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《有料・冒頭試読》【マリーンズ略史 92~05/-06- 1996年 投手力生かせず5位低迷】

(写真 完投したヒルマン(右)を出迎える江尻亮監督)


(6)1996(平成8)年 投手充実も、得点力不足否めず5位低迷

【1996年スローガン『ONE AT A TIME(一つ一つを大切に)』】

【開幕前評価】

 昨シーズン、2位と大躍進したが、バレンタイン監督は解任。代わって江尻亮コーチが監督に就任した。また、打率.306でベストナイン、ゴールデングラブ賞を獲得し、打線の軸となったフランコも退団と不安材料が重なったオフだった。
 それでも、投手陣は揃って防御率2点台、2ケタ勝利の伊良部、小宮山、ヒルマンの3本柱に黒木が先発として一本立ち。打線も打点王の初芝と堀が揃って3割をマークし、諸積も規定打席に到達して.290を記録した。新外国人には規定打席不足ながら打率3割のランディ・レディ(登録名はスパイク)、シュアな打撃が日本向きなジャック・ドウティーの2人を広岡GM自ら獲得するなど、ファンが寄せる期待は高かった。
 キャンプは5年連続アメリカ・アリゾナ州ピオリアで行われた。昨シーズンは穏やかなメニューだったが、監督交代で一変、厳しさが求められたキャンプとなった。
◆オープン戦成績 14試合7勝7敗0分(.500)

【3月・4月 13勝11敗】

 3月30日、開幕戦は移転元年以来3年ぶりに本拠地千葉マリンでダイエーを迎えた。ところが開幕2日前にアクシデントが発生。開幕予定だった伊良部が指を痛め大事を取って回避が決定。しかし小宮山、ヒルマンが第2戦と3戦の先発が決まり調整をそれに合わせていたため、園川が初の開幕投手に決まった。しかし伊良部の状況を公表出来ないため、事情を知らないダイエーの王貞治監督が「開幕は格というものがある」と苦言を呈して話題になった。
 その開幕戦は2回に打線が集中打で5点を先行。園川も5回途中まで2失点と粘投。吉田‐河本‐成本とリレーして6-4で逃げ切り勝利した。本拠地での開幕勝利は14年ぶりだった。
 2回戦には敗れ、続く2日の西武1回戦(西武)にも敗れ負けが先行する。そして、ここから連勝と連敗が続く。西武2、3回戦に伊良部と榎の好投で初の連勝をマークするも5日からのオリックス3連戦(千葉マリン)に3連敗、9日からの近鉄2連戦に連勝、12日からの日本ハム3連戦(東京D)に3連敗、16日からのオリックス2連戦(神戸)に連勝と五分の戦いが続く。そして19日からの西武3連戦(千葉マリン)、23日からのダイエー3連戦(福岡D)3連戦、27日からの日本ハム3連戦(千葉マリン)と3カードとも2勝1敗と勝ち越し4月を終えた。
 下旬に取り返して13勝11敗と取り返し、順位は4位ながら首位とは1.5ゲーム差につけ、首位戦線に加わった。チームの躍進を引き出したのは投手陣の力が大きかったが、打線では南渕が6番に座り打率.349と牽引、3、4月度月間MVPに選出された。
◆3、4月度月間MVP 野手…南渕時高

【5月 10勝14敗1分/23勝25敗1分】

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