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坂 の 上 の う つ わ 屋 さ ん


小高い坂の上にあるうつわ屋さんは
とても可愛らしい佇まい。

真っ白な壁に濃いブルーの屋根、
木製のドアと大きな窓。
アトリエとお店がひとつづきになっています。

のどかな街にぽつんと現れる
この可愛い器のお店を訪れたのは
まだ暑さの残る秋の日のことでした。

きっかけとなったのは
SNSで見かけた、ひとつの器。


ポテッとした丸みのあるフォルム。
正円に近い形の取っ手。
注ぎ口の、チュッととかがった所も可愛い。
白く福々とした小鳥を思わせるような器で
水を掬うようにそっと
両手で包んであげたくなる、そんな感じです。

ソースポットとして紹介されていましたが、
たくさん花をつけたビオラを
ふんわりたっぷり生けるのにも
ぴったりだと思いました。


店内に並ぶ器は
どれもやわらかな曲線で構成されていて
女性的な美しさがありました。
特に、口にフリルのようなあしらいが施された
陶器の花瓶は華やかで、ぱっと目を引きます。

さくら色、たんぽぽ色、アイスグリーン、
ビスケット色に卯の花色。
どことなく、やわらかな春を思わせる、
淡い色のカラー展開がされています。

念願だったあの器は
棚の一角に見つけました。

やっぱり、とてもとても可愛い。
思わず胸が きゅん としました。


ひとつ一つを手をかけて作られた作品だけあって
お値段は少々張りましたが
永く使い続けよう、と胸に決めて
購入することに。

「まだ、ここにお店を構えて年数が浅いので
これからもっと知ってもらうためにがんばらないと、と思っているところです。」
店主であり作家さんのその方は器を包みながら
そう話して下さいました。

「大切に、使わせていただきます。」
器を受け取り、ほくほくと満足感を抱え
私はお店をあとにしました。

ちょっと背伸びしたお買い物。
大切にしよう、と思えるものに出逢えるって
やっぱりうれしいな。

そして何より、素敵な器のいいところは
この器には何が合うだろう、
どう飾ると綺麗だろうかと
美しさを想う時間が増えるところです。


ひとつ器が運び込んでくれたのは
爽やかな心でした。


あれから、いろんなお花を生けて
楽しんでいます。

あたたかい春、花どきを迎える頃
この器は大活躍をしてくれるだろうと
今から楽しみです。


焼き物の町、長崎県波佐見町にある
そのお店の名前を
「アトリエビスク」といいます。

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