自分の感受性くらい
窓を網戸にすると
足先へ、僅かにひんやりした空気が
流れてきました。
つい先日までのハッキリした夏が
少しずつ姿を消して
秋の気配が滲みはじめた
過ごしやすい夜です。
リィン、リィンと
遠くの暗がりから聞こえる、鈴虫の声。
さざ波のような、透明な音が
耳当たりよく吹き抜けていきます。
思うようにいかないことばかりで
心が埋もれそうになる毎日。
足元に扇風機のよわい風をあて、
ソファの背もたれに身体を預けて
久しぶりに、本を開きました。
ポストカードほどの小さな詩集です。
アンソロジーであるこの本は、
ページをめくるたびに
それぞれの詩人たちの個性が
色彩豊かに展開されます。
***
それは、
最後の一編でした。
鋭い一本の矢のように、
胸を捉えて離れない言葉。
自身に向けて詠まれたというこの詩が宿す
毅然とした強い光。
「しっかりなさい。」
読んでいるこちら側まで
ピシャリと頬をはたかれたような感覚。
“ 自分はどう生きているか ”
“ どう生きていきたいのか ”
私は
この詩を前に
静かに、
こころに、
問いかけました。
これからもあたたかい記事をお届けします🕊🤍🌿