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OMOI-KOMI 我流の作法 -読書の覚え-

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私の読書の覚えとして、読後感や引用を書き留めたものです。
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2024年4月の記事一覧

捨てない生きかた (五木 寛之)

捨てない生きかた (五木 寛之)

(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)

 いつもの図書館の新着本リストの中で見つけた本です。

 このところ新たな刺激を受けることが減ってしまった五木寛之さんの著作の最新刊ですが、やはり一通りは目を通しておこうと思って手に取ってみました。

 ちょっと前の “断捨離” ブームは収まってきたと思ったら、今回の新型コロナ禍で在宅機会が増えたこともあって “断捨離” がまた流行り始めた

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菊池寛が落語になる日 (春風亭 小朝)

菊池寛が落語になる日 (春風亭 小朝)

(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)

 いつもの図書館の新着本リストの中で見つけた本です。

 最近はYoutubeやPodcastが中心ですが、落語は好きで結構聞いています。
 好みは、桂米朝師匠や古今亭志ん朝師匠といった超オーソドックスなタイプの噺家さんですが、そういった面々のなかでも春風亭小朝師匠はかなり上位に食い込みます。

 この著作は、その小朝さんが、菊池寛の小説を

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これでいくほかないのよ (片岡 義男)

これでいくほかないのよ (片岡 義男)

(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)

 近所の図書館に行ったとき、新着書の棚で見つけた本です。

 片岡義男さんと言えば、私ぐらいの年代の者にとっては「スローなブギにしてくれ」「メイン・テーマ」といった作品の名前がサッと頭に浮かびます。
 とはいえ、ちょっと自分でも意外なのですが、雑誌のエッセイ等でなく一冊の片岡さんの著作を読むのは初めてかもしれません。

 短編小説集なので引

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生まれたときから「妖怪」だった (水木 しげる)

生まれたときから「妖怪」だった (水木 しげる)

(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)

 久しぶりに近所の図書館に行ったとき、館内の企画コーナーで見つけた本です。

 「ゲゲゲの鬼太郎」の作者として有名な水木しげるさんですが、激烈な戦争体験をはじめとした水木さんの想いや言葉は、以前からとても気になっていました。
 本書でもそれは大いに語られています。

 まずは、水木さんの戦争体験にまつわる想い。
 水木さんは鳥取連隊に入隊し

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海獣学者、クジラを解剖する。~海の哺乳類の死体が教えてくれること (田島 木綿子)

海獣学者、クジラを解剖する。~海の哺乳類の死体が教えてくれること (田島 木綿子)

(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)

 佐々木俊尚さんがtwitterで著者の田島木綿子さんを紹介していたので興味を持ちました。

 田島さんは、国立科学博物館動物研究部研究員。海の哺乳類のストランディング(本来、海にいるべき生物が岸に打ち上がること)の実態調査や病理解剖に携わっています。
 本書は、そういった田島さんの研究活動でのエピソードを材料にしたエッセイです。

 本書

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マチズモを削り取れ (武田 砂鉄)

マチズモを削り取れ (武田 砂鉄)

(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)

 いつも利用している図書館の新着書リストの中で見つけて手に取った本です。著者の武田砂鉄さんは以前から気になっていたライターさんなのですが、彼の著作を読むのは初めてです。

 テーマは「マチズモ」。
 恥ずかしながら、私には初見の言葉でした。“男性優位主義” の意とのことで、武田さんはジェンダー平等意識後進国である日本における「マチズモ」の実

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思いがけず利他 (中島 岳志)

思いがけず利他 (中島 岳志)

(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)

 いつも聞いているピーター・バラカンさんのpodcast番組にゲスト出演していたいとうせいこうさんが番組内で紹介していた著作です。タイトルも含めちょっと気になったので手に取ってみました。

 著者の中島岳志さんは東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授。固定化された視点に囚われない論考はいい刺激になりますね。
 さっそく本書を読んで興味を抱

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田舎はいやらしい 地域活性化は本当に必要か? (花房 尚作)

田舎はいやらしい 地域活性化は本当に必要か? (花房 尚作)

(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)

 いつもの図書館の新着本リストの中で見つけた本です。

 「セカンドライフに田舎暮らし」とか「古民家再生」とかの話題には興味を持っていたので、タイトルに反応して手に取ってみました。
 書かれている内容は、過疎地域での暮らしを踏まえた実態レポートといった体ですね。

 本書での花房尚作さんの問題意識は「地域活性化推進の是非」にあります。

 

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東大教授、若年性アルツハイマーになる (若井 克子)

東大教授、若年性アルツハイマーになる (若井 克子)

(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)

 いつも利用している図書館の新着書リストの中で見つけました。
 以前から気になっていた本なので、早速予約して読んでみました。

 テーマは「近親者のアルツハイマー病発症」というとても厳しいものです。著者は発病者の奥様の若井克子さん。

 若井晋さんが若年性アルツハイマー病を発症されて東京大学を早期退職された年齢が、今の私と近いこともあり、本

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秘闘 : 私の「コロナ戦争」全記録 (岡田 晴恵)

秘闘 : 私の「コロナ戦争」全記録 (岡田 晴恵)

(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)

 いつも聞いている大竹まことさんのpodcast番組に著者の岡田晴恵さんがゲスト出演していて、本書も話題として取り上げられていました。

 ご存じのとおり岡田さんは現在は白鷗大学教授ですが、国立感染症研究所で感染症パンデミック対策に従事した経歴を持っています。
 新型コロナウィルス感染症発生当初からテレビのワイドショーや報道番組を中心にマス

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山びこ学校 (無着 成恭 (編))

山びこ学校 (無着 成恭 (編))

(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)

 以前から気になっていた本です。

 戦後の教育に大きな影響を与えた著作だと評されていますし、当時の生活を知る民俗学的観点からも貴重な資料とも位置づけられているようです。
 本書に収録された詩や作文を書いたのは1950年ごろの中学生とのことですから、1935年ごろの生まれの私の父母とほぼ同年代ですね。

 自分の親や兄弟が出征し、自分たち自

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最後の参謀総長 梅津美治郎 (岩井 秀一郎)

最後の参謀総長 梅津美治郎 (岩井 秀一郎)

(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)

 いつもの図書館の新着本リストの中で見つけた本です。

 「梅津美治郎」、名前は聞いたことがあるですが、それ以上の知識はありませんでした。
 太平洋戦争の継続に懐疑的であった “最後の参謀総長” のこと、ちょっと気になったので手に取ってみました。

 梅津美治郎の人となりについては様々紹介されていますが、当時の軍人としては珍しく “親分肌”

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寂聴 残された日々 (瀬戸内 寂聴)

寂聴 残された日々 (瀬戸内 寂聴)

(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)

 瀬戸内寂聴さんの著作は一冊の本になっているものとしては読んだことがないのですが、単発のエッセイを拝読したり、マスメディア等に登場してあれこれお話ししている姿は時折見かけたりしていました。
 また、30年以上前ですが、私の友人の弟さんが寂聴さんのお手伝いをしていたことがあり、そのころから何となく気になっている方でした。

 本書は、朝日新聞

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自分の頭で考える読書 変化の時代に、道が拓かれる「本の読み方」 (荒木 博行)

自分の頭で考える読書 変化の時代に、道が拓かれる「本の読み方」 (荒木 博行)

(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)

 いつもの図書館の新着本リストの中で見つけた本です。

 最近は “読書法” “読書論” といった類の本は読まないようにしているのですが、この本はちょっと切り口が違いそうだと期待して手に取りました。

 著者の荒木博行さんが説く「本との付き合い方」から、私の興味を惹いたところを覚えとして書き留めておきます。

 まず、「どのような本を選ぶべ

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