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好きな色、それぞれ。


プロジェクトがひと段落し
メンバー数名で、簡単な打ち上げでも、
ということになりました。

小料理屋さんで
夏めいたおばんざいをいただきながら、
私は、皆が楽しそうに話すのを
聞いていました。

「この人はね、いま疲れているんだろうなっていうのがはっきりと分かるの。
疲れてくるとね、
黄色いものを身につけたがるのよ、
それもたんぽぽみたいに元気な黄色じゃなくて
ちょっとくすんだ山吹色。
ハンカチや服装のどこかに
その色を見つけたら疲れのサインね。」

「だって元気が出るんだもの。
好きな色を見ているだけで
何となくこころが落ち着くって言うかさ。」

「山吹色ですか、意外ですね!
私はもっぱらブルーが好きです。
文房具なんか、ちょっとしたものは
ついブルーを選んでしまって。
それも瑠璃色っていうんですかね、
なんというか、しっかりした青が好きです。」


おしゃべり好きが集まっている今日の会。
ひょんなことから話題は
「好きな色」の話になりました。

テンポよい掛け合いを聞きながら、
私もこころのうちで
自分の、好きな色のことを思いました。



私にもつい、
惹かれてしまう色があります。


それは、
白みの多い水色に
ほんの少しの緑を足したような色。
爽やかさと静けさ、
そこに透明感を足したような
そんな色です。


小学生の頃、
風景のスケッチを描こうと
パレットの上へ
白と青と緑の絵の具を広げていたところ、
偶然にその色が出来上がりました。
そして、その何とも言えない色合いに
とたんに夢中になったのです。



幼い頃はこの色を何色と呼べばよいのか
分からなかったのですけれど
大人になってその色が
「秘色」という名前を持っていることを
知りました。

青磁の美しい肌のような、浅い緑。
唐の時代の中国で、その秘色の青磁は
王侯貴族以外が使うことが禁じられるほど
好まれた色だったといいます。


(ただし、色の名前というのは
参考にする色見本によってまちまちで、
アイスグリーンや瓶覗と称される色の方が
イメージに近いと思うときもあります。)


毎日、難しことばかりに
向き合っているような方々でも

ひとつの色にほっとして、
元気をもらうこともあり
人のこころって、複雑でいて
あるところは
ごくシンプルに出来ているのだな
と思います。


大人になって
好きな色のことを誰かに話す機会は
なかなかありませんけれど
聞いてみると、ほんとうにたのしいものです。

それは、好きな色から
その人の素の部分を
垣間見ることができる気が
するからかもしれません。

あなたの、好きな色は何ですか。

あなたは、
あなたのそばにいる人の
好きな色を知っていますか。

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