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《全文無料》【マリーンズ略史 92~05/-52- 乱打戦で連夜の日本タイ記録(2000年)】

(写真 左から、1戦目に先発した後藤利幸、2戦目に先発した吉田篤史、3戦とも登板した竹清剛治)


(52)乱打戦で連夜の日本タイ記録(2000年)

 2000年6月15日のオリックス戦、翌16日の近鉄戦。両試合とも乱打戦となり、連夜の日本タイ記録となる珍事が千葉マリンで発生した。

 【6月15日・オリックス12回戦(千葉マリン)】

 まずは、当日のスコアボードをご覧頂きたい
オリックス 400 000 010=5
千葉ロッテ 030 101 10×=6

 マリーンズは初回に4点を失ったものの逆転に成功、オリックスの追い上げをかわして逃げ切った、という試合内容である。
 この試合の先発は後藤。ローテの谷間を埋める7試合目の先発。ここまで1勝4敗、防御率5.14という成績だった。この後藤が立ち上がりにオリックス打線に捕まる。1回表、打者7人に3安打3四球1被弾。一死しか取れずに降板。河野が1回表から2番手としてマウンドに上がった。その河野は2安打されながらも3回表二死まで踏ん張ると、3番手として竹清がマウンドへ。ピンチを断つと竹清は4回表もマウンドへ。3人をピシャリと封じる。その裏打線が4-4の同点に追いつく。
 5回表から4番手としてロバーツが登板。5回表はしのいだものの、6回表に2安打でピンチを招き一死から5番手小林雅がマウンドへ。小林雅がピンチを断つ。その裏に打線は逆転に成功し7回裏に1点を追加し6-4とリードを広げる。小林雅はそのまま8回表もマウンドへ。8回表にタイムリーを許し1点差に迫られるものの8回表をしのぐ。そして9回表は左打者が続くために左腕・藤田が6番手として登板。2人を打ち取り、二死となったところで7番手ウォーレンが最後の1人を打ち取った。勝利投手・小林雅、セーブ・ウォーレンだった。
<この試合のマリーンズ登板投手>
後藤-河野-竹清-ロバーツ-○小林雅-藤田‐Sウォーレン

 この試合でマリーンズは7投手がマウンドに上がったが、対するオリックスも先発・杉本友が2回で降板すると高橋功‐カルロス-牧野‐小倉‐岩下-戎と7投手が登板した。
 9イニングの試合で両チーム合わせて14投手の登板は「両チーム最多登板」の日本タイ記録。パ・リーグ2度目、NPB5度目の記録だった。

 【6月16日・近鉄12回戦(千葉マリン)】

 翌16日は対戦相手が入れ替わり近鉄戦。先発はベテラン吉田。リリーフ陣から「今日もブルペンは忙しそうだ」とジョークを受けてベテランが先発マウンドに上がった。スコアボードは
近   鉄 013 001 000=5
千葉ロッテ 003 231 10×=10

 先発・吉田は3回表までに2被弾を浴び0-4とリードを許す。それでも打線が3回裏に初芝の一発などで1点差に迫ると、4回裏に2点を奪い逆転に成功する。吉田が5回表もマウンドに上がり計7安打を許しながらも4失点。その裏に打線が3点を追加し8-4とリードを広げる。
 6回表は2番手・竹清が登板し被弾するも1失点で切り抜けると、7回表は3番手・ロバーツが登板。しかし一死を取るも2四球でピンチを招くと4番手・小林雅がマウンドへ。その小林雅がピンチを断つ。8回表は左腕・河野が5番手としてマウンドへ。1人を打ち取ると7番手・和田が登板。ヒットを許すも無失点で切り抜ける。9回表は藤田が8番手として登板。ヒットを1本許したものの最後を締めた。
<この試合のマリーンズ登板投手>
○吉田-竹清-ロバーツ-小林雅-河野-和田-藤田

 前夜に続き、マリーンズはこの試合も7投手をマウンドに上がったが、近鉄も先発・ウォルコットを3回で諦めるとエルビラ-盛田-杉山賢-酒井-柴田-奈良と7投手が登板。連夜の「両チーム最多登板」の日本タイ記録をマークする珍事となった。

  ※最多投手起用 9回14投手起用の記録

・1995年10月13日 ヤクルト9人‐5人横浜
・1997年7月16日 ヤクルト7人‐7人阪神
・1998年5月12日 近鉄7人-7人西武
・1999年6月15日 広島7人‐7人阪神
・2000年6月15日 千葉ロッテ7人‐7人オリックス
・2000年6月16日 千葉ロッテ7人‐7人近鉄
 これでNPB史上6度目だが、近鉄は2度目、ヤクルトと阪神も2度絡んでおり、ロッテを含め4チームが2度、この記録に絡んでいる。

 ところが、1999年までに4度しか記録されていなかった記録だったが、このシーズンは他球団の対戦でも発生した。
・2000年7月2日 巨人8人‐広島6人
・2000年7月18日 日本ハム7人‐近鉄7人

 【7月29日・日本ハム17回戦(旭川)】

 そして、地方遠征となった北海道・旭川での7月29日の試合も序盤から打ち合いとなる。
千葉ロッテ 030 330 022=13
日本ハム  102 404 000=11

 先発・ノットは初回に1点を失うものの、2回に打線が3点を奪い逆転に成功。しかし3回裏に同点に追いつかれて3回途中で降板。代わった竹清がこの回をしのぐと4回表に打線が再び4点を奪って6-3と勝ち越し。しかしその裏、竹清が捕まり代わった河野もタイムリーを許し4点を失い6-7とリードを許す。4番手榎が続くピンチを断つと、5回表に打線が3点を奪い再び9-7とリードする。しかし6回裏、5番手藤田が一発を浴び4点を失い9-11とリードを許す。7回裏を6番手和田が走者を出しながら無失点で切り抜けると、8回表に2点を奪い同点に追いつく。8回裏は和田-小林雅とリレーして無失点で抑えると、9回表に平井が一発を放ち13-11と勝ち越し。最後は小林雅が締めて逃げ切った。
<この試合のマリーンズ登板投手>
ノット-竹清-河野-榎-藤田‐和田-○小林雅

 日本ハムも関根-芝草-高橋憲-黒木-原田-伊藤-ミラバルと7投手を起用し、1試合14投手が登板。マリーンズは今シーズン3度目の14投手起用に協力した。

 その後、両チーム最多登板人数の記録は更新され、9イニングの試合では2021年5月4日の西武‐オリックス戦(メットライフD)で9回引分けながら、西武9人・オリックス7人と過去4度あった15人を上回わり16人が登板、これが9イニングのNPB記録。
 延長を含めた両チーム最多登板人数の記録は、2007年10月4日中日10人・広島(9人)戦の延長12回で19人がNPB最多記録となっている。

(次回)⇒《有料・冒頭試読》『(53)中4日のタフネスエース・ネイサン ミンチー


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 【選手編/投 手】

(23)《有料・冒頭試読》チーム支えたエースの苦悶・黒木知宏(1995~2007年在籍)
(26)《有料・冒頭試読》ルーキーからフル回転左腕・藤田宗一(1998年~2007年在籍)
(27)《有料・冒頭試読》低迷期支えたエース、復帰後はリリーフで日本一・小宮山悟(1990年~1999年、2004年~2009年在籍)
(30)《有料・冒頭試読》抑えの切り札への道・小林雅英(1999年~2007年在籍)
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(37)《有料・冒頭試読》マリーンズ初の最優秀救援投手から手術へ…・成本年秀(1993年~2000年在籍)
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(44)《有料・冒頭試読》中継ぎ切り札から先発の柱へ・小林宏之(1997年~2010年在籍)
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 【選手編/打 者】

(24)《有料・冒頭試読》二軍成長記・福浦和也(1994~2019在籍)
(29)《有料・冒頭試読》打線を支え愛された背番号6・初芝清(1989年~2005年在籍)
(31)《有料・冒頭試読》オリオンズ最後の戦士・堀幸一(1989年~2009年在籍)
(34)《有料・冒頭試読》マリーンズ初の新人王、盗塁王・小坂誠(1997年~2005年在籍)
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(41)《有料・冒頭試読》裏から支えたバイプレーヤー・諸積兼司(1994年~2006年在籍)
(48)《有料・冒頭試読》千葉で途切れた連続記録・愛甲猛 (1981年~1995年在籍)
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 【選手編/助っ人】

(53)《有料・冒頭試読》中4日のタフネスエース・ネイサン ミンチー(2001年~2004年在籍)
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