東京灸太郎

1979年生まれ。東京都出身。北京語言大学中国語学部卒。中医翻訳家。東京つばめ鍼灸院長…

東京灸太郎

1979年生まれ。東京都出身。北京語言大学中国語学部卒。中医翻訳家。東京つばめ鍼灸院長。完全無所属、無宗教。鍼灸師免許取得後、北京堂鍼灸代表浅野周先生に弟子入り。北京堂鍼灸松江のち北京堂鍼灸三鷹を引き継ぎ、2013年独立。2015年、屋号を「東京つばめ鍼灸」に改称。

マガジン

  • 某新聞奨学生時代の思い出

    昔々、院長が苦学生だった頃のお話です。当時、一定の奨学金をもらって新聞配達をしながら学校へ通える新聞奨学制度を利用し、鍼灸専門学校に通っていました。

  • 相法早引現代語訳

    江戸時代に活躍した観相家水野南北が、初学者のため『南北相法』のスタンダードな内容を再編集した書を現代語訳しました。この本は南北翁の師である水野海常の追善供養のため、人相術を学びたいと願う者に一千部限定で無料配布された書でもあります。『相法早引現代語訳』は無料公開しています。さらに相法を深く学びたい方は『南北相法現代語訳』をご購入ください。

  • 鍼灸こばなし

    一般的には知られていない日本鍼灸界の実情や、誰も教えてくれないであろうお役立ち鍼灸ネタを随時UPしています。

  • 小旅行の記録

    ここに公開している文章には画像がほとんど含まれていないため、是非はてなブログをご覧ください。https://tokyotsubamezhenjiu.hatenablog.com/

  • 南北相法現代語訳

    江戸時代に活躍した観相家、水野南北が残した人相術の聖典『南北相法』の現代語訳版です。これまで『南北相法』の現代語訳版は数多出版されてきましたが、個人的に満足できるものがありませんでした。そこで、可能な限りわかりやすく現代語訳化することを心掛け、さらに、外出時にスマホやタブレットなどでも見やすいよう、デジタル化しました。図版は高画質で収録してありますので、実際の原書を手に取っているような臨場感を味わえるかと思います。望診や開運、人間関係の改善などにお役立て下さい。1巻1,200円(全10巻)にて販売しております。初学者でも読みやすいよう、一部にふりがなと注釈を記しました。『南北相法』の入門者版である『相法早引』は、無料で公開しております。

記事一覧

ぎっくり腰の根因は腸骨筋にあり(ギックラー必読の巻)

毎年、季節の変わり目と年末は、ぎっくり腰患者が増加する。ぎっくり腰が増加する原因は、急激な気候の変化、過労や過食、精神的ストレスの増加、冷え、運動過不足などが影…

東京灸太郎
4か月前
2

新聞奨学生時代の思い出(9)

鍼灸学校は夜間部へ入学した。夜間部は社会人が多いため、比較的真面目でやる気のある学生が多いと思ったからだ。実際、入学してみると、昼間部は授業中に泣き叫ぶ赤子を…

東京灸太郎
7か月前
3

逆子の灸法について

中国では灸を用いた逆子治療が、1000年以上前から行われているそうです。実際に、8世紀頃に記された『太平圣惠方』には、棒灸を利用した逆子の治療法が紹介されています。…

2

胆嚢結石の予防と治療(『中華医薬』に学ぶ実際の症例4)

ここ数年、メディアの影響で小食、粗食がブームになっており、1日1食が良いと主張する人もいれば、1日2食が良いと主張する人もいる。3食は獣、2食は人間、1食は聖などと言…

2

腎臓病の予防と治療(『中華医薬』に学ぶ実際の症例3)

最近は副作用がないと信じて、不要なほどの漢方薬やサプリメントの類を毎日欠かさず摂取している人がいるらしい。そして、それらの過剰摂取によって、知らず知らずのうちに…

1

腎臓結石の予防と治療(『中華医薬』に学ぶ実際の症例2)

食が欧米化し、飽食に溺れる日本人にとって、結石はもはや他人事ではない。しかし残念ながら、 鸡内金や金钱草、海金沙など、結石を溶かすと言われているような漢方薬を使…

2

早発閉経の予防と治療(『中華医薬』に学ぶ実際の症例1)

CCTVの『中华医药』では、中国国内の少数民族の伝承医学や、最新の針灸術、家庭で行える中医的な養生法などが主に紹介されている。中医関係の専門家も素人も、共に楽しめる…

3

アメリカで鍼灸が動き出した日(H.R.6 into law!)

2018年10月24日、トランプ大統領がH.R.6という法案に署名した。 これまでアメリカでは、オピオイド薬による死亡者が年間数万人以上に上り、鎮痛薬の過剰摂取が社会問題に…

顎関節症とストレスと針治療

病気や体の様々な不快症状は、もちろん遺伝的な要素も大きいですが、育った環境や今住んでいる環境、日中過ごしている環境などによっても大きく変化するようです。島根には…

4

木枕について

木枕は昭和期に流行した西式健康法で考案された枕です。しかし実際には枕とは言っても頭にあてがう枕ではなく、首に当てて首のコリをほぐしたり、頸椎の矯正を補助するため…

2

偏頭痛とドッペルゲンガーと鍼

以前、某テレビ番組で偏頭痛とドッペルゲンガーについての科学的な研究結果が公開されたことがありました。1996年、スイスのチューリッヒでドッペルゲンガーに悩まされてい…

2

南北相法(後篇/巻ノ五/最終巻)

水野南北居士 著 《気色湊(きしょくつたい)の部》《気色が湊走(つたいはし)る様(かたち)を弁ず》頭は太陽(=大陽)の集まる場所であり、身体における城市(じょう…

1,200
2

南北相法(後篇/巻ノ四)

水野南北居士 著 《月割・日割の弁》古書では血色のみの判断によって百日以内に善事が起こるとか、七日以内に悪事が起こるなどという事を論じているが、この論は未だにそ…

1,200

南北相法(後篇/巻ノ三)

水野南北居士 著 《血色の部(八色の弁)》まず血色を観る時、眼で観ても意(こころ)で感じても青色ならば、それは青色である。また同様に、眼で観て白色であり、意で白…

1,200

南北相法(後篇/巻ノ二)

水野南北居士 著 《血色の部 論弁》《観相の時、その血色をよく観ようと思うならば、「潮汐」をとらえて、観なさい。そうすれば心気が安定しているため、自然と観やすく…

1,200

南北相法(後篇/巻ノ一)

巻ノ一 目録 一 面部二十一穴の部 一 面部七穴の図 一 額の部 一 福堂(ふくどう)の部 一 顴骨(けんこつ)の部 一 命宮(めいきゅう)の部 一 鼻の部 一 法令(…

1,200
2
ぎっくり腰の根因は腸骨筋にあり(ギックラー必読の巻)

ぎっくり腰の根因は腸骨筋にあり(ギックラー必読の巻)

毎年、季節の変わり目と年末は、ぎっくり腰患者が増加する。ぎっくり腰が増加する原因は、急激な気候の変化、過労や過食、精神的ストレスの増加、冷え、運動過不足などが影響していると推察される。

最近はギックリ腰専門を謳う鍼灸整骨院や整体院、カイロプラクティック院なども増えてきた。しかし、実際のところ、長年ぎっくり腰に悩まされ、メディアで著名なクリニックや専門外来、大学病院リハビリ科、ゴッドハンドがいると

もっとみる
新聞奨学生時代の思い出(9)

新聞奨学生時代の思い出(9)


鍼灸学校は夜間部へ入学した。夜間部は社会人が多いため、比較的真面目でやる気のある学生が多いと思ったからだ。実際、入学してみると、昼間部は授業中に泣き叫ぶ赤子を抱いている学生や、新聞を読んでいる学生、ペチャクチャとお喋りが止まぬ高卒間もない学生などがチラホラいて、校内の定期テストで赤点を取る者も少なくなかった。夜間部の学生は30~50代の中年がほとんどで、60代の女性が1人と10代の男性が2人いた

もっとみる
逆子の灸法について

逆子の灸法について

中国では灸を用いた逆子治療が、1000年以上前から行われているそうです。実際に、8世紀頃に記された『太平圣惠方』には、棒灸を利用した逆子の治療法が紹介されています。棒灸を用いた逆子治療は妊婦への負担が少なく、経済的で、効果が良いため、現在でも中国では盛んに行われているようです。方法はとても簡単です。至陰というツボを10分ほど温めるだけです。

中医理論では、至陰穴は足の太陽膀胱経に属する井穴と呼ば

もっとみる
胆嚢結石の予防と治療(『中華医薬』に学ぶ実際の症例4)

胆嚢結石の予防と治療(『中華医薬』に学ぶ実際の症例4)

ここ数年、メディアの影響で小食、粗食がブームになっており、1日1食が良いと主張する人もいれば、1日2食が良いと主張する人もいる。3食は獣、2食は人間、1食は聖などと言う人もいる。インドには食事を一切摂らず、「私は太陽を眺めているだけで生きてゆける」と主張する人もいるらしい。体を浄化するという断食も、根強い人気がある。

確かに大食、過食、偏食は心身を狂わせ、健康を損ねる可能性が高い。しかし常軌を逸

もっとみる
腎臓病の予防と治療(『中華医薬』に学ぶ実際の症例3)

腎臓病の予防と治療(『中華医薬』に学ぶ実際の症例3)

最近は副作用がないと信じて、不要なほどの漢方薬やサプリメントの類を毎日欠かさず摂取している人がいるらしい。そして、それらの過剰摂取によって、知らず知らずのうちに、腎障害や肝障害に至るケースが少なくないようだ。日本では透析を始めてしまうと、その後は絶望感に苛まれながら、限られた余生を全うせねばならぬようなケースも珍しくない。

確かに、外科などでは名医と呼ばれる医師が日本にも存在するけれども、腎疾患

もっとみる
腎臓結石の予防と治療(『中華医薬』に学ぶ実際の症例2)

腎臓結石の予防と治療(『中華医薬』に学ぶ実際の症例2)

食が欧米化し、飽食に溺れる日本人にとって、結石はもはや他人事ではない。しかし残念ながら、 鸡内金や金钱草、海金沙など、結石を溶かすと言われているような漢方薬を使った治療は、未だ日本では一般的ではないようだ。そもそも中药(漢方薬)は中国が発祥で、長い伝統ゆえに独自のノウハウが日々積み上げられている。傷寒論だけを読んで胡坐をかいているような日本人などは、相当な遅れをとっていると言えるかもしれない。鍼灸

もっとみる
早発閉経の予防と治療(『中華医薬』に学ぶ実際の症例1)

早発閉経の予防と治療(『中華医薬』に学ぶ実際の症例1)

CCTVの『中华医药』では、中国国内の少数民族の伝承医学や、最新の針灸術、家庭で行える中医的な養生法などが主に紹介されている。中医関係の専門家も素人も、共に楽しめるような、有益な番組である。日本には「伝統医学に基づいた鍼灸を伝授します!」とか、「古典に基づいた鍼灸治療をしています!」とか、「ダイナミックな鍼灸で治します!」などと怪しく騒いでいる鍼灸師が少なくないけれども、そういった輩が主催する高額

もっとみる
アメリカで鍼灸が動き出した日(H.R.6 into law!)

アメリカで鍼灸が動き出した日(H.R.6 into law!)

2018年10月24日、トランプ大統領がH.R.6という法案に署名した。

これまでアメリカでは、オピオイド薬による死亡者が年間数万人以上に上り、鎮痛薬の過剰摂取が社会問題になっていた。『Dr.HOUSE』で、Hugh Laurie扮するDr.HOUSEが、バイコディン(コデイン)中毒に陥ったのと同じような状況が、多くのアメリカ人においても現実になっていたわけだ。アメリカでは、2017年に約7.2

もっとみる
顎関節症とストレスと針治療

顎関節症とストレスと針治療

病気や体の様々な不快症状は、もちろん遺伝的な要素も大きいですが、育った環境や今住んでいる環境、日中過ごしている環境などによっても大きく変化するようです。島根には3年半ほど住んでいましたが、近所の医者が言うには、気候性の鬱が多いとのことでした。確かに、鬱の患者の割合は、東京と比べると多かったように思います。

東京は世界で最も人口密度が高い場所だと言われています。地方を旅行してみたり、外国へ行ってみ

もっとみる
木枕について

木枕について

木枕は昭和期に流行した西式健康法で考案された枕です。しかし実際には枕とは言っても頭にあてがう枕ではなく、首に当てて首のコリをほぐしたり、頸椎の矯正を補助するための首枕です。ゆえに頭に当てたら全く効果は見込めませんので、ご注意下さい。

メーカーによっては硬枕とか、桐枕などと呼んだりします。私は10年以上前から木枕の存在を知っていて、実際に自分でも使っていたわけですが、とにかく木枕で寝ると安眠出来な

もっとみる
偏頭痛とドッペルゲンガーと鍼

偏頭痛とドッペルゲンガーと鍼

以前、某テレビ番組で偏頭痛とドッペルゲンガーについての科学的な研究結果が公開されたことがありました。1996年、スイスのチューリッヒでドッペルゲンガーに悩まされている陶芸家がいた、という話です。ドッペルゲンガーとはいわゆる自己像幻視で、不意に自分と瓜二つな人物を目の当たりにする現象のことです。昔はドッペルゲンガーに遭遇すると死ぬ、などと騒がれていましたが、以下の内容を鑑みればその意味を医学的に説明

もっとみる
南北相法(後篇/巻ノ五/最終巻)

南北相法(後篇/巻ノ五/最終巻)

水野南北居士 著

《気色湊(きしょくつたい)の部》《気色が湊走(つたいはし)る様(かたち)を弁ず》頭は太陽(=大陽)の集まる場所であり、身体における城市(じょうし、≒都市、繁華街)である。ゆえに、面部は一身における江湊(こうそう、≒港)に等しい。よって、万事の吉凶は潮(うしお)の干満の如く、日々面上に湊流(そうりゅう)するのである。ゆえに、これを気色の湊(つたい)と名付ける。

また、祖師の後か

もっとみる
南北相法(後篇/巻ノ四)

南北相法(後篇/巻ノ四)

水野南北居士 著

《月割・日割の弁》古書では血色のみの判断によって百日以内に善事が起こるとか、七日以内に悪事が起こるなどという事を論じているが、この論は未だにその理屈を説明しきれていないゆえ、採用する事は出来ない。そもそも人は天地と同体であり、気血は天地を運行する気に従って順行するものである。しかし、そうは言っても、天地には予測不能な変化がある。つまり、気候にはどうにも出来ない不順があり、人体の

もっとみる
南北相法(後篇/巻ノ三)

南北相法(後篇/巻ノ三)

水野南北居士 著

《血色の部(八色の弁)》まず血色を観る時、眼で観ても意(こころ)で感じても青色ならば、それは青色である。また同様に、眼で観て白色であり、意で白色と感じるならば、それは白色である。青色(せいしょく)、黄色(こうしょく)、赤色(しゃくしょく)、白色(はくしょく)、黒色(こくしょく)、美色(びしょく)、紫色(ししょく)、紅色(こうしょく)においても、以上の道理をもって考え、観なさい。

もっとみる
南北相法(後篇/巻ノ二)

南北相法(後篇/巻ノ二)

水野南北居士 著

《血色の部 論弁》《観相の時、その血色をよく観ようと思うならば、「潮汐」をとらえて、観なさい。そうすれば心気が安定しているため、自然と観やすくなる》そもそも、人体の気血があるという事は、まるで天地に潮汐があるに等しい。ゆえに、人の気血は潮の進退(≒差し引き)に応じて盈虚(えいきょ、=満ち欠け)がある。つまり、潮が差し盈(みち)る時は、人の気血もまた盈る。よって、その時に観れば血

もっとみる
南北相法(後篇/巻ノ一)

南北相法(後篇/巻ノ一)

巻ノ一 目録
一 面部二十一穴の部
一 面部七穴の図
一 額の部
一 福堂(ふくどう)の部
一 顴骨(けんこつ)の部
一 命宮(めいきゅう)の部
一 鼻の部
一 法令(ほうれい)の部
一 食禄(しょくろく)の部
一 妻妾(さいしょう)の部
一 命門(めいもん)の部
一 眼・男女宮の部
一 魚尾(ぎょび)・奸門(かんもん)の部
一 天中(てんちゅう)・官禄(かんろく)の部
一 日月(じつげつ)・印堂

もっとみる