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ち あ き
2024年7月1日 21:05
プロジェクトがひと段落しメンバー数名で、簡単な打ち上げでも、ということになりました。小料理屋さんで夏めいたおばんざいをいただきながら、私は、皆が楽しそうに話すのを聞いていました。おしゃべり好きが集まっている今日の会。ひょんなことから話題は「好きな色」の話になりました。テンポよい掛け合いを聞きながら、私もこころのうちで自分の、好きな色のことを思いました。私にもつい、
2024年5月21日 21:14
これは、最近あった「ちょっといいこと」のお話です。------------------------------------
2024年4月21日 17:25
金曜、四月から入社されたTさんの歓迎会が開かれました。和ふうの、小洒落たお食事処に集まったのは同じ課に所属する、十人。年代は色々ですが、全員が女性です。掘りごたつの個室で、ひと続きのテーブルに十人が五人ずつ、向かい合うように座ります。皆が席に着くと前菜が手早く提供され、一杯目の飲み物が行き渡りました。「Tさん、これからよろしくお願いします。では、かんぱい」上司の音頭の
2024年4月7日 17:42
小説って、編み物みたいと思います。かぎ針を毛糸の、ちいさな輪っかへ通しひとつひとつ手を動かして糸を列へ、列を面へと仕立てていくように選りすぐった言葉を、重ねて結んで一行ずつ丁寧に文章を紡ぎ、物語へと仕立ててゆく。どちらも本当に時間のかかる作業です。でもそうやって、手間を惜しまず細やかに編み込まれた細工がひとの心を魅了し、そのやわらかい布地が肌をあたたかく包み込
2024年3月10日 17:02
菜の花が風に吹かれてゆうらり、ゆうらり、と波を打ちます。一面の黄色。ビタミンイエロー。花盛りを迎え、彩度に満ち満ちた葉の花のパノラマが目の前に広がっています。黄色い海のように広大な光景も、そのひとつひとつをよく見るとそれは小さな花たちの集合体。すっくと伸びた茎先が枝分かれしてそこにいくつもの十字状の花をほころばせています。今日は、近隣の町で開かれた菜の花まつりにや
2024年2月4日 18:19
深い瑠璃色の空に一、二粒の星が音もなく点る如月の早朝。私は、パジャマにあたたかい上着を羽織ってひとり、キッチンに立ちます。それから携帯電話を片隅に置き、液晶の上の再生ボタンを押して昨晩の続きをリクエストします。ナレーターの方の声がシンとしていた空気の中に、しっとり響きゆくのを聞きながら私は、朝食の支度にとりかかります。流れるのは川端康成作「伊豆の踊子」。ナレー
2024年1月21日 06:02
たとえば小さなベーカリーで楽しみにしていたお目当ての商品が売り切れていたとき、あなたは、どうされますか?私は、以前までこじんまりとした商店では何も買わずにお店を出ることに少々きまりわるさを感じて売り場にある商品を適当に見繕い、買って帰ることがしばしばありました。レジのところに店員さんがいらっしゃる手前、スーッと入ってきてスーッと出てゆくのは、、とヘンに気を巡らせて
2023年10月15日 20:30
机の上にはノートと万年筆、カップに淹れた茜色の紅茶。それから、読みさしの本が1冊。そうして、栞を頼りに本を開いたら、私の、好きな時間のはじまりです。万年筆にインクを十分に充填して姿勢をととのえて書かれている文章に目を落として。本の中の、美しい響きの言葉や新鮮に感じる表現、思わず共感する部分だったり、心に触れた台詞を真っ白なノートの上にひとつひとつ、拾い集めてゆ
2023年6月30日 21:49
第一子の出産を、8月に控え里帰りをした友人へ郵便を出しました。同封した“おすすめ図書のしおり”にはこんな本を載せました。*------------------*○ 愛のエネルギー家事心を健やかに整える「きっかけの言葉」に出会えますように。この本には、やさしい暮らしを送るためのヒントがいっぱい。本田亮さんが描かれている挿絵は、見ているだけでほっこりしてきます。心がすこし疲れた
2023年2月9日 11:52
かるい気分転換にとほんのり暮れていく町を気まかせに散歩していた時のことです。大きな通りを折れ、路地を少し入ったところに、ぽつんとみかん色に灯っている窓が目に入りました。ふつうのお家のようですがよくよく見ると看板が立っています。黒い板に白いチョークで書かれているのは「本日のぱん」という文字と英文字のメニュー。あら、こんなところに、隠れ家のようなパン屋さんです。木製の
2022年9月1日 21:34
窓を網戸にすると足先へ、僅かにひんやりした空気が流れてきました。つい先日までのハッキリした夏が少しずつ姿を消して秋の気配が滲みはじめた過ごしやすい夜です。リィン、リィンと遠くの暗がりから聞こえる、鈴虫の声。さざ波のような、透明な音が耳当たりよく吹き抜けていきます。思うようにいかないことばかりで心が埋もれそうになる毎日。足元に扇風機のよわい風をあて、ソファの背もたれ
2022年1月28日 22:06
静かな部屋にひとり、ソファに体育座りして肌なじみの良いブランケットにくるまっている。午前8:20。少し疲れたので、今日はお休みを取った。体調崩壊前の予防的休暇取得である。大切なお休み、なにをしようか。部屋の中を見回すと外から注ぐ、白くて淡い光が窓辺に広がっていた。今日は、天気がいいらしい。*先日お家に迎えたアネモネの苗はあれから次々に新たな蕾をつけ、ぷっく
2022年1月23日 06:18
小高い坂の上にあるうつわ屋さんはとても可愛らしい佇まい。真っ白な壁に濃いブルーの屋根、木製のドアと大きな窓。アトリエとお店がひとつづきになっています。のどかな街にぽつんと現れるこの可愛い器のお店を訪れたのはまだ暑さの残る秋の日のことでした。きっかけとなったのはSNSで見かけた、ひとつの器。ポテッとした丸みのあるフォルム。正円に近い形の取っ手。注ぎ口の、チュッととかが
2021年12月9日 13:10
窓ガラスにやわらかく水滴がつくような、寒い朝。彼とふたり、台所に並んでチーズトーストをつくる。今日は『のび〜るチーズ選手権』。昨日の夜、スーパーでめいめいに「これぞ」と思うチーズを選出。彼は森永製菓のモッツァレラチーズで私は雪印メグミルクのとろけるスライス7枚入。「チーズを長くのばせた方の勝ち」たった一つの簡単ルール。彼は食パン2枚にスライスしたモッツァレラチー