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《有料・冒頭試読》【2005(平成17)年-15- プレーオフで逆転優勝、阪神破り31年ぶり日本一】

(写真 日本一を決め、歓喜のマリーンズナイン)


(15)プレーオフで逆転優勝、31年ぶり阪神破り日本一

【2005年スローガン『BUILDING OUR DREAM! ~夢をみんなで~』】

【交流戦開催】

 激動の2004年を乗り越え、パ・リーグは東北楽天イーグルスが加入し、福岡ダイエーホークスが福岡ソフトバンクホークスとなり、6球団は変わらずリーグが維持された。
 そして新しい試みとして「セパ交流戦」が今シーズンから始まる。セ・リーグ各6球団とホーム3試合、ロード3試合の36試合が開催されることとなった。これによりリーグ内対戦は各球団と20回戦(ホーム10試合、ロード10試合)となり、リーグ戦100試合、交流戦36試合の136試合となる。

※なお、これまで月ごとの項目で括っていましたが、5月GW明けから6月下旬まで交流戦となるため【交流戦】を1項目とし、【3・4・5月】と【6月】とします。

【開幕前評価】

 バレンタイン監督はキャンプ中、選手たちに「1勝の大切さを考えろ。そして野球を楽しめ」という言葉を何度も何度も繰り返して口にした。前年、わずか0.5ゲーム差でプレーオフ進出を逸した。その差は1勝だった。バレンタイン監督は、その悔しさを選手たちに徹底して植え付けた。加えてバレンタイン監督自身、前年前半は選手の力を見極めながらの戦いだったが、各選手の力を把握した後半はしっかり戦ったことに手応えを感じていた。
 戦力は整った。投手陣は前年一年間ローテーションを守った清水直、渡辺俊、小林宏を中心にセラフィニ、そしてキャンプでメニューをしっかりこなした小野の5人が先発を回す。自由獲得枠で入団した社会人ナンバーワン評価のルーキー久保康友も先発争いに加わる。リリーフでは薮田、藤田、小林雅と「勝利の方程式」が出来た。
 打撃陣ではベニーがマリーンズ最多となる35本塁打を放ち.315、100打点と4番の軸となった。これに福浦、内外野守れるフランコ、そして前年の前半は苦しんだものの、後半には日本野球に慣れ数字を上げた李に加えて新助っ人パスクチが入団。外国人枠の争いも激化が予想された。ケガのため41試合の出場に留まったが、三塁には今江を据える構想だ。そして捕手は前々年3割の里崎と前年13本塁打の橋本将が投手陣を引っ張る。
 前評価はソフトバンクが高いが、ロッテもAクラス評価が高く、ファンにとっては久しぶりに高揚気分で開幕を迎えるシーズンとなった。
◆オープン戦成績 14試合7勝6敗1分(.538)

【3・4・5月 24勝8敗】

 2003年ロッテは4位だったが、3位だった近鉄球団が消滅(オリックスは5位)したため、ロッテが開幕戦の権利を繰上りで手にした。開幕は3月26日、対戦相手には新規参入球団の楽天を迎えた。
 清水直と岩隈のエース対決となった開幕戦。清水直は3回に2失点。4回以降は粘り打線も7回に1点を返すも9回に追加点を許して降板。1-3で黒星発進となった。
 そして翌2回戦は歴史的な大勝試合で今シーズン初勝利を飾る。初回に2点を先行すると、2回に打者15人、11安打の猛攻で11得点。さらに以降も追加点を挙げていく。先発の渡辺俊も好投し楽天打線を1安打に封じ込む。結局、8回にも7得点のビッグイニング。渡辺俊も1安打完封し、完封試合としては現在でもNPB最多得点差タイとなる26-0で今シーズン初勝利を挙げた。この試合で若手が飛び出した。前日の開幕戦は出番なくベンチだったが、3年目の西岡が2番二塁でスタメン出場し7打数4安打6打点と爆発。昨シーズンから取り組んでいたスイッチヒッターを自分のものにし、以降、ガッチリとレギュラーの座をキープする。
 これで波に乗ると、29日からのオリックス3連戦(大阪D)、1日からのソフトバンク3連戦(千葉マリン)、4日からの西武3連戦(西武D)と3カード連続2勝1敗と勝ち越す。さらに8日からの日本ハム3連戦(千葉マリン)に清水直、渡辺俊、小林宏の3本柱で3連勝、13日のオリックス4回戦(千葉マリン)にも勝利して6連勝とし、11勝4敗と頭一つ飛び出した。
 そして15日からはロッテとともに飛び出したソフトバンクとの3連戦(福岡D)。しかし、初戦、2戦目と敗れて小休止、ソフトバンクに首位を譲る。続く18日からの日本ハム2連戦(札幌D)の初戦にも敗れるが、翌5回戦から再びエンジンが全開する。5回戦を勝利すると、22日からの楽天3連戦(宮城)に3連勝する。3戦目となった24日の楽天5回戦ではルーキー久保がプロ初先発。序盤に打線の援護も受け、テンポ良いピッチングで楽天打線を封じ9回を零封。6-0で勝利して、初先発をプロ初勝利、初完投、初完封で飾った。以降、6枚目の先発要員としてローテーションに加わった。
 さらに25日からの西武3連戦(千葉マリン)も3連勝して連勝を7に伸ばして首位奪取。29日からの首位決戦ソフトバンク3連戦にも3連勝、3日からの楽天3連戦(千葉マリン)の初戦、2戦目も連勝して連勝は12と伸ばした。
 3戦目は敗れて12連勝でストップしたものの、ここでレギュラーシーズンは一時中止。6日からは初の交流戦に突入する。ここまで31試合を消化して24勝8敗、貯金を16として首位に立つ。ただ、2位のソフトバンクも23勝12敗、2.5ゲーム差でついてくる。この2チームが飛び出し、3位以下は5割ラインに3球団が固まり、楽天が最下位を走った。
 なお、2戦目で結果を出した西岡は4戦目からトップバッターに定着。.340/2本塁打を記録し、3・4月度の月間MVPを初受賞した。
◆3・4月度の月間MVP…野手/西岡 剛

【交流戦 24勝11敗1分/48勝19敗1分】

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