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《全文無料》【マリーンズ略史 92~05/-75- 2000年 NPB記録/リーグ記録/球団記録/珍記録】


(75)2000年 NPB記録/リーグ記録/球団記録/珍記録

 山本功児監督2年目の2000年。前年は開幕から好調をキープして七夕首位に立ったが、このシーズンは開幕ダッシュに失敗。記録的な負け越しを喫した。また、投手起用でいくつか記録があった。
 その他、移籍して4番に入った石井浩朗をはじめ、主力選手が骨折して離脱するシーズンだった。

 【20試合のリーグワースト勝率】※リーグタイ記録

 開幕ダッシュに失敗。シーズン20試合目となる4月28日の西武戦(西武D)に2-5で敗れ、3勝17敗となった。これで勝率は.150となったが、20試合終了時の勝率としては、1973年に近鉄が記録した.150に並ぶリーグワーストタイ記録となった。なお、セ・リーグ記録は1950年国鉄の.105(2勝17敗1分)。

《現在》現在でもリーグタイ記録として残る。開幕から20試合消化以降の勝率1割台は2リーグ制以降16球団(パ8球団、セ8球団)あり、近年では、2020年の阪神が.158(3勝16敗1分)を記録している。

 【連夜の最多投手起用の日本タイ記録】※NPBタイ記録

 6月15日のオリックス12回戦(千葉マリン)でマリーンズは、後藤-河野-竹清-ロバーツ-○小林雅-藤田‐Sウォーレンと7投手が登板したが、オリックスも7投手が登板し、9回の試合での14投手登板は日本タイ記録だった。
 続く翌16日の近鉄12回戦(千葉マリン)でもマリーンズは、○吉田-竹清-ロバーツ-小林雅-河野-和田-藤田と7投手が登板、近鉄も7投手が登板し、前夜に続き日本タイを記録した。
 1試合14投手登板はNPB史上過去4度(リーグ1度)あり、オリックス戦が5度目(リーグ2度目)、近鉄戦が6度目(リーグ3度目)となる。
 ところが、このシーズンは最多投手14人起用が他球団でも記録。これ以降に2試合で記録された。そして、7月29日の日本ハム17回戦(旭川)でマリーンズはノット-竹清-河野-榎-藤田‐和田-○小林雅と7投手が登板、日本ハムも7投手が登板し、今シーズン3度目の14投手起用試合となった。

 詳細は『(45)乱打戦で連夜の日本タイ記録(2000年)』《全文無料》へ。
https://note.com/orions_marines/n/nb99d89197295

《現在》9回試合では2021年5月4日の西武9人‐オリックス7人(メットライフD)の16人が現在の記録。延長を含めた両チーム最多登板人数の記録は、2007年10月4日中日10人‐9人広島の延長12回で19人がNPB最多記録となっている。

 【NPB初、打者0人2球勝利】※NPB初記録

 7月2日のオリックス14回戦(函館)で3-4とリードされた8回裏二死一塁で小林雅が3人目として登板。打者・小川に対して投じた2球目が暴投となり、一塁のイチローは2塁を回り3塁を欲張ったがアウトとなり、8回裏が終了した。そして9回表、大塚の2点タイムリー二塁打で5-4と逆転に成功。9回裏はウォーレンが締めくくって勝利した。
 勝利投手は8回裏の最後を投げた小林雅になるが、最後の打者と対決していないので、記録上は打者数は0。これまで、1球勝利投手は11人、2球勝利投手は小林雅を含め32人いるが、打者数0での勝利投手は初めてのこと。

《現在》2014年5月3日にヤクルト・久古健太郎が記録している。現在2人が記録。

 【3投手で18奪三振、捕手橋本将は刺殺新】※NPB新記録

 8月1日のオリックス15回戦(千葉マリン)で先発した黒木は初回に2失点、5回表一死に5失点して降板したが、打者23人のうち、アウトにした打者13人から11三振を奪った。2番手・ロバーツは1.1回で三振は0だったが、3番手和田が2.1回で5奪三振、4番手河野が1.0回で2奪三振を記録し、投手3人で18三振を奪い、1995年にオリックス・野田が記録した19奪三振に次ぐ奪三振記録となった。
 なお、スタメン出場し9回表までマスクを被った橋本将は18刺殺となり、捕手1試合の刺殺NPB新記録となった。

《現在》オリックス・野田の19奪三振は現在も最多記録だが、佐々木朗が完全試合を達成(2022年4月10日)した試合で19奪三振を記録し並んでいる。また捕手刺殺は「19」が記録となっている。ヤクルト・古田敦也(2005年4月6日)、ソフトバンク・山崎勝己(2006年6月18日)、ロッテ・松川虎生(2022年4月10日)の3人が記録している。

 【小坂、新人年から4年連続30盗塁】※NPB2人目、球団記録

 9月15日のオリックス24回戦(千葉マリン)でここまで29盗塁だった小坂が3つの盗塁を決め32盗塁とした(最終的に33盗塁)。これで新人年から4年連続30盗塁となり、1リーグ時代から2リーグ制へと移行した1948年から1957年にかけて南海と近鉄で記録した10年連続の木塚忠助に次ぐNPB史上2人目となった。

《現在》小坂は翌2001年も32盗塁を記録し5年連続を記録。現在も木塚と小坂のランキングは変わらず。4年連続もいない。

 【小野が最終戦で初タイトル】20世紀最後の公式戦

 「サンデー晋吾」としてこのシーズンブレイクした小野だったが、西武・松坂と最多勝争いを繰り広げた。小野12勝4敗、松坂13勝8敗で迎えた10月9日の西武27回戦(西武D)で直接対決。小野が5点を失ったのに対して打線は松坂から1点しか奪えず、小野は12勝5敗で足踏み、松坂は14勝8敗として最多勝を手中にした。
 西武は中3日で最終戦があるが、松坂はこの試合が最後の登板。マリーンズは1週間後にオリックス戦が予定されており、小野はもう1試合に先発する。小野が狙うタイトルは最高勝率。この時点で小野は.7059、松坂は.6364と小野が上回っていたが「13勝以上」が条件となっており、13勝以上は松坂だけだった。小野は最終戦で勝利して13勝とすることが必須だった。
 16日のオリックス27回戦(千葉マリン)は2000年のマリーンズ最終戦になるとともに、NPB公式戦の最終戦。来場者には『20世紀最後の公式戦観戦証明書』が配布された。
 立ち上がりから丁寧なピッチングを見せる小野。その小野を打線が援護。2回裏、3回裏に各1点を援護。終盤7回裏にも1点、8回裏には4点を追加。小野は8回まで零封も9回表に1点を失い、完封は逃したものの、見事完投で13勝目を挙げ最高勝率のタイトルを獲得した。

 【骨折による離脱者】

 プロ野球選手にケガや故障はつきものだが、この2000年シーズンは、主力選手の骨折が多かったシーズンだった。

★諸積兼司外野手
 4月23日のオリックス5回戦(宮城)の4回裏、顔面に死球を受け退場。検査の結果「右上顎(がく)骨骨折、頬骨骨折」と診断され、全治5週間と診断された。後日、「右上顎洞の骨折」も判明した。
 諸積はヘルメットに特殊ガードを着用して5月6日に一軍復帰した。

★藤田宗一投手
 4月19日のダイエー4回戦(千葉マリン)で3番手として登板した藤田は打球を右足親指に当て亀裂骨折。そのまま登板を続けていたが、29日の西武4回戦(西武D)で発生した乱闘の際、痛めていた箇所を踏まれて亀裂骨折が悪化。検査の結果、全治5週間と発表された。5月21日に一軍復帰した。

★石井浩朗内野手
 7月9日・日本ハム16回戦(千葉マリン)の3回裏、ホームに滑り込んだ際捕手と接触。左手首を痛めて退場した。検査の結果「左手とう骨遠位端(えんいたん)骨骨折」と診断され、全治2ヶ月と発表された。

★清水将海捕手
 7月16日・西武18回戦(千葉マリン)、ファウルチップを右手親指に当て退場。診断の結果「右手第一中手骨(ちゅうしこつ)と診断され、全治2ヶ月と発表された。清水将は前夜の西武17回戦で人生初となるサヨナラ打を放っていた。
 なお、この試合では橋本将がスタメン出場していたが、途中から清水将がマスクを被っていた。控え捕手がいなかったため、プロ入り当時は捕手で、外野手登録されていた秦真司が橋本将の防具を借りて急遽マスクを被った。秦の公式戦捕手出場は10年ぶりだった。

(次回)⇒《有料・冒頭試読》『(76)投手陣成長を裏で支えた捕手・清水将海 (1997年~2004年在籍)


----- マリーンズ略史 92~05 INDEX ------

 【年度別出来事編】

【~1991(平成3)年】
(1)《全文無料》『千葉移転前夜』
  (25)《全文無料》 オリオンズ~マリーンズ ファンクラブ略史
【1992(平成4)年】
(2)《全文無料》『千葉移転元年 4月ダッシュも最下位に沈む』
  (42)《全文無料》移転直後の快進撃
  (57)《全文無料》5試合で4完封
【1993(平成5)年】
(3)《有料・冒頭試読》『最下位脱出も大差の5位に低迷』
  (54)《全文無料》1993年 NPB記録/リーグ記録/球団記録/珍記録
【1994(平成6)年】
(4)《有料・冒頭試読》『八木沢監督休養、2年連続5位に終わる』
  (60)《全文無料》1994年 NPB記録/リーグ記録/球団記録/珍記録
1995(平成7)年
(5)《有料・冒頭試読》『球団改革断行、千葉移転後初のAクラス』
  (21)《全文無料》風しん蔓延で主力が消えた14日間
  (45)《全文無料》胴上げ阻止、神戸3連戦
  (68)《全文無料》1995年 NPB記録/リーグ記録/球団記録/珍記録
【1996(平成8)年】
(6)《有料・冒頭試読》『投手充実も、得点力不足否めず5位低迷』
【1997(平成9)年】
(7)《有料・冒頭試読》『中盤反攻も迫力不足否めず最下位に沈む』
【1998(平成10)年】
(8)《有料・冒頭試読》『18連敗「七夕の悪夢」もチーム力は向上気配』
  (20)《全文無料》なぜ18連敗を喫したのか?
  (22)《全文無料》ユニホーム応援が広がったのはロッテから
  (33)《全文無料》黒木2冠と小坂の盗塁王騒動
  (70)《全文無料》1998年 NPB記録/リーグ記録/球団記録/珍記録
【1999(平成11)年】
(9)《有料・冒頭試読》18年ぶり「七夕首位」も、連敗喫して4位低迷』
  (18)《有料・冒頭試読》熱く育てた山本監督の5シーズン (1999年~)
  (28)《全文無料》18年ぶり首位「七夕の歓喜」狂騒曲
  (38)《全文無料》前半快進撃支えた「ボーリック神話」(1999年)
  (73)《全文無料》1999年 NPB記録/リーグ記録/球団記録/珍記録
【2000(平成12)年】
(10)《有料・冒頭試読》『4月出遅れ5割届かず5位低迷』
  (52)《全文無料》乱打戦で連夜の日本タイ記録
  (75)《全文無料》2000年 NPB記録/リーグ記録/球団記録/珍記録
【2001(平成13)年】
(11)《有料・冒頭試読》『世代交代、福浦首位打者、小林雅パ記録もエース後半離脱』
  (77)《全文無料》2001年 NPB記録/リーグ記録/球団記録/珍記録
【2002(平成14)年】
(12)《有料・冒頭試読》『開幕11連敗が響き借金5の4位に終わる』
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【2003(平成15)年】
(13)《有料・冒頭試読》『終盤に先発安定、9月快進撃も4位で山本監督辞任』
  (47)《全文無料》2003年 NPB記録/リーグ記録/球団記録/珍記録
【2004(平成16)年】
(14)《有料・冒頭試読》『ボビー復帰、新制度プレーオフ進出に0.5ゲーム差』
  (17)《有料・冒頭試読》「ボビーマジック」とは何だったのか(2004年)
  (19)《有料・冒頭試読》巻き込まれた、球界再編騒動
  (65)《全文無料》2004年 NPB記録/リーグ記録/球団記録/珍記録
【2005(平成17)年】
(15)《有料・冒頭試読》『プレーオフで逆転優勝、阪神破り31年ぶり日本一』
(16)《全文無料》(付録)『ポストシーズン詳細、二軍合わせて6冠王者成』
  (49)《全文無料》45年ぶりの12連勝(2005年)
  (62)《全文無料》2005年 NPB記録/リーグ記録/球団記録/珍記録
  (78)《全文無料》ファーム初の日本一(2005年)
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 【選手編/投 手】

(23)《有料・冒頭試読》チーム支えたエースの苦悶・黒木知宏(1995~2007年在籍)
(26)《有料・冒頭試読》ルーキーからフル回転左腕・藤田宗一(1998年~2007年在籍)
(27)《有料・冒頭試読》低迷期支えたエース、復帰後はリリーフで日本一・小宮山悟(1990年~1999年、2004年~2009年在籍)
(30)《有料・冒頭試読》抑えの切り札への道・小林雅英(1999年~2007年在籍)
(32)《有料・冒頭試読》マリーンズ初タイトル剛腕エース・伊良部秀輝(1988年~1996年在籍)
(35)《有料・冒頭試読》強気なマウンド、マリーンズ初代クローザー・河本育之(1992年~1999年在籍)
(37)《有料・冒頭試読》マリーンズ初の最優秀救援投手から手術へ…・成本年秀(1993年~2000年在籍)
(40)《有料・冒頭試読》7年目のブレーク「サンデー晋吾」(1994年~2013年在籍)
(43)《有料・冒頭試読》先発の柱サブマリン・渡辺俊介 (2001年~2013年在籍)
(44)《有料・冒頭試読》中継ぎ切り札から先発の柱へ・小林宏之(1997年~2010年在籍)
(47)《有料・冒頭試読》絶対的エースの信頼・清水直行 (2000年~2009年在籍)
(50)《有料・冒頭試読》球団創設年以来55年ぶりの快挙・久保康友(2005年~2008年在籍)

 【選手編/打 者】

(24)《有料・冒頭試読》二軍成長記・福浦和也(1994~2019在籍)
(29)《有料・冒頭試読》打線を支え愛された背番号6・初芝清(1989年~2005年在籍)
(31)《有料・冒頭試読》オリオンズ最後の戦士・堀幸一(1989年~2009年在籍)
(34)《有料・冒頭試読》マリーンズ初の新人王、盗塁王・小坂誠(1997年~2005年在籍)
(36)《有料・冒頭試読》「14打席連続出塁」の大記録樹立・南渕時高(1990年~1997年在籍)
(41)《有料・冒頭試読》裏から支えたバイプレーヤー・諸積兼司(1994年~2006年在籍)
(48)《有料・冒頭試読》千葉で途切れた連続記録・愛甲猛 (1981年~1995年在籍)
(51)《有料・冒頭試読》オリオンズ最後のタイトル・平井光親 (1989年~2002年在籍)
(66)《有料・冒頭試読》球団史上最強のスイッチヒッター・西岡剛(2003年~2010年在籍)
(67)《有料・冒頭試読》球団歴代2位、1089試合の強打捕手・里崎智也(1999年~2014年在籍)
(69)《有料・冒頭試読》主軸をつかんだ4年間・今江敏晃(2002年~2015年在籍)
(71)《有料・冒頭試読》日本一支えた左強打捕手・橋本将(1995年~2009年在籍)
(72)《有料・冒頭試読》つなぎの4番の軌跡・サブロー (1995年~2011年、2012年~2016年在籍)
(74)《有料・冒頭試読》ケガに苦しんだ現役生活・大塚明 (1994年~2010年在籍)
(76)《有料・冒頭試読》投手陣成長を裏で支えた捕手・清水将海 (1997年~2004年在籍)

 【選手編/助っ人】

(53)《有料・冒頭試読》中4日のタフネスエース・ネイサン ミンチー(2001年~2004年在籍)
(54)《有料・冒頭試読》「神話」と「ナイト」の勝負強さ・フランク ボーリック(1999年~2002年在籍)
(56)《有料・冒頭試読》安定感抜群の助っ投・エリック ヒルマン(1995年~1996年在籍)
(58)《有料・冒頭試読》 窮地を救ったストッパー ブライアン・ウォーレン(1998年~2000年在籍)
(59)《有料・冒頭試読》「いつか必ずロッテに帰ってくる」の約束果たした フリオ・フランコ(1995年、1998年在籍)
(61)《有料・冒頭試読》勝負強かったハワイアン・ベニー アグバヤニ(2004年~2009年在籍)
(63)《有料・冒頭試読》つなぎ役&勝負強さを兼ね備えた助っ人・マット フランコ(2004年~2006年在籍)
(64)《有料・冒頭試読》韓国の英雄が苦しんだ2シーズン・李承燁(2004年~2005年在籍)

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