ジェンダーとフランス革命とロシア革命

 内閣府の「共同参画」1月号が話題になっています。

 表紙には、19世紀のフランス革命前後の時代を描いた池田理代子氏による少女漫画「ベルサイユのばら」の主人公であるオスカルが登場し、「フランス革命の次は日本のジェンダー革命だ!」と叫んでいます。

 見ていて色々と気になったことがありました。

 フランス革命の結果、フランスでは「人権」や「平等」という概念が尊重されるようになりましたが、男女の平等については問題とされませんでした。フランスの女性達が男性と同等の権利を得るのは、フランス革命よりも先になります。

 男女の平等が謳われた「ジェンダー革命」に近いのは、どちらかというと20世紀のロシア革命です。ロシア革命のイデオロギーとされたマルクス主義では、女性の解放が叫ばれていました。結果として、女性にも原則として労働が義務付けられたり、子供がいる女性も託児所に子を預けて仕事に行くよう言われたり、中絶に対する制限が緩くなったりしました。また、ロシア帝国時代にキリスト教の影響で禁止されていた同性愛が解禁されました。

 ただし、スターリン政権以降は、女性の解放が達成されたと女性に対して厳しい政策が行われたり、主に同性愛が禁止されたりしました。

 フランス革命とジェンダー平等という概念は相性が悪い上に、むしろ特殊なイデオロギーを持つロシア革命を彷彿とさせます。