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悪戦苦闘のドッキュメント

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記事一覧

生・美・死 美学と生 瞑想と美

 真理は存在しない。神や伝統が死んだので、生きるための神話や物語が崩壊し、全員が潜在的なニヒリストになる。  海図なき航海の時代とか言われるが、本当にどう生きる…

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1日前
16

なぜクリエイターは死ぬほど傲慢なのか

 優れた芸術家ほど傲慢なイメージがある。岡本太郎などは著作から「俺が正しい!」という声が伝わってくるし、宮崎駿監督が変な映像にぶちぎれている動画は有名だ。三島由…

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2日前
25

救済のパラドックス

 この世は逆説に満ちている。救済という観念も逆説的なものの一つであると思う。  僕はメンタルヘルスの問題、死の恐怖、それにこの世の無価値さについて憤りと苦悩を抱…

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4日前
22

小説や詩の賞 インターネットと創作

 友人は絵画の賞を何個も取っているんだけれど、もうそういう類の活動は一切していない。「賞ってただの名前じゃん」と言っていた。  永井均氏の「倫理とは何か」という…

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4日前
39

なぜ宇宙は不思議ではないのか

 宇宙は不思議で神秘的なのだけれど、なぜそのことに気づかなかったのだろうと考えていた。一言で言えば「神話」を持っているからだと思う。科学は神話であるというのは耳…

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6日前
17

わたしの愛着障害

 10代の頃から不安定な恋愛を繰り返していた。喧嘩ばかりしたり、別れて復縁するのを繰り返したり、一方的に別れを告げたり。友人やフォロワーにも「お前何回復縁してるん…

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10日前
42

結論

 神を求めて哲学をしていたけれど、実感として結論が出たので結論を書きたい。最近の記事は重複が多い気がするけど勘弁してください。  不条理、ということから思索が始…

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11日前
23

不思議という事

「詩としての哲学 ニーチェ・ハイデッガー・ローティ」という本を読んだのだけれど、著者の実存スタイルが自分と合わなかったので、全然ピンと来なかった。この人は日本で…

げんにび
11日前
19

ニイチェ・無常という事

 ニーチェ系の自己啓発本にはよく「今を生きる」のようなことが書かれている。確かに永劫回帰の思想からはそのような帰結が出てくる。  永劫回帰という謎めいた思想には…

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12日前
25

言葉の伝達可能性 韻 リズム 言葉遊び

「また朝が来た。憂鬱だ。もうずっと眠りたい。」と書いても文章としては明晰に伝わるのだけれど、さっき詩を書いた。  自分が快い感じで、一筆書きで書いた。「回転」「…

げんにび
13日前
18

孤独感 聴くこと 他人に理解されたい

 他人に理解されたいとずっと感じていた。でも他人に理解されるということなど絶対に不可能なので、この孤独をどうしたらいいか考えていた。  人間は「不連続」な存在な…

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2週間前
44

ボーはおそれている 不条理文学 不条理映画 不条理漫画

 「ボーはおそれている」という映画を見た。アリ・アスター監督の前作の「ミッドサマー」が物凄く良かったので、今回の作品も楽しみにしていた。期待よりも面白かった。 …

げんにび
2週間前
29

詩作と少し真面目に向き合って考えたこと

 「無根拠な存在神秘」って「美」と繋がっている気がしたから、詩を書こうと思い、詩を書いていた。今までに詩って適当に書いていて、多分30~40ぐらいは書いたと思うけれ…

げんにび
2週間前
42

宗教のコペルニクス的転回

 「世界はなぜ「ある」のか?:「究極のなぜ?」を追う哲学の旅」という本がある。著者はジャーナリストで、高校生の頃にハイデガーの「形而上学入門」を読んで、そこに書か…

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2週間前
20

詩を書きたかった 理由なき必然性

 本気で「創作」に取り組んだことがないのに、創作論ばかり書いている。創作とは何か?クリエイターとは何か?ということばかり書いている。創作をしたいんだと思う。  …

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3週間前
25

美 不可解 難解

 詩集を読むと、具合が悪くなるので詩が読めなかった。刺激が強すぎて吐き気がした。昨日久々に詩集を買って読んでみたら、とても甘美で美しく、洗われるような気がした。…

げんにび
3週間前
20

生・美・死 美学と生 瞑想と美

 真理は存在しない。神や伝統が死んだので、生きるための神話や物語が崩壊し、全員が潜在的なニヒリストになる。

 海図なき航海の時代とか言われるが、本当にどう生きるべきかのマニュアルが一切存在しない。真と善は密接に関連しているが、真が崩壊したせいで善も危うくなっている。リベラリズムや個人主義というのは倫理を破壊する原理であるように思う。倫理というのは「共同体」の「風習」である。カントがいくら「定言命

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なぜクリエイターは死ぬほど傲慢なのか

 優れた芸術家ほど傲慢なイメージがある。岡本太郎などは著作から「俺が正しい!」という声が伝わってくるし、宮崎駿監督が変な映像にぶちぎれている動画は有名だ。三島由紀夫なんかも傲慢そのものであるし、まあ一番傲慢なのはニーチェであると思う。ボカロPなどのTwitterも結構痛い人が多い。小説家も政治的な主張が物凄く強かったりする。枚挙にいとまがない。

 自分が詩作を始めてから初めて知ったのだけれど、物

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救済のパラドックス

 この世は逆説に満ちている。救済という観念も逆説的なものの一つであると思う。
 僕はメンタルヘルスの問題、死の恐怖、それにこの世の無価値さについて憤りと苦悩を抱えていたので「救い」を絶えず求めていた。救われたい。このような「逆転の一手」を象徴しているのが「NHKにようこそ」というアニメであると思う。最後まで見ていないのだが、引きこもりで無職の男を、若くて顔の良いメンヘラ女が救済するという話だった。

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小説や詩の賞 インターネットと創作

 友人は絵画の賞を何個も取っているんだけれど、もうそういう類の活動は一切していない。「賞ってただの名前じゃん」と言っていた。

 永井均氏の「倫理とは何か」という本が大好きなのだけれど、こういう文章があった。

 何気ない文章で書かれていて、本筋ではない場所で語られていたので余計に印象に残った。
 僕も本当にそう思う。僕は世の中の人は哲学の話なんか、大学教授の権威のある文章しか信じないと思っていた

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なぜ宇宙は不思議ではないのか

 宇宙は不思議で神秘的なのだけれど、なぜそのことに気づかなかったのだろうと考えていた。一言で言えば「神話」を持っているからだと思う。科学は神話であるというのは耳にタコができるぐらい聞いたが、本当に神話だとは思っていなかった。
 僕は唯物論というものを信奉していたのだけれど、微塵も信じなくなってしまった。学校で科学教育を受けたので唯物論が正しいと思っていただけで、宗教教育となんら違わなかった。
 

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わたしの愛着障害

 10代の頃から不安定な恋愛を繰り返していた。喧嘩ばかりしたり、別れて復縁するのを繰り返したり、一方的に別れを告げたり。友人やフォロワーにも「お前何回復縁してるんだよ」と引かれるぐらいだった。
 孤独感が人一倍強いので恋愛するのだが、恋愛において距離が近くなると距離を置いたり、別れたくなってしまう。こういう矛盾した愛着スタイルを「恐れ・回避型」というらしい。愛着障害についての書籍が最近多いが、もっ

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結論

 神を求めて哲学をしていたけれど、実感として結論が出たので結論を書きたい。最近の記事は重複が多い気がするけど勘弁してください。

 不条理、ということから思索が始まったのだけれど、元々神っていうのは不条理に要請された観念だ。なぜか人が病気で死んだり、災害が起きたり、戦争が起きたり、不作で飢餓が起きたりする。なぜだか全然説明がつかない。「説明ができない」から観念をでっちあげる。それが神と呼ばれた。そ

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不思議という事

「詩としての哲学 ニーチェ・ハイデッガー・ローティ」という本を読んだのだけれど、著者の実存スタイルが自分と合わなかったので、全然ピンと来なかった。この人は日本では珍しくロックやバークリーの研究書を出してくれていて助かるのだが、哲学者ではなく哲学研究者であると思う。
 後期のハイデガーは詩に傾倒するが、著者は「ハイデガーは存在という特権者を置くことで、自分を特異な地位に置いている」と批判している。

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ニイチェ・無常という事

 ニーチェ系の自己啓発本にはよく「今を生きる」のようなことが書かれている。確かに永劫回帰の思想からはそのような帰結が出てくる。
 永劫回帰という謎めいた思想には様々な解釈がなされているが、僕は「時間に永遠を刻印する」という言い方が分かりやすいと思う。「全てのものが全く同じ通りに無限回反復される」という「信仰」を持つことで、自分の人生がそっくりそのまま「永遠化」される。「この瞬間は、過去に無限回存在

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言葉の伝達可能性 韻 リズム 言葉遊び

「また朝が来た。憂鬱だ。もうずっと眠りたい。」と書いても文章としては明晰に伝わるのだけれど、さっき詩を書いた。

 自分が快い感じで、一筆書きで書いた。「回転」「くるくる」「クルーポッポ」「狂う」「来る」を反復することで、言葉遊び的ユーモアがあるし、なにより「伝達」できるんじゃないかと思った。
 昔から「レトリック」に興味があって、何冊か本を読んだのだけれど、比喩の話ばかりであまり参考にならなかっ

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孤独感 聴くこと 他人に理解されたい

 他人に理解されたいとずっと感じていた。でも他人に理解されるということなど絶対に不可能なので、この孤独をどうしたらいいか考えていた。
 人間は「不連続」な存在なので、絶対的な孤独にあるとバタイユは考えていた。この人は「神の死」を一身に引き受けた人なので、孤独を感じざるを得なかった。だから、詩的なテクスト実践をしてなんとか「伝達」しようとしていた。萩原朔太郎という詩人の朗読音声を聞いていたのだが、序

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ボーはおそれている 不条理文学 不条理映画 不条理漫画

 「ボーはおそれている」という映画を見た。アリ・アスター監督の前作の「ミッドサマー」が物凄く良かったので、今回の作品も楽しみにしていた。期待よりも面白かった。

 内容は、ボーという怖がりの男が不幸な目にあいまくるというただそれだけで、物語はめちゃくちゃに進行していく。ネタバレもクソもないんだけれど、大まかな流れとしては母親のいる実家に帰るという話になっている。

 信じられないぐらい面白かった。

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詩作と少し真面目に向き合って考えたこと

 「無根拠な存在神秘」って「美」と繋がっている気がしたから、詩を書こうと思い、詩を書いていた。今までに詩って適当に書いていて、多分30~40ぐらいは書いたと思うけれど、暇つぶしだった。3日ぐらい詩作をして思ったこと。このnoteには詩は載せないことにしようかなと考えていたけれど、載せずに詩の話だけするのは読んでるほうもよくわからないと思うので載せます…。

 一つ目に思ったのは、詩って嘘がつけない

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宗教のコペルニクス的転回

 「世界はなぜ「ある」のか?:「究極のなぜ?」を追う哲学の旅」という本がある。著者はジャーナリストで、高校生の頃にハイデガーの「形而上学入門」を読んで、そこに書かれている「なぜ一体、存在者があるのか、そして、むしろ無があるのでないのか?」という問いを読んで仰天し、ジャーナリズムの仕事についてから、神学者や物理学者にその問いを問うてきたという。ハイデガー自身については「詩的な神秘主義に陥ってくだらな

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詩を書きたかった 理由なき必然性

 本気で「創作」に取り組んだことがないのに、創作論ばかり書いている。創作とは何か?クリエイターとは何か?ということばかり書いている。創作をしたいんだと思う。

 どれぐらい有名なのか分からないが、Twitterでは有名な「岩倉文也」という詩人がいた。彼がフォロワー300人ぐらいの頃から知っていて、詩人として開花する様子を見ていた。一気にスターダムにのし上がって、羨ましかった。正直、詩はあまり良いと

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美 不可解 難解

 詩集を読むと、具合が悪くなるので詩が読めなかった。刺激が強すぎて吐き気がした。昨日久々に詩集を買って読んでみたら、とても甘美で美しく、洗われるような気がした。

 美学の本を読むと、昔は「美は比率である」とか言われていたらしい。黄金比ってのは眉唾らしいが、確かに均整のとれたものは綺麗に見える。が、美しさって均整に還元できるわけがない。

 川端康成が「美には霊性がなければならぬ」と書いていた。僕

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