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幸せはカラダのどこからやって来る? 幸福への近道とは(今すぐ食事を見直すべき理由)

「人が幸せになるためには幸せホルモンをたどるのが近道。そのキーは腸が握っているということか」

最近、興味の対象は人体のどこに意識を向ければ人のパフォーマンスが高まるのかや、幸福感や穏やかなマインドセットが得られるのかです。先日も「脳腸相関」というテーマに触れました。

今回は幸福感に寄与する神経伝達物質の側面からさらに理解を深めたいと思います。テーマは「幸せホルモンを増やには?」です。

「幸せ」がやってくる場所

脳には無数の神経伝達物質が存在し、情報の伝達をやりとりしています。そのひとつがセロトニン。別名「幸せホルモン」とも言われています。リラックスしたり安心感、幸福感をもたらしてくれます。幸せホルモンと言われていますが厳密にはホルモンではなく神経伝達物質だそうです。

体内にあるセロトニンの割合は約90%が腸、約8%が血液中、そして脳内に存在するのはたった約2%。「幸せホルモンは脳にある」と思いがちですが全くの誤解ですね。そう考えると、「幸せの9割は腸からやってくる」というのは言い過ぎではなさそうです。

我々は食事から必須アミノ酸を摂取します。そこから腸内細菌のはたらきでセロトニンのもとになる物質がつくられます。それが脳に届くとセロトニンとなり、リラックスや幸福感などの感情を発生させます。腸内環境が良いとこの「セロトニンのもとになる物質」が十分な量担保でき、脳へ送られるため、結果セロトニンが増えて精神状態が安定します。逆に、腸内環境が悪いとセロトニンが十分に生成できず、イライラや不安感を感じがちになります。

つまり、腸内環境は精神の安定やイライラ、ひいては幸福感に大きく関わっていると言えます。

脳が先か腸が先か

人体において脳か腸かどちらが大切か、もちろんどちらも大切ですが、どちらが先に生まれたかと言うと腸です。約40億年前、当時の生命体は腸機能だけを持ち、脳はありませんでした。進化の過程で脳は後からできたものです。最近では腸は「第二の脳」と言われ脳と腸は密接な関係があることが分かってきていますが、先に誕生したことを考える「第二の脳」という表現で甘んじている器官ではないとも言えます。

この考え方を提唱されているのが藤田絋一郎さんの著書「脳はバカ、腸はかしこい」です。とんでもないタイトルですが、読んでいて非常に面白い一冊です。腸の重要性を非常に軽快な語り口でご紹介されている本です。この本の中には「腸は第2の脳ではない」と断言されています。理由は人間の腸には大脳に匹敵するほどの数の神経細胞が存在しているから。腸の方が上だという主張ですね。

さらには腸は免疫細胞が大集結している部位。身体中の免疫細胞の、およそ7割が腸に存在していると言われています。腸は病原体を排除し、我々が生きるために必要なビタミン類を合成し、免疫力を作り、幸せ物質であるセロトニン、ドーパミンの元になる物質まで作っています。人間が健康でいられるかどうかは脳よりも腸がそのカギを握っていると言えます。

幸せを届ける神経物質

セロトニンやドーパミンは幸せ物質と言われますが、それぞれ役割が違います。ドーパミンは「脳に歓喜や快楽、興奮といったメッセージを伝える働き」があります。一方でセロトニンは「"逆境"のときに、気持ちを奮い立たせ、やる気を起こしてくれる」働きがあります。後者の方がココロのバランスをとりベースの幸せレベルを高めるイメージがありますね。

これらの幸せ物質が低下すると、幸福感が低下し、モチベーションも下がり、前向きにイキイキとした毎日を過ごせなくなります。この二つの神経伝達物質は人間の幸福度に大きな影響を与えていると言えます。

そんな人の幸福度を左右する幸福物質は食べ物から摂取したアミノ酸を原料に腸の中で合成されます。その合成に深く関与しているのが、腸の中に無数に存在する「腸内細菌」です。腸内細菌の数が減少するとこれらの幸せ物質の量も減少すると言われています。

そして残念ながら近年、日本人の腸内細菌数は減少傾向にあるそうです。腸内細菌の数は糞便の量と深く関係しており、今の日本人の糞便の量は戦後の時期と比べておよそ半分に減っているとか。これは幸福感を感じにくい方法に進んでいるということです。

その原因は食生活の変化。以前はたっぷり摂れていた食物繊維の量が減ってきているのがその原因の一つです。食物繊維は腸内細菌のエサになるので、これが減ると必然的に腸内細菌が減少。結果、腸内で作られる幸せ物質も減ってしまいます。

今の日本は戦後比べて経済的には確かに豊かになりました。一方でなぜか「幸福度」は先進国で最低レベルをひた走っています。その原因は日本の欧米化した食生活の変化による腸の変化が関係しているのではないでしょうか。

幸せを取り戻すためにできること

我々は悪化の傾向にある腸内環境をどうリカバリーし、幸せを取り戻すことができるのでしょうか。それはやはり食生活の見直しをするしかありません。欧米化した食生活を見直し、日本の伝統食への回帰する。これが我々にできることです。

伝統的な和食の材料であるイモ、ニンジン、ゴボウ、大豆などには、腸内細菌が好む食物繊維を豊富に含みます。こうした食材をたくさん食べることで、腸が作りだす「幸せ物質」を増やすことができます。

まとめ

前回と今回の記事で「脳と腸」の関係についてまとめました。そもそも40億年前、生物が誕生したときには「脳」はありませんでした。最初に備わった器官は「腸」です。イソギンチャク、クラゲ達は脳を持っていません。それでも彼らが生きていられるのは、「腸」が「脳」の役割を果たしているからと考えられています。

そう考えると「腸」は単なる消化器官ではないと考えられます。神経細胞を多く持ち、セロトニンやドーパミンなどの脳内神経伝達物質をも作りだす我々の健康の中枢器官。私たちがまず大切にすべきは「おなか」ということになりますね。

人は誰もが幸せになりたいと願っています。一方で欧米化した食事を摂り続け暴飲暴食を繰り返していると、それは自分で自分を不幸の道に追いやっていることになります。「幸せは腸からやってくる」、そう考えると、日々の食生活を見直し「おなか中心の生活」をおくることで、幸せをたぐり寄せられるのではないでしょうか。

今一度、今日これから口にするものを意識してみましょう。それは腸が喜ぶものでしょうか。ひいては自分が幸せになる食事でしょうか。

たかが食事、されど食事。

幸せの道は一食からスタートするのかもしれません。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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