マガジンのカバー画像

女性をめぐる話題

73
運営しているクリエイター

#ロシア

ロシアの対独戦勝記念日を前に、日本でもよく考えられて欲しいこと

ロシアの対独戦勝記念日を前に、日本でもよく考えられて欲しいこと

 明日5月9日は、ロシアが対独戦勝記念日として祝う日で、ソ連が第二次世界大戦においてナチスドイツに勝利した記念日だ。ソ連の継承国を自称するロシアは、「ソ連はファシズムの解放者」だと認識してきたし、現在でもそう考えるロシア人も少なくない。しかし、ソ連はヨーロッパの一部を占領して圧政を敷いたりソ連兵による性暴力を許したりしてきた。こうした経緯から「ソ連が解放者」であるという歴史観を受け入れられない人や

もっとみる

ゼレンスキー夫妻が「夫婦別姓」に見える理由

 ウクライナ侵攻から約1ヶ月が経ちました。皮肉なことに、私がnoteで取り上げてきたロシアやウクライナがこれ程世界中で注目されたことはありません。ゼレンスキー(ウクライナ語読み:ゼレンシキー)大統領を知らない人も、もはや存在しないでしょう。

 ゼレンスキー大統領のみならず、その夫人であるオレナ・ゼレンスカ氏もウクライナ国民を勇気づけようと奮闘しています。

 記事を見て気になった人もいるかもしれ

もっとみる

ジェンダーとフランス革命とロシア革命

 内閣府の「共同参画」1月号が話題になっています。

 表紙には、19世紀のフランス革命前後の時代を描いた池田理代子氏による少女漫画「ベルサイユのばら」の主人公であるオスカルが登場し、「フランス革命の次は日本のジェンダー革命だ!」と叫んでいます。

 見ていて色々と気になったことがありました。

 フランス革命の結果、フランスでは「人権」や「平等」という概念が尊重されるようになりましたが、男女の平

もっとみる

ポリコレの世界では、ロシア文学はどうなる?

 私がポリコレを是としない理由の一つは、貴重な文学作品が無くなってしまう可能性があるからです。優れた文学作品も、現代的な「人権擁護」という考えが生まれる前に書かれていることも少なくありません。ロシア文学も色々な観点から粛清されるでしょう。

 ドストエフスキーの「白痴」は題名からしてアウトでしょう。プーシキンの「スペードの女王」では、ドイツ人差別、精神者障害者差別と認識されそうです。トルストイの「

もっとみる
ウクライナ系に多い姓の語尾 「enko」とは?

ウクライナ系に多い姓の語尾 「enko」とは?

 これまで私は、ヨーロッパの姓や名前の仕組みについていくつか記事を執筆してきました。

*マガジンはこちら↓

 今回は、ウクライナ系の人に多い姓について解説します。ウクライナ系の人に多い姓は、語尾がenkoで終わることが多いです。日本でも有名な人物には、ナザレンコ・アンドリーや、グレンコ・アンドリーがいるでしょう。なお、ウクライナ系の人でも国籍がウクライナとは限りません。ロシアの有名なフィギュア

もっとみる

女性兵に対する各国の考え方

 前回の記事では、ロシアからの脅威を念頭に徴兵制を復活させるにあたり、女性にも兵役を課した国があるということについて触れました。

女性の社会進出が叫ばれるにつれて、女性も軍で働くように求める声は、各国で聞かれるようになっています。下の記事によると、スウェーデンやノルウェー、イスラエル、北朝鮮では既に女性が徴兵されており、志願制のオランダでも、女性が徴兵リストに登録されるようになっているとのこと。

もっとみる

欧州の一部で徴兵制が復活した理由 他国による支配が嫌だからこそ備える国々

 みなさんこんにちは。

 今日は終戦の日です。76年前に戦争が終わってから、日本は戦争をしていません。一方で、中国やロシア、北朝鮮といった軍事大国に囲まれた日本周辺の情勢は厳しいものとなっています。

 同じくロシア周辺の国々も、ロシアの脅威に怯えています。バルト三国や北欧など、ロシアに近い国の一部で徴兵制が復活した背景には、そのような理由があります。

 男女平等が徹底しているスウェーデンでは

もっとみる

ロシア以外に父称が使われている国

 前回は、ロシア人が氏名以外に名乗る「父称」について解説しました。

今回は、ロシア以外にも父称を名乗る国や、父称の文化が生きている文化圏についてお話しいたします。

氏名以外に父称を名乗る国 まずは、ロシアと同様に、氏名以外に父称を名乗る国について解説します。ウクライナや中央アジアなど、旧ソ連圏に多いです。

姓代わりに父称を使う国 アイスランドやエチオピアには姓がなく、代わりに父称を使います。

もっとみる
欧米では別姓選択できるけど…?

欧米では別姓選択できるけど…?

 日経新聞が次のような記事を書きました。
#日経COMEMO #NIKKEI

 欧米では別姓選択できる国がありますが、ロシアなど旧ソ連の国には、氏名以外に「父称」と言って父の名前を名乗る国もあります。そして、アメリカやイギリス、北欧など、父称の習慣がないそれ以外の欧米の国にも、実は父称由来の姓があります。↓詳しくはこちら

 また、ロシアなど旧ソ連の国々や、ポーランドやチェコなどスラヴ系の国な

もっとみる
選択的夫婦別姓では解決しないこと2

選択的夫婦別姓では解決しないこと2

 先日、私はこのような記事を書きました。

 今回は、「選択制」の限界に焦点を絞って書いてみます。

本当の意味での「選択制」ではない 選択的夫婦別姓を推進する人たちは、選択的夫婦別姓は選択制であり、現行法は「強制的夫婦同姓」(厳密には同氏)であると主張します。

これは単なる言葉遊びにしか過ぎないと私は思います。

 まず、「選択的夫婦別姓」というと聞こえがいいですが、選択できるのは「同氏」か「

もっとみる
海外に「ロリコン」はいないのか?

海外に「ロリコン」はいないのか?

 このようなツイートをした人がいました。「ロリコン」を文化と呼ぶことができるかは微妙ですが、海外に「ロリコン」は存在しないのでしょうか?

「ロリコン」の意味の確認「ロリコン」とは、「ロリータコンプレックス」の略で、未成年を恋愛対象とする成人のことを指します。一般的には、少女が好きな成人男性を言います。(本人が未成年でも、自分より年下の少女がタイプである場合にも使われます。対象が少年の場合は、「シ

もっとみる

花を贈るより大切なこと

 今日は国際婦人デーです。国によっては女性に花を贈ることになっている国も存在します。ロシアもその一つです。

 この日に限らず、ロシアにはことあるごとに女性に花を贈る習慣があります。実際に、モスクワの街中に一日中開いている花屋を見かけることもありました。

 一見女性を大切にしているように見えますが、ロシアはDVが酷い国でもあります。恋人に「愛しているよ」と言って花を贈る人は多いですが、暴力も酷い

もっとみる
苗字が同じなのに、男女で語尾が違う…!?

苗字が同じなのに、男女で語尾が違う…!?

みなさん、こんにちは。
最近は世界の名前の仕組みについて書いています。
今回は、同じ苗字なのに男女で語尾が異なる文化圏について解説します。

言わずもがな、日本語では性別に関わらず苗字の語尾は同じです。鈴木さんの奥さんは鈴木さん、佐藤さんの旦那さんも佐藤さんです。しかし、世界には男女で異なる語尾を持つ苗字が存在します。

例えば、スラヴ語圏は、男女で苗字の語尾が異なる文化を持ちます。スラヴ語という

もっとみる
夫婦別姓は「男女平等」なのか?

夫婦別姓は「男女平等」なのか?

厳密には「姓」や「氏」「苗字」のニュアンスは異なりますが、本文では同じ物として扱います。

*今日は「夫婦別姓」が本当に男女平等か否かについて解説したいと思います。

近年、「男女平等」の観点から日本でも法的に夫婦別姓を認めるよう呼びかける人を見かけます。中には「夫婦同姓は差別だ!」と訴える人も見かけます。私は、これは雑な話ではないかと思います。

「夫婦同姓が差別」と訴えている人が言わんとしてい

もっとみる