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原美術館を訪れて

ちょっぴり東京が好きになった

昨日、品川駅から徒歩15分ほどの所にある原美術館に行ってきた。都会の喧騒の中にひっそり佇む。東京のど真ん中にありながら、自然に包まれていており、セミの鳴き声が耳を鞭打った。都会の中にも昭和・大正時代の雰囲気を残した場所があることを知って、ちょっぴり東京が好きになった。

ネタバレ要素を含んでしまうが、感想をここに記していく。

募金箱

募金箱があるのだが、箱というより壁に募金用の穴がある。今まで募金箱にお金を入れようと思ったことはないが、初めて入れたいと思わせる仕掛けになっていた。(実際は現金を所持していなかったため、投げ銭できず...)こんな文章が書かれていた。

「コインは自分の分身です。それを投入することは自分自身が原美術館の活動に参加すること。自分の投じたコインによる一滴の雫がその活動に波紋を生み、そこから新しいアートの世界が広がるのです」

その上、募金穴の中は青く光っており、「一滴の雫」の演出も印象的だった。募金一つとっても、どうしたら人々が投げ銭したくなるかを考えることは大事で、それを突き詰めるとアートになるのかもしれない。

キャンバス

キャンバスが見る限りは無作為に置かれている部屋がある。私はキャンバスの配置や部屋の空間に惹かれたということはなかったが、キャンバスに描かれた蛍光色が日光に反射し、壁に映る神秘的な色に美しさを感じた。

鏡による無限の空間

鏡に囲まれた部屋にトイレから転げ落ちた少年の作品がある。鏡には映った作品を映した鏡、鏡には映った作品を映した鏡、鏡には映った作品を映した鏡... その繰り返しから無限の空間が演出されている。狭い部屋も果てない空間に錯覚する面白い作品だった。

数字の神秘性

暗闇の空間に無数のデジタル機器があり、1~99をそれぞれ違う速度で変化していく。私はそこに生命を感じた。

1~99のセットが一人の人生を示し、99までカウントされると死を迎え、また1に戻り、新たな生命が誕生する。また、それぞれカウントされる速度が違うのは、人それぞれ違う人生があることや人生の長さが異なることを示唆しているように思えた。(ヒトだけでなく、全生物について当てはまる)

今この瞬間も世界では1が生まれ、カウントを進み、99を迎えている。

暗闇の中にある作品ということも、生命の神秘性を助長する要素であるなと思う。

中庭

中庭は綺麗。そこで小学生の頃以来に野生のトカゲを見た。青々とした尾が美しく今も鮮明に覚えている。まだ東京にも古き良き要素が残っていることを実感する。そんな中庭を眺められるカフェも贅沢だ。

最後に

ここまで書いてきた原美術館も、来年の1月に閉館するらしい。残念だが、原美術館も上記で言う「99をそろそろ迎える」と考えれば、また原美術館に替わる「1」が生まれるだろう。ぜひ一度、足を運んでみてはいかがでしょうか!?

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