見出し画像

《有料・冒頭試読》【マリーンズ略史 92~05/-29- 愛された背番号6・初芝清】

(写真 2005年9月22日、引退セレモニーでナインの手で胴上げされる初芝清)


(29)打線を支え愛された背番号6・初芝清

 2005年ソフトバンクとのプレーオフ。4.5ゲーム差だったため(5.0ゲーム差以上で1勝のアドバンテージがルールだった)、1位ソフトバンクにアドバンテージはなく、3勝すればリーグ優勝が決まる決戦だった。
 福岡に乗り込み1,2戦に勝利してロッテが王手。しかし3、4戦と敗れてソフトバンクが逆王手。優勝は第5戦に懸かった。しかしロッテ打線がつながらない。序盤にソフトバンクに2点の先行を許す。6回表に福浦のタイムリーで1点を返し1-2と1点差。しかし試合は終盤に突入し、ロッテベンチには嫌なムードが漂う。そして8回表を迎えた。バレンタイン監督は初芝を代打で送った。

 17年目38歳の初芝の2005年は代打の役割を担っていた。しかし打率は.220、本塁打も1本だけに終わり、このシーズン限りでの引退を決め表明していた。「何とか泥臭くても出塁しなければ」という強い気持ちを意識する反面「最後になるのかな」という気持ちもあったという。4球目、初芝の放った打球は三遊間へ。ここで遊撃手と三塁手が交錯。一塁への送球が一歩遅れ送球が逸れる。一塁ベースを駆け抜けた瞬間、走りながら「セーフ」のゼスチャーをする初芝。判定はセーフ。ベテランが足で稼いだ内野安打にロッテベンチのムードが一変し逆転勝利とリーグ優勝、日本一へとつながった。まさしく、ベテランが最後に見せた大仕事だった。

 丸顔にメガネ、何よりもコミカルに見えるキャラクターは多くのファンに愛された。そして、歴代記録も三塁打を除きすべて歴代ベスト10に入る数字を残した主軸であった。マリーンズ初期の打線を支えた中心打者の姿を思い出したい。

【落合二世と期待されロッテ入団】

ここから先は

4,311字 / 1画像
この記事のみ ¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?