自分の頭で考える読書 変化の時代に、道が拓かれる「本の読み方」 (荒木 博行)
(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)
いつもの図書館の新着本リストの中で見つけた本です。
最近は “読書法” “読書論” といった類の本は読まないようにしているのですが、この本はちょっと切り口が違いそうだと期待して手に取りました。
著者の荒木博行さんが説く「本との付き合い方」から、私の興味を惹いたところを覚えとして書き留めておきます。
まず、「どのような本を選ぶべきか」について提示した荒木さんのヒントです。
そして、読書経験を重ねるにしたがって、この3つのカテゴリーの本のポートフォリオを変化させていくのです。
もちろん最も自分を進化させるのは、自らの認知行動自体を変える「問いの発見」のカテゴリーの本です。
私にとっては、「ソクラテスの弁明」や「方法序説」がそれに当たるような気がします。
とはいえ、要は、その時の自分の状況を踏まえた「ポートフォリオ」が大事ですね。適度に「既知のリマインド」も混ぜ込むのが読書を楽しむコツだと思います。“既知” のことであっても、そこに辿り着く新しい道筋が見つかるのはいい刺激になります。
次に、印象に残った2点目。
荒木さんが、自身の「読む本」が変わっていった背景を語っているくだりです。
この感覚は私にも心当たりがあります。
数年前から私もめっきり「ビジネス書」は読まなくなりました。「情報を受け取る眼を養う」とまではいきませんが、「直接『情報』を得る」ための読書を意図して減らしていったのは事実ですね。そのかわり、「それまで近づくことがなかったようなジャンルの本」を意識して手に取るようにしてみたのです。
とはいえ、本来の順番は逆のはずですね。「情報を受け取る眼」をしっかり準備してから「得るべき情報」を受け取るのでしょうが、私を含めほとんどの人は「目を養う方が後」になっているのが現実だと思います。
“有益な情報” は何も本からしか得られないものではありません。ですが、まずは「身近な読書」によって新たな知識や気づきを得ることに慣れ、その積み重ねで “いろいろな指向性をもった高感度アンテナ” を身に付けられるようになるのでしょうね。
そして、3点目。荒木さんからの最も大切なメッセージ。
“「懐疑」を持ち「問い」を抱き続けよ”。
ネット社会での営みのウェイトが増加し、「同調圧力」とか「正常性バイアス」とかの発露が以前に増して顕在化してきた今日、特に重要なアドバイスだと思います。
さて最後に、「読書」そのものについてではありませんが、本書の中で私にとって最もインパクトがあったフレーズを紹介しておきます。それは、「はじめに」のこのくだりでした。
「教える人の劣化コピー」という一言は強烈です。
確かにそのとおりですが、教え方の塩梅は悩ましいですね。相手によっても、具体的な接し方や届け方は変わりますから。
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