海獣学者、クジラを解剖する。~海の哺乳類の死体が教えてくれること (田島 木綿子)
(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)
佐々木俊尚さんがtwitterで著者の田島木綿子さんを紹介していたので興味を持ちました。
田島さんは、国立科学博物館動物研究部研究員。海の哺乳類のストランディング(本来、海にいるべき生物が岸に打ち上がること)の実態調査や病理解剖に携わっています。
本書は、そういった田島さんの研究活動でのエピソードを材料にしたエッセイです。
本書を通じて、今まで見ることがなかった海の哺乳類の実態研究のリアルな姿とともに、日々それに携わる田島さんの溢れんばかりの情熱を伺い知ることができました。
そして、本書のメッセージを通じて改めて意識すべきこと、それは「地球環境問題」です。
この「海洋プラスチック」に加えて「残留性有機汚染物質(POPs:Persistent Organic Pollutants)」がさらに深刻な問題を生じさせています。
POPsが体内に高濃度で蓄積されると、免疫力の低下を引き起こします。その結果、感染症、がん、内分泌機能異常等に繋がる可能性が高まるといいます。
地球をひとつの “生態系” だと捉えた場合、その持続性の確保を優先するとしたら、「原因となっている構成パートの部分的組み替え」もひとつの手段となるでしょう。
加害者たる私たちは、そうならないためにも、そうさせないためのあらゆるアクションを我が事として取り組まなくてはなりません。
もう「海のカナリア」の鳴き声は聞こえなくなったようです。
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