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《有料・冒頭試読》【マリーンズ略史 92~05/-14- 2004年 ボビー復帰、PO進出に1勝届かず】

(写真 本拠地開幕戦のセレモニーに登場したバレンタイン監督。今回は背番号「2」)

⇒メンバーシップ会員は『写真館 マリーンズフォトギャラリー2004年』


(14)ボビー復帰、新制度プレーオフ進出に0.5ゲーム差

【2004年スローガン『This year is beginning of the future.(今年から未来が始まる)』】

【プレーオフ制度導入】

 今シーズンからパ・リーグのルールが大きく変わる。1983年から85年の3年間制定されたプレーオフ制度が復活する。ただ、この3年間は「5ゲーム差以内の1位と2位」という条件だったため、一度も実施されずに廃止となった。今回は「第1ステージとして2位と3位チームが2位チームの本拠地で3戦2勝制」で実施。「第2ステージとして1位と第1ステージ勝者が1位チームの本拠地で5回戦3勝制、但しシーズンで5ゲーム差以上の場合は1位チームに1勝のアドバンテージ」で実施する事となった。そして「リーグ優勝は第2ステージ勝利チームとする」ことが発表された。3位以内に入れば一発逆転リーグ優勝の可能性が残される新制度である。
 このため、レギュラーシーズンの試合数は135試合(27回戦制、ホームとロードは14試合と13試合となり隔年交互開催)となる。
 また、今シーズンから日本ハムが札幌に移転した。

【開幕前評価】

 山本監督が退任し、新たに監督となったのは1995年に1年間だけ指揮を執り、チームを2位に押し上げ、千葉移転後唯一Aクラス入りの実績を残したボビー・バレンタインだった。95年は広岡GM体制下での監督で十分な指揮を振るえなかったが、今回は全権を任されての就任だった。バレンタイン監督はトーマス・ロブソン打撃コーチ、フランク・ランペン内野守備走塁コーチ、古賀英彦二軍監督、そして、日本球界ではまだ馴染みのなかった統計のスペシャリストとして統計アナリストのポール・プポ氏を招へいした。また、外国人選手としてミンチーだけが残留し、シコースキー、フェルナンデス、ショート、メイの4選手が退団。アメリカからダン・セラフィニ投手、マット・フランコ内野手、ベニー・アグバヤニ外野手が入団、加えて韓国で本塁打王5回、打点王4回、MVP5回、当時の本塁打アジア記録(56本)の李承燁内野手が加わった。
 投手陣はミンチー、清水直、小野を軸に昨シーズン後半にローテーションに定着した渡辺俊、小林宏、これに元ロッテのエースで横浜からメジャーに移籍していた小宮山悟が復帰、。もちろん、2年間一軍マウンドに上がっていない黒木も復帰を目指しローテーション争いが注目された。リリーフは盤石なだけに、投手王国を築きつつあった。
 打撃陣では福浦、李を軸にベニー、フランコ、堀、初芝、機動力のある小坂、サブロー、大塚、立川、二軍で.293をマークした今江と、ベテランと若手が融合してこちらも激しい競争が予想された。
 キャンプでは投手陣には球数制限、打撃陣では実戦メニューを増やすなど、ボビー流が早くも取り入れられ、新しいマリーンズがスタートを切った。
◆オープン戦成績 14試合7勝7敗(.500)

【4月 14勝15敗1分】

 開幕は3月27日、今シーズンは西武ドームでの西武2連戦での開幕となった。開幕マウンドには初の開幕投手となる清水直が上がる。打線が4番李と5番ベニーの初打席初打点で援護。清水直も8回途中まで3失点と粘ると、8回途中から小林雅がリリーフ。後続を断ち開幕戦を勝利で飾る。2回戦には敗れたものの、続く29日からの近鉄3連戦(大阪D)を2勝1敗と勝ち越し本拠地開幕を迎えた。
 本拠地開幕は2日からのダイエー3連戦。清水直、ミンチー、渡辺俊の3本柱で3連勝。待望の李にも一発が飛び出した。続く5日からの日本ハム3連戦(千葉マリン)の初戦にも小林宏で勝利し4連勝をマークし開幕直後ながら2.0ゲーム差をつけて単独首位に立った。
 ところが、ここで一転する。日本ハム2、3回戦に連敗すると、9日からのオリックス3連戦(神戸)、12日からの西武3連戦(千葉マリン)と全敗、8連敗を喫する。さらに、16日からの日本ハム3連戦(東京D)の初戦4回戦、翌5回戦にも敗れ連敗は10と伸び、一気に最下位に転落、借金も4とする。18日の6回戦に打線が爆発、渡辺俊が完投して13-2と勝利して連敗を止めた。この連敗中に明るい話題もあった。10連敗目となった17日の日本ハム5回戦に黒木が995日、約3年ぶりに一軍マウンドに上がり7回途中まで4失点。黒星は喫したものの、2安打3四球とまずまずの内容で復帰を遂げた。
 この後19日からの近鉄3連戦に3連勝するものの、続く23日からのオリックス3連戦(ともに千葉マリン)には3連敗と連勝と連敗が続く。27日からのダイエー3連戦(福岡D)は2勝1分、30日の西武
3連戦(千葉マリン)の初戦6回戦を清水直が今シーズンチーム初完封勝利で4連勝して4月を終えた。
 結局、4月は10連敗を喫したものの、2度の4連勝で取り返して14勝15敗1分と借金1で終了。上位は西武とダイエーが頭一つ抜け出したが残り4チームはダンゴ状態となった。

【5月 6勝16敗1分/20勝31敗2分】

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