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2023年1月の記事一覧
詩/マドラースプーン
訳あって
銭湯へ出掛けて
風呂上がりには
コーヒーフロート
滅多に頼まないが
目が合ったのだ
すぐそばの
テーブルに腰掛け
珈琲に浮かぶクリームと
知らない誰かの小説
右手に見えますのは
細長いマドラースプーン
日々の火照りと共に
冷ましましょうか
勿体ぶるように。
(2022.10.27)「頑張りすぎ」という言葉は、「努力しすぎ」ということではない
よく「頑張りすぎ、そんなに頑張らないで」と言われることがあります。
そのたびに「ありがとう」と言いはするのですが
心の中では、
「別に頑張ってないんだけどな。必要だからやってるんだけだし」
「というか頑張らない人生に意味ありますか?」
と傲慢なことを考えていました。
でも最近思ったのが、
「頑張りすぎ」というのは、「努力量がすごい」ということではないんじゃないかなあと。
じゃなくて、
「思い詰め
KILLING ME SOFTLY【小説】17_この子と結婚するんだ
あたかも友人の如く仲が良い親子の会話に耳を傾けながら着いたのは、散歩には最適な距離にある戸建てだった。
近所はいずれも大同小異だが、広々とした庭に美しく彩りを添える数々の手入れが行き届いており、自動車が2台停まっていた。
故に集合住宅以外では暮らすことなく月日を送る自分と〈貧富の差〉を痛感する。
千暁の母親・眞紀ちゃん(正確には眞紀子さん)は一重で切長の瞳に筋が通る鼻と薄い唇を持ち、艶やかなロン