田舎はいやらしい 地域活性化は本当に必要か? (花房 尚作)
(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)
いつもの図書館の新着本リストの中で見つけた本です。
「セカンドライフに田舎暮らし」とか「古民家再生」とかの話題には興味を持っていたので、タイトルに反応して手に取ってみました。
書かれている内容は、過疎地域での暮らしを踏まえた実態レポートといった体ですね。
本書での花房尚作さんの問題意識は「地域活性化推進の是非」にあります。
過疎地に暮らす人々は、活性化など望んでしない、無理やり活性化させるのではなく、穏やかに衰退させた方がその地に暮らす人々にとっても、日本の地方自治にとっても望ましいのではないかとの疑問です。
しっかりとしたソフトランディングの道筋をつけて “幕引き” に導くことも、十分に現実的な地方行政が取るべき政策の選択肢のひとつですね。
本書で花房さんが指摘しているように、「中央政府視点」「都市視点」からの(勝手に良かれと思って頭で考えた)政策を強要するのではなく、「現地視点」でそこに現に住んでいる人々の希望や主張に根ざした「在り様」をイメージしてどうするのが(or どうしないのが)望ましいのかを考える姿勢は大切でしょう。
さて、本書を読み通しての感想です。
花房さんの「過疎地行政」に関するタテマエに囚われないストレートな疑問はなかなかに的を得ているように思います。ただ、論考としては、その根拠、論理、結論、そしてそれらの記述・・・、あらゆるパートが粗削りで、その詰め方にはもの足りなさが残りました。
着眼点はとても面白いだけに、ちょっと “もったいない” ですね。
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