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【シェイプ・オブ・ウォーター】異種愛って良い
アマプラで「シェイプオブウォーター」を観た。
大変にいい映画だった。
研究所に掃除婦として働くイライザが、研究所に捕らえられている人魚に音楽を聴かせながら一緒に食事をするシーンで理由もなく涙した。
なんだかとても美しいものを見たような気がした。
グロテスクと紙一重の造形美の人魚を見て、わたしはなぜか飼い猫に似ていると思った。表情に愛嬌があるのだ(瞬きするときに瞬膜が見えるところ、喉を鳴らすよう
架空のリアルな女性譚「わたしたちは無痛恋愛がしたい」を読む- だからわたしはピルに頼ることにした-
彫刻家の友人Yちゃんが薦めてくれた瀧波ユカリの漫画「わたしたちは無痛恋愛がしたい」を読んだ。月に一度、わたしは生理が来ると同時に廃人と化して布団の中でiPhoneの画面を見ることしかできなくなる。この期間に、なんとなく読むなら今だと思った。
世の女性達はみんな、どこまで己の身体を管理している(或いはしていない)のだろうか。同じ世界を並走している女性間でも、自分自身のケアにどこまで心を砕いているの
非現実の王国で(寝起き)
額から、茹でた素麺のような白い糸が放射状に広がって伸びている。
その糸はわたしが通っていた小学校の教室の黒板を貫通して、4つの教室を渡るほど長い。
曇天か雨の日のときのような、暗さと静けさとつめたさで充満する教室。
でも嫌な感じはせず、清らかな空気で、わたしが記憶している教室よりもずっと静謐な場所だった。
ずっと前から知ってるような気がする。
ずっと前から当たり前にあるような感覚。
だから動じな
きは黄色のき、狂気のき
ピカソが秘密裏で経営しているというカフェに行ったことがある。
そのカフェは二階建てで、ダークブラウンの屋根に黄色い壁の、どっしりしつつもファンシーな外観で立派だった(ピカソというよりロートレックっぽい趣)。
せっかく知らない土地の、誰もが知っている画家のカフェでこれからお茶をするというのに、なぜか自販機でぬるい水を買うわたしと姉。
(この国の硬貨の外形は桜だった。)
姉は水を飲んだら満足したよ
夏と秋の間。探しものはハイスミスの日記。
夏のような日差しの日々が続いている。
暦の上では秋だけど、緑が目に眩しくて、夏とも秋とも言えない季節になると観返したくなる映画がある。
『リプリー』(原題『The Talented Mr.Ripley 』)という1999年のアメリカ映画である。
これは1960年にアランドロン主演で有名な『太陽がいっぱい』のリメイク作品で、孤独で貧しい青年トム・リプリーが、富豪の息子に近づいて殺し、彼になりすま
100年前の死者と視線が合う瞬間③-久野久の視線-
引き続き久野久について。
日本の西洋音楽の黎明期を生きたこの苛烈なピアニストのことをもっとよく知りたいと思うと同時に、描いてみたいけれど描きたくない人でもある。恐ろしいけれど近づいてみたいという両価感情を私に芽生えさせるこの人に肉薄するには資料も勇気も足りていない。そう言い訳をしたまま、私の脳裏に浮上してから1年半近くの月日が経とうとしている。
本当のことを言うと、私は小学校低学年の頃からす