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《有料・冒頭試読》【マリーンズ略史 92~05/-34- マリーンズ初の新人王、盗塁王・小坂誠】

(写真 1997年の小坂誠(1998年ファンブックから))


(34)マリーンズ初の新人王、盗塁王・小坂誠

 「ウチには忍者がいるから。忍者がいると投手陣も思い切って投げられるよ」。山本功児監督がショートを守る小坂誠を指してよく口にした言葉だ。

 JR東日本東北で活躍していた小坂は、社会人時代から守備力と走力の評価は高かった。しかし、167センチと小柄な体は「プロでは厳しい」と判断した球団が多かった。特に打撃力の評価は低かった。そんな小坂に魅了されて指名したのは、この年限りでロッテを去った巨人でショートの名手と謳われた広岡達郎GMだった。広岡は「守備と足は今でも球界トップレベル。打撃も何とかなる」と評価し、1996年のドラフト5位で指名した。

【衝撃的なデビュー】

 1997年のキャンプで内野守備コーチのレン・サカタは驚いたという。「打てる、走れる、守れる。高い技術を持った素晴らしいプレーヤー。ほとんどアドバイスをする必要もない」。しかし、小坂自身は本当にやっていけるかどうか疑心暗鬼だった。そんな小坂にとってレン・サカタコーチと初のキャンプで巡り合ったことは大きかった。「守備の基本的な考え方、脚の使い方、身体の使い方など手取り足取り教えて頂きました」。メジャー仕込みの守備を学び幅が広がったのだ。それは、早くもオープン戦で結果が出た。打率.387をマークし、フレッシュマン大賞(オープン戦の新人王に相当)を獲得した。ただ、あくまでもオープン戦。公式戦で通じるかは不安だったという。

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