マガジンのカバー画像

雑記

385
運営しているクリエイター

#エッセイ

始点から終点へ、そして終点へ

大学の学部を卒業したので、昨日は友人と学位記を受け取りに行ってきた。キャンパスでは久々に会うクラスメイトに遭遇し、一緒に記念撮影もした。一晩明けて写真を見返すと無条件に嬉しくなる。

卒業式ではないにも関わらず、僕ら含めてキャンパスでは大勢の学生が学位記を持って記念撮影をしていた。自分もその一人のはずだが、やっぱりその姿は晴れ晴れしい。喜憂を伴う大学生活の記憶は浄化され、期待と不安が入り混じる未来

もっとみる
旅先での出会い

旅先での出会い

私は旅することが好きなのだが、その理由の一つに「出会い」がある。

「出会いなんてどこにでもあるじゃん!」ってツッコまれるだろうが、少し意味合いが違う。

私が旅を通じて感じることは、「観光地が記憶の大半を占めるが、その本当に小さな部分を構成する現地の人たちとの交流こそかけがえのないものである」ということ。

グラナダに行った時に見たアルハンブラ宮殿は色濃く記憶に残っているが、それ以上にかけがえの

もっとみる
微分を1mmでも勉強して良かった話

微分を1mmでも勉強して良かった話

飲み会にて、オンラインとリアルのコミュニケーションの違いについて話していた時の話だ。

話を簡単にまとめると

・オンライン→感情の起伏や細かい息遣いや表情を読み取りにくい
・リアル →上記が可能

という話になった。

そこで話し相手が「リアルのコミュニケーションって、感情を微分のグラフのように、最小値と最大値の間を自由自在に表現できるよね!」と発言し、私はこの例え上手いな!と思った

もっとみる
コメディのあり方

コメディのあり方

ダンテから得たコメディのヒントダンテの『神曲』地獄編を昨夜読み終えた。13~14世紀に活躍した彼は言わずと知れたイタリア最大の詩人であり、その著作は現代のイタリア語の基礎を成しているとも言われる。

ここでは『神曲』を読んだ感想について述べるわけではなく、タイトルに着目してコメディのあり方を考えてみたい。

『神曲』における喜劇とは『神曲』という邦題がつけられている本作品の原題は『La Divin

もっとみる
なぜか特別視される読書

なぜか特別視される読書

読書は偉いらしい私の大きな趣味の一つとして読書があるのだが、自分は全くそれが特別なことだと思っていないが、もの珍しい印象を持たれることが多い。「読書して偉い!」と言われることさえある。

では、なぜ私は読書するようになったのか?

読書を始めたきっかけもともと私は読書をする人間ではなかったが、ヨーロッパを放浪旅していた時に自分は政治・経済・歴史・文学など何もかも知らないことに気がついた。それが歯痒

もっとみる
電柱にとまるセミ

電柱にとまるセミ

夏も本格的に到来し、セミの鳴き声が四方八方から聞こえてくる。木にとまっているセミを見かける一方で、電柱にとまっているセミもたまに見かける。

セミは木だと認識して電柱にとまっているのだろうが、全く擬態できていない。自然と都市が入り混じる不釣り合いな社会の縮図を見ているようだ。

自然が作り出した木ではなく、人間が作り出した電柱にとまるセミは、望んでもいないのに都市に放り込まれているようで可哀想だ。

もっとみる
原美術館を訪れて

原美術館を訪れて

ちょっぴり東京が好きになった昨日、品川駅から徒歩15分ほどの所にある原美術館に行ってきた。都会の喧騒の中にひっそり佇む。東京のど真ん中にありながら、自然に包まれていており、セミの鳴き声が耳を鞭打った。都会の中にも昭和・大正時代の雰囲気を残した場所があることを知って、ちょっぴり東京が好きになった。

ネタバレ要素を含んでしまうが、感想をここに記していく。

募金箱募金箱があるのだが、箱というより壁に

もっとみる

独自の存在になるって?

自分ってなんだろう?みんな自分のことが一番好きだし、たとえ嫌いでも必死に愛そうとする。その行き着く先は自分はどういう存在なんだろう?と考えることだろう。

自分はこのままでいいのか?周りと同じ人間でいいのか?と思い立って、自分探しの旅なんかをする。私もその一人でヨーロッパを放浪した。

この思考に真っ先に直面するのが就職活動の場面だろう。今までは学校に通って何となく偏差値の高い大学を目指していれば

もっとみる

気がつけば、ショパン

先日、『戦場のピアニスト』を観た。なぜこのシーンを描写しようとしたのか?と思う箇所が多々あって、観れば観るほど深みが増す作品なんだろうと思った。

今回はその感想を書こうという訳ではなく、エンディングのピアノ演奏に心打たれたという話だ。映画のエンディングは疲れもあって、毎回早く終わらないかなと思ってしまう私だが、本作品のエンディングには終始釘付けになった。

演奏があまりにも美しい。
"Gran

もっとみる
共通言語としての音楽

共通言語としての音楽

「何百年も前に記された音符が、生まれ育った国も性別も目の色も何もかも違う二人に同じ音を思い浮かばせる。分かり合えないと思っていた人と、たった1音で分かり合ったり、惹かれあったりする。」

上記は『のだめカンタービレ』(アニメ版)の最終回に千秋が語る言葉だが、言い得て妙だなと思った。万国共通の言語としては英語やプログラミング言語だけでなく、広く考えると芸術全般もその一種である。

絵画を見て何かを感

もっとみる
共有が相手との関係を縮める

共有が相手との関係を縮める

地理で相手との距離感をギュッと縮める先日、友人と地理の話をしていた。私は欧州の地理こそよく知っていたが、国内の地理は壊滅的で、友人に「それ常識だよ」と煽られていた。自分の弱みが見つかって勉強しなきゃなという発見があって有意義な時間だった。

そこから話題が発展して、相手との距離感を近づける方法の一つは、その人の出身地や所縁のある地について少しでも知っていることなのでは?という仮説が立った。

これ

もっとみる
上手に褒めること

上手に褒めること

ピアノレッスンにて先日、いくつかピアノレッスンの体験授業に行った時に先生から「上手ですね!」と言われた。その瞬間は嬉しかったが、よく考えると体験授業ではいかに生徒を気持ちよくして入会に繋げるかに必死なので、当たり前と言えば当たり前。その後はひねくれたかのように、内心「本当に?」と疑っていた。

そんな中で、ある先生は「特にこの部分のここが上手いですね!」とか「普通の生徒さんはそんなことしませんよ!

もっとみる

雨の日もいいよね

夢から学ぶ今日とある夢を見た。大雨の中、親しい人とアルハンブラ宮殿を歩く夢だ。

私は一度現地へ足を運んだことがあり、頂上から見下ろすコルドバの街一帯は美しい。その時は快晴で、地平線ぎりぎりまで鮮明に街並みを臨むことができた。

ただ夢の中では大雨で、観光客は一同落胆した表情をして怒って帰ってしまう人が多かった。その時ふと「雨のアルハンブラもいいよね」って思った。その帰り道に私たちは車で夕飯を何に

もっとみる
歴史って案外短い…?

歴史って案外短い…?

歴史の時間感覚ふと思ったのだが、歴史って案外短いし、何なら現代を生きる我々と遠くはない存在なんじゃないか?

これを思ったのは、ダンテの『神曲』を読んでいた時。ダンテの地獄巡りを導くウェルギリウスは紀元前19年に没し、その後西暦0年にキリストが生誕したこの時間差は19年。

私が生きてきた人生も約20年。これを考えた時に、ふと西暦0年から2020年の現代までの時間を考えてみた。

なんと、キリスト

もっとみる