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My Diary
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#日記

父親が初任給で買った腕時計

父親が初任給で買った腕時計

物心ついた時から今まで、
父親はずっと同じ腕時計をしている。

その腕時計をしていない父親を、
ボクは知らない。

「初任給で買った」というそれは
どこにでも売っていそうなものなんだけど、

父親はもう何十年も、それを毎日着けている。それなのに、キズというキズが見当たらない。

相当大切にしてきたんだろうな。

旅行先で貴重品を金庫にしまうとなると、その腕時計を真っ先に外して金庫にしまうくらい

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90歳とSNSへのパッション

90歳とSNSへのパッション

まただ。また今日も彼女は座っている。

ボクは怪訝な顔をしていたわけではない。
大丈夫かな、と心配していた。

彼女との出会いは、ふとしたことだった。

ボクたちがいつものように朝回診をしていると、顔を赤らめながら、何やらこちらをチラチラ見ている人がいた。

同僚が担当している患者さんだった。

患者としての彼女は、退院した後もちょくちょくボクの外来の日に病院にやってきては、整然と並んでいるその椅

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明石家さんまさんの選択

明石家さんまさんの選択

2020年6月14日(日)に放送された
『行列のできる法律相談所』

この放送の中で、
山Pこと山下智久さん(以下:山P)が、
長年芸能界で活躍している明石家さんまさんに質問するシーンがあった。

ボクはそのやりとりを、
本当の自分に置き換えて観ていた。

山P「20年ちょっと芸能界でやらさせていただいているんですけど、何度も挫折しそうになったり心が折れる瞬間があって、その度にモチベーションをどう

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魔女ばあちゃんと魔法の瓶

魔女ばあちゃんと魔法の瓶

子供の頃からボクはかなりヤンチャで、
毎日のようにケガをしていた。

毎週土曜日は、
親友の大輔の家でピアノ教室があって、
ボクは大輔たちと一緒にピアノを習っていた。
その時間の前は、いつも大輔の家で遊ぶのが恒例で、その日も大輔と大輔の妹の3人で、自転車で坂を下って遊んでいた。

その日は雨がパラパラ降っていた。

ボクはかなりふざけていた。

大輔→大輔の妹に続いて坂を下ろうとした時に、普通に下

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六月の雨と天気の子

六月の雨と天気の子

六月、紫陽花がそこはかとなく咲き誇る頃。 

自分の誕生日は暦の上では梅雨入りで、
その日に降る雨が嫌いだった。

雨とは、どこか切ない感じと、
気持ち的に、誕生日は晴れていてほしいという思いがあったからだ。

誕生日はいつも傘をさしていたことを
覚えている。

ボクは子供の頃からピアノを習っていた。

その頃からだ。

降っている雨は音符に見え、雨が打ち付ける音は、絶対音感としてドレミファソラシ

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東京上空から見えた世界

東京上空から見えた世界

日本は、数回訪れた過渡期を経て、
新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言が全面解除された。

でも、白い巨塔内の状況は何も変わらない。
相変わらずの重症度だ。
「生きる」か「死ぬ」か。

今日が「友引」かと思うくらい、
次々に人が亡くなった日も数えきれない。

24時間、心が休まる瞬間がない。

毎朝7時前から教授回診は始まる。
スタッフの絶対数が不足している状況で、
このコロナの対応に追われ

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ボイスメッセージから伝わる心

ボイスメッセージから伝わる心

2020年4月19日。今日は日曜日だ。
何年経ってもきっと忘れることのない、
そんな今日のことを書き留めておこうと思う。

ここ最近、ずっと体が重かった。
体重的なものではなく、
心の重みがそのまま体にのしかかっていた。

ほとんど休む間もなく
休憩時間がとれないことで
ご飯すら食べられない時も日常的で、
それでも常に頭を働かせて
手を、足を、体を動かし続けなければ
次から次へと来る仕事に対応出来

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スニーカーにまつわる話

スニーカーにまつわる話

昔、何かで読んだことがあるそれは、
「スニーカーを大切な人にプレゼントしてはいけない」というもの。

プレゼントされた相手はその素敵なスニーカーを履いて、あなたの元から去って行ってしまうかもしれないよ、という内容だったと思う。

それに関しては信じたくないかな。

でも、
「靴は、素敵な場所に連れて行ってくれる」

そんな迷信のような話も、
実は本当にそれを信じているし、
そうであってほし

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