、CAIサイクルに則っている。

CAIサイクルはPDCAサイクルよりも3つしかサイクルがないので特に使い勝手もよい。

情報セキュリティ分野のCAIとも対応している。

協力すべき相手と密に連携する、機密性。
情報と繋がるのが可用性、知が集まるようにする。
情報が統合されているIntegrityが完全性。


マイケル・E・ポーター(Michael E. Porter)

「コストリーダーシップ・差別化・集中戦略」で有名。

C.K. プラハラード(CK Prahalad)

「コア・コンピタンス経営」で有名。

アップデート内容「タイムリーダーシップとbeing経営」

タイムリーダーシップ戦略は、時間的優位を獲得し経験直線そのものの短縮するスピードを加速する戦略である。経験を素早く回数をこなしていくことで、次に経験するのに掛かる時間も短縮し、それを繰り返すことで限界までスピードアップする。タイムリーダーシップは、コストリーダーシップを含んで超える戦略である。

この戦略を成功させたのがAmazonである。Amazonは工場に徹底した投資をして流通を加速させ、UIを非常にシンプルなものにして購入までの時間を短縮した。徹底して顧客に届くまでの時間の短縮することで、次に製品を売るまでの時間を短縮し、コストを削減。そして、さらに経験曲線を速めて加速し続けた。この結果、Amazonは流通業で圧倒的な力を持つようになったのだ。コストリーダーシップでは、規模の不経済などによって阻まれていた世界的な拡大も、Amazonはタイムリーダーシップによって乗り越えた。

タイムリーダーシップの弱点はコストリーダーシップとは違いすべての企業が取り組める戦略になるので、差を付けづらいところにある。しかし、コストリーダーシップ(時間を短縮することでコストを削減)、集中戦略(地域やセクターを絞ることで加速)は確かに含んで超えている。

ゼロマネジメント

このタイムリーダーシップにおいてメインになるのは「何をするか?」ではなく「何をしないか?」にある。これがゼロマネジメントだ。しないことを決めるというのは、経営学界でも常識になりつつある側面もあるが、何のためにするかをタイムリーダーシップ戦略ははっきりさせている。より加速するためにしないことを決めるのだ。そして、先ほどの高価格戦略を合わせるとわずかな時間差が圧倒的な競争優位を生み出す、という意味にも繋がってくる。

アップデート内容「Being経営」

Being経営はthinkers50のビジョナリーカンパニー・ゼロを読んでいた時に思いついたアイデアだ。会社のビジョンよりもより中心にあるものとは何か?を考えた時に、それは会社の存在そのもの=Beingだと気付いた。

そして、この会社が「○○である」を重視するのがBeing経営だ。そもそも自分たちは何であってなぜこの会社なのか「Why you?」こそがビジョン(何を目指すか?)よりも中心に来る。

Beingという存在があって、その周辺に目的であるビジョンとパーパスがあって、その周りに計画と手段がある。パーパス経営のより中心に位置するのがこのBeing経営だ。

たとえ何があっても自分は○○であり続ける。この会社の存在の本質は○○にある、この商品の存在は○○にある、というのを決めていくのがBeing経営だ。届く可能性に過ぎない目的以前に、そもそも今自分に、この会社にあるものは何かを考え、そこから立てていく。これがBeingの筋道になる。

このため、コアコンピタンスの経営の先にBeing経営はある。

2017年の殿堂入り

ダニエル・ゴールマン(Daniel Goleman)

「EQ」「SQ」で有名。

アップデート内容「究極型パラダイム」

SQといえばインテグラル理論である。そもそもEQという考え方はインテグラル理論から派生したアイデアであって、究極型パラダイムはその究極の発達段階を指すのだから、SQのアップデート版は究極型パラダイムである。

インテグラル理論はポストモダン哲学の脱構築と相容れない関係にあったが、究極型パラダイムではむしろこの脱構築をも、価値順序の変更によって含んで超えることで、文字通り究極を目指している。

究極型パラダイムでは「最低減そうであること」から攻める。これが考え方の基本になる。例えば、先ほど説明した価値順序の変更では、たしかに価値順序の変更が固定されているよりは、自由に動かせる状態のほうが究極的に近いとはいえる。まったく脱構築できないよりは、するしないに関わらず、できる状態のほうが究極的なのだ。

このようにして、(たとえたどり着けなかったとしても)究極的な思考を目指すというのが、究極型パラダイムになる。インテグラル理論の発達段階の究極を目指している状態が究極型パラダイムであり、究極なのだから、思考は究極思考になる。

ジョン・コッター(John Kotter)

企業組織改革論で有名。

アップデート内容『バシリスク経営』

組織が変わり続けることを前提に走り抜く。先ほどの続きである未来ジョブ理論などを使いながら、新たなイノベーションを起こし続け、そのイノベーションを一歩一歩と考えて進み続ける。撤退のタイミングと新規事業開発、収益化のバランスを保つことでひたすらに走る企業となる戦略。この走り続ける状態から抜け出すには、恒常的イノベーションが必須である。恒常的イノベーションは、基本的には性質を変えず時代を超える。サクマ式ドロップスは廃業してしまったが、サクマ式ドロップスとサクマドロップスは二つ合わせて恒常的イノベーション。つまり、残った方のサクマドロップスは今後も残り続けることになるだろう。

この恒常的イノベーションにおいて重要なのは、基盤は変えないこと。サクマドロップは鬼滅の刃などの作品とコラボすることで生き残りを計ってきたが、飴の中身や缶詰自体はほとんど不変。相手が受け取るジョブやサービスのイメージ、付加価値の本質は変えないbeing経営が需要だ。そうして長くやっているだけで価値になる。

しかし、組織や製造プロセスは時代と共に変わらなければならない。そのため、恒常的イノベーションの企業以外は基本的にバシリスク経営を目指す必要がある。でないと破壊的イノベーションにやられてしまう。

ニラマルヤ・クマー(Nirmalya Kumar)

アップデート内容「協力主義」


ジェフリー・フェッファー(Jeffrey Pfeffer)

アップデート内容「IDロジック・真のウォーターフォール思考」

真のウォーターフォール思考とは、これもbeing経営と同じだが、上手くいっている限りはそのまま突っ走れ!である。そして、自分が確信したことに対して突き進むのが真のウォーターフォール思考だ。一度決めたことを最後まで同じようにやり遂げるウォーターフォール開発から考案した。ただのウォーターフォール→アジャイル→真のウォーターフォールへと変わっていく。まず始める瞬間は何も分からないので基本手順に従う。しかし、それだけでは対応力に限界が来るので、周りに合わせて自分を変える(アジャイル)、そして分かってきたら、とにかく自分の確信に従って突っ走るという方法だ。

これの注意点は、上手く行かなからばアジャイル・試行錯誤に戻す必要があるという点。上手くいけば、そのまま突っ走っていい。この押し引きの加減が経営を左右する。悪いヤツは悪いのになぜ出世するかというと、この悪くても自分の軸を持って突っ走っているから。世の中無鉄砲でも通ることも多いということにもなる。

ダグラス・A・レディ(Doug Ready)

アップデート内容「知の統合」

この集団的野心は先ほどの悪いヤツほど出世するの内容よりはどちらかといえば、アジャイルでみんなの意見を集めて統合していこう、という協力主義的な内容。

フォンス・トロンペナールス(Fons Trompenaars)

同じく知の統合。今後深読みしていけば新たなアイデアがあるかもしれない。

デイビッド・ウルリッチ(Dave Ulrich)

まだアップデート方法はわかっていない。

2015年の殿堂入り

エドガー・H・シャイン(Edgar H Schein)


アップデート内容「ティール社会、それ以降の社会」

インテグラル理論が圧倒的に凄いのは、世の中の社会経済システムとまるで対応するかのように振る舞っている点。そして、マルサスの罠(産業革命まで全然GDPが増えなかったこと)をはっきりと説明できている点だろう。

産業革命前の封建主義がアンバー、産業革命がオレンジ、IT革命がグリーン、web3がティールに対応している。ということは、その先にはターコイズ、インディゴ、ヴァイオレット、ウルトラヴァイオレット、クリアライトがあるのだから、この概念を学べば先のアイデアを出すことができるという点だ。

実際、筆者はそれが正しいかは別としても(物事は部分的に正しいし、正しくないというのがインテグラル理論の本質)、たしかにこのターコイズなどの先の概念を使うことで、web4以降に起こるムーブメントを予想することができた。

インテグラル理論は、未来の技術を発想する上で役立つ理論のようだ。社会はweb3で今ティール社会になりつつあり、DAOとはティール組織の別名といっても過言ではない(テクノロジー的視点がDAO、組織的視点がティール組織だが)。つまり、ターコイズ組織やその更に先の究極型組織を目指すことで、新たなアイデアや技術を生み出すことができる。

実際、スカンクワークスはインディゴ組織的な性質を持っていて、GPSなどの新たな技術革新に貢献した。

そして、次にそのクリアライト組織について見てみる。

エドワード・E・ローラー3世(Edward E. Lawler III)

アップデート内容「クリアライト組織や究極組織」

22世紀の、もっと先の組織デザインとして、クリアライト組織は挙げられる。ティール組織の更に先の組織だ。

この組織では、ティール組織に代表的な全体性、存在目的、セルフマネジメントが更にアップデートされている(アップデートが一概に最強というわけではない。物事は部分的にしか正しくないのだから、しかし、新たなシンギュラリティ的なイノベーションを起こすには高いほど貢献するとの予想もできる)。

全体性は、先ほど説明した究極思考と脱構築になる。存在目的はbeing経営の存在そのもの・beingとなる。そしてセルフマネジメントは、協力主義となる。組織が存在する理由自体は協力のためにある、としておき、その上で自分達には何があるのか?自分の協力する存在とは何か?世界が自分達に望むものは何か?を考えて、事業を作り出していく。そう。これらは全て究極型パラダイムによって一連で繋がっていて、究極のアイデアの出し方もこの究極型パラダイムに基づく。

アンドリュー・カカバッツィ(Andrew Kakabadse)

多くの本を出版しているが、なぜか日本語訳されていない。まだアップデート内容はなし。

ロザベス・モス・カンター(Rosabeth Moss Kanter)

アップデート内容はまだない。

リチャード・P・ルメルト(Richard P. Rumelt)

アップデート内容「Being経営」

ラム・チャラン(Ram Charan)

アップデート内容「GIVE ALL FIRST」

協力主義において欠かせない心構え。

2013年の殿堂入り

野中郁次郎(Ikujiro Nonaka)

大前研一氏と合わせて初年度で殿堂入りしてしまったので、Thinkers50から日本人の名前を見なくなってしまった。

そもそも、アジャイル型開発の大元に辿れば野中氏の貢献がある。アジャイル型開発でthinkers50になったと言っても過言ではない。失敗の本質などから、全体を見極め、アジャイル型で事業を進めるにしても、無意味な成功を避けるように強く訴えている。一人一人の能力を上げるのではなく、能力がなくてもできるように仕組みを作り、システムを組むことの重要さを解いている。

アジャイルのアップデート、真のウォーターフォールにとって欠かせないのは、常に全体をみること、あるいはこれだけは変えないということを逆にしっかり決めておくこと。そして失敗は受け入れること、自分にとって真に意味のあることをなすことである。

アップデート内容「真のウォーターフォール思考、知の統合」

大前研一(Kenichi Ohmae)

アップデート内容「CAIサイクル」

CAIサイクルは、そもそもPDCAサイクルやU理論などのエッセンスをまとめたものであるから、基本的には大体の自己啓発本やビジネス書はCAIサイクルについて話しているということにはなる。みんなと協力して知識を広く集め、そこから本質を見抜いて次の協力につなげる。まずいってこの流れになるようだ。

ウォーレン・ベニス(Warren Bennis)

アップデート内容「イニシアチブシップ」

この書籍は、いわゆるアメとムチ的なリーダーから、示唆するサーヴァント型リーダーへの移行を促している。
そして、ターコイズ組織ではインセンティブ的なリーダーから、さらに先に進んでアイデアの先駆者であるイニシアチブが登場する。この知の先駆者イニシアチブこそがイニシアチブシップを支えている。

イニシアチブとは、

ハワード・ガードナー(Howard Gardner)

アップデート内容「世界を拾ってくる、価値順序の変更」

フローを起こすには、「ゴールと道のりはわかっているが、その旅の過程で何が起こるかは分からない状態」が望ましい。この目的意識、計画性と、偶発性のバランスがフロー状態を起こす。計画的偶発性理論もフローを起こすための理論と言えるだろう。

チャールズ・ハンディ(Charles Handy)

アップデート内容「生きがいイノベーション」

これまで説明してきた内容に加えて、IDロジック的なパラダイムシフトを起こすのが生きがいイノベーションである。これからの生き方と働き方は生きがいイノベーションである。

ロバート・キャプラン(Robert Kaplan)&デイビッド・ノートン(David Norton)

バランススコアカードで有名。

アップデート内容「CAI評価」

CAIサイクルを用いて企業や自己評価を行う。これについては、今後詳しく言及していきたい。

フィリップ・コトラー(Philip Kotler)

コトラーのマーケティングは、マーケティング理論を世の中のテクノロジーに合わせて変革していこうという試み。web4.0以降の世界ではマーケティングさえも自動化されていく。好きなラーメンを頼むだけで、そのラーメンの売り手にもなれるといったように。つまり、web10.0だ。

アップデート内容「web10.0」

ヘンリー・ミンツバーグ(Henry Mintzberg)

アップデート内容「真のウォーターフォール思考」

トム・ピーターズ(Tom Peters)

アップデート内容「CAIサイクル」

番外 クリス・アージリス(Chris Argyris)

アップデート内容「究極思考」

見通すと、究極型パラダイムか、CAIサイクルか、真のウォーターフォール思考、Web10.0が基本で、未来ジョブ理論や、タイムリーダーシップのように直にターゲットにしてアップデートしているものもいくつかある。

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