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《全文無料》【マリーンズ略史 92~05/-57- 5試合で4完封(1992年)】

(写真 左から、平沼定晴、前田幸長、吉田篤史、園川一美(マリーンズファンブックから))

(57)5試合で4完封(1992年)

 千葉移転初年度の8月、奮闘する投手陣に珍しい記録が生まれた。1992年当時、NPBのチーム連続完封試合の記録は4試合で、1リーグ時代に翼軍(東京セネタース)、巨人 1953年に東急、1956年に中日、1960年に大洋、1993年に西武が記録していた。
 マリーンズでは1956年3月25日~27日に記録した3試合連続完封勝利が最多となる。残念ながら今回は連続ではないものの、5試合で4完封という球団初の珍しい記録として紹介したい。

 【平沼が10年目の初完封】

◆8月19日・近鉄20回戦(千葉マリン)○2-0
 先発マウンドに上がったのは平沼定晴。プロ10年目27歳の主戦場はリリーフ。今シーズンの先発は6月28日以来2度目。その試合では自身初の先発勝利を挙げていた。プロ入り以来をさかのぼっても、中日時代を含めて自身10度目の先発だった。
 立ち上がりから好投を見せる平沼。打線も2回裏に1点を先行すると平沼はその1点を守る。最大のピンチは4回表だった。二死満塁とピンチを招いたが、これをしのいだことが大きかった。
 打線は6回裏にも1点を追加。7回以降は危なげなく、終盤になってもリズムを崩さない好投を見せ、終わってみれば近鉄打線を3安打7奪三振に封じる完封勝利。プロ入り10年目、先発10試合目での初完投、初完封だった。

 【前田、吉田が続く】

◆8月20日・近鉄21回戦(千葉マリン)○8-0
 先発は前田幸長。4年目の今シーズンは開幕からローテーションをガッチリ守っているが、ここまで7勝9敗ながら防御率は4.53と安定感は今一つだった。前回登板では八木沢監督はピリッとしない前田に刺激策を与えていた。13日オリックス14回戦(神戸)に先発したものの2回裏に6点を失い、1.2回でKОされたが、翌々日のダイエー21回戦(平和台)に中1日で先発。打線の援護なく敗れたものの、7回途中まで3失点と奮闘していた。
 その試合から中4日の先発マウンドだったが、この日は序盤から打線が援護。1回裏、2回裏に各2点を援護。すると前田はリズム良く好投。打線は4回裏、5回裏にも各2点を奪い8-0とリードする。終盤になっても前田は崩れず、近鉄打線を4安打7奪三振で今シーズン2度目の完封勝利を挙げた。

◆8月21日・日本ハム19回戦(千葉マリン)●0-4
 今シーズン、開幕当初はローテの谷間を埋めていたが、6月からローテに入っている今野隆裕が先発。初回に2点を失い7,8回にも失点、8回途中4失点で降板。打線は援護なく、日本ハム・西崎に完封負けを許す。

◆8月22日・日本ハム20回戦(千葉マリン)○6-0
 ルーキー吉田篤史が先発。開幕当初はリリーフだったが、5月5日に初先発初勝利。以降、ローテ入しここまで4勝6敗だった。
 立ち上がりから好投の吉田。3回裏に打線が1点を奪うものの投手戦の様相を呈した。しかし5回裏、打線がつながり集中打で4点を追加。吉田は6回以降もテンポ良く好投を続け、日本ハム打線を6安打に封じ自身2度目の完封勝利。自身最高となる10奪三振を記録した。

 【園川、2安打ピッチング】

◆8月23日・日本ハム21回戦(千葉マリン)○2-0
 6月27日に3勝目を挙げて以降、勝ち星から見放されている園川一美が先発マウンドに上がる。オールスター明け後半戦も2.0回3失点、6.1回5失点、5.1回3失点、5.0回5失点で0勝1敗と苦しんでいた。
 ところが、この試合はここまでの苦しんでいた不調が嘘のような好投。日本ハム打線に走者を許さないピッチングを見せる。そんな園川を打線が援護し3回裏に1点を先行、6回裏にも1点を追加する。
 この日の園川はそんな追加点も必要ない好投。8回まで1安打、2四球と出塁は3人しか許さない。9回表に2安打目を許したものの、危なげなく後続を断ち2安打完封。日本ハム打線から12個の三振を奪った。

 前述のとおり、4試合連続完封は6球団が記録しているが、マリーンズの球団最高記録は3試合連続。1956年3月25日の高橋戦ダブルヘッダーで植村義信、中西勝己、27日の東映戦で中川隆が3試合連続完封を記録している。
 また、今回は連続ではないが、5試合で4完封は球団史上では初の記録。直近では1989年9月29日~10月6日に巨人が記録している。

 なお、現在は5試合連続完封がNPB・リーグ記録。2010年に中日と2011年に日本ハムが記録している。

(次回)⇒『(58) 窮地を救ったストッパー ブライアン・ウォーレン(1998年~2000年在籍)


----- マリーンズ略史 92~05 INDEX ------

 【年度別出来事編】

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(1)《全文無料》『千葉移転前夜』
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(2)《全文無料》『千葉移転元年 4月ダッシュも最下位に沈む』
  (42)《全文無料》移転直後の快進撃
  (57)《全文無料》5試合で4完封
【1993(平成5)年】
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  (54)《全文無料》1993年 NPB記録/リーグ記録/球団記録/珍記録
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 【選手編/投 手】

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(26)《有料・冒頭試読》ルーキーからフル回転左腕・藤田宗一(1998年~2007年在籍)
(27)《有料・冒頭試読》低迷期支えたエース、復帰後はリリーフで日本一・小宮山悟(1990年~1999年、2004年~2009年在籍)
(30)《有料・冒頭試読》抑えの切り札への道・小林雅英(1999年~2007年在籍)
(32)《有料・冒頭試読》マリーンズ初タイトル剛腕エース・伊良部秀輝(1988年~1996年在籍)
(35)《有料・冒頭試読》強気なマウンド、マリーンズ初代クローザー・河本育之(1992年~1999年在籍)
(37)《有料・冒頭試読》マリーンズ初の最優秀救援投手から手術へ…・成本年秀(1993年~2000年在籍)
(40)《有料・冒頭試読》7年目のブレーク「サンデー晋吾」(1994年~2013年在籍)
(43)《有料・冒頭試読》先発の柱サブマリン・渡辺俊介 (2001年~2013年在籍)
(44)《有料・冒頭試読》中継ぎ切り札から先発の柱へ・小林宏之(1997年~2010年在籍)
(47)《有料・冒頭試読》絶対的エースの信頼・清水直行 (2000年~2009年在籍)
(50)《有料・冒頭試読》球団創設年以来55年ぶりの快挙・久保康友(2005年~2008年在籍)

 【選手編/打 者】

(24)《有料・冒頭試読》二軍成長記・福浦和也(1994~2019在籍)
(29)《有料・冒頭試読》打線を支え愛された背番号6・初芝清(1989年~2005年在籍)
(31)《有料・冒頭試読》オリオンズ最後の戦士・堀幸一(1989年~2009年在籍)
(34)《有料・冒頭試読》マリーンズ初の新人王、盗塁王・小坂誠(1997年~2005年在籍)
(36)《有料・冒頭試読》「14打席連続出塁」の大記録樹立・南渕時高(1990年~1997年在籍)
(41)《有料・冒頭試読》裏から支えたバイプレーヤー・諸積兼司(1994年~2006年在籍)
(48)《有料・冒頭試読》千葉で途切れた連続記録・愛甲猛 (1981年~1995年在籍)
(51)《有料・冒頭試読》オリオンズ最後のタイトル・平井光親 (1989年~2002年在籍)

 【選手編/助っ人】

(53)《有料・冒頭試読》中4日のタフネスエース・ネイサン ミンチー(2001年~2004年在籍)
(54)《有料・冒頭試読》「神話」と「ナイト」の勝負強さ・フランク ボーリック(1999年~2002年在籍)
(56)《有料・冒頭試読》安定感抜群の助っ投・エリック ヒルマン(1995年~1996年在籍)
(58)《有料・冒頭試読》 窮地を救ったストッパー ブライアン・ウォーレン(1998年~2000年在籍)
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